ニコラ・モーター、発売予定のセミトラックをハイブリッドから水素燃料電池に変更
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ゼロ・エミッションのセミトラックを作るという目標を掲げてどこからともなく現れた新興電気自動車メーカー、ニコラ・モーター・カンパニーは、これまで多少は信用できそうなことを発表してきた。同社が今年5月に発表した天然ガスと電気のハイブリッド・セミトラック「Nikola One(ニコラ・ワン)」の突飛なスペックと同社の主張には懸念が残ったものの、明らかにおかしいと思われる点はなかった。しかし最近、設立わずか2年の同社は、このハイブリッド式セミトラックの計画を取りやめて、代わりに水素燃料電池を搭載したトラックの製造を目指すと発表した。

最初の発表では、天然ガスを使用するタービンと、それによって発電された電力を蓄えておく320kWhのバッテリーパックを搭載するという話だった。だが今度は、専用に製造される800Vの水素燃料電池を搭載するという。これによってニコラ・ワンは二酸化炭素などのガスを一切排出せず、1回の燃料補給で航続距離は1,200マイル(約1,931km)、燃費は20mpg(約8.5km/L)になるとのこと。しかし、手天然ガス+バッテリーから水素燃料電池への移行というアイデアには、いくつか疑問が残る。

1つ目は、電気自動車やクリーン・エネルギー関連の情報サイト『Electrek』が指摘しているように、充電式バッテリーを搭載する電気自動車は、一般的に水素燃料電池車より3倍も効率が良いとされることだ。さらに水素ステーションのインフラが不十分なため、燃料の補充もままならないということにもなり得る。ニコラ・モーターのトレバー・ミルトンCEOは、ゼロ・エミッションの問題とともに燃料補充のジレンマについてもプレスリリースで言及しており、同氏によれば、ニコラ・モーターは100メガワット以上を発電するゼロ・エミッションのソーラーファームを建設予定であり、その電気を利用して電気分解によって水から水素を生成する計画を立てているようだ。

北米市場向けに独自に水素を生成する計画はあるものの、水素が容易に供給できない国については、天然ガスタイプのセミトラックを販売する予定だという。同社の目標は2020年までに、顧客が燃料を補充できる水素ステーション50基を建設することだそうだ。


6個の電気モーターと2速トランスミッション。タイヤに1つずつ。2,000HP。トルクベクタリング。320kWhのリチウム充電池。@elonmuskも満足? pic.twitter.com/6QMp4lfwTC

Nikola Motor Company (@nikolamotor) 2016年5月10

5月に投稿された同社のTwitterによれば、当初ニコラ・ワンは電気モーターを6個搭載し、最高出力2,000hp、最大トルク約511.5kgmということだった。だが、現在の同社の公式サイトを見ると、ニコラ・ワンは最高出力1,000hp、最大トルク276.5kgm、水素を燃料とし、320kWhのバッテリーを搭載する"100%電気の力で動く"クルマとなっている。リース契約には毎月定額を支払えば燃料が無料で提供されるシステムがあるが、ニコラ・ワンでは水素が無料で提供されるそうだ。しかし、すでに7,000台の予約があり、1,050万ドル(約11億円)ほどの予約金を手にしたというのに、同社の方針転換はやはり謎だ。

ニコラ・モーターは依然として、水素燃料電池を搭載したニコラ・ワンを12月1日に発表予定としている。だがその内容は妥当なものから途方もないものに変わってしまったようだ。



By Joel Patel
翻訳:日本映像翻訳アカデミー