米国自動車協会、自動ブレーキシステムの性能は車種によって異なることを指摘
自動ブレーキシステムを搭載したクルマは急速に普及しており、米国では2022年までにほぼ全ての新車に標準装備となることが当局と各自動車メーカーとの間で合意されている。ところが、米国自動車協会(AAA)の発表によると、その性能については「標準化」されているとは言えないようだ。

AAAは、ボルボ「XC90」スバル「レガシィ」リンカーン「MKX」ホンダ「シビック」フォルクスワーゲン「パサート」という計5台の2016年モデルでテストを実施。衝突が避けられない状況下におけるそれぞれの自動ブレーキシステムの反応を検証した。各車の自動緊急ブレーキ(AEB)は「衝突回避」型と「衝突被害軽減」型という2種類に分けられる。回避型システムは、その名の通り衝突を避けようとするもので、前方の障害物にぶつかる前に完全に停止することも可能だ。これに対して衝突被害軽減型システムは、衝突を完全に避けるようには設計されておらず、ぶつかった時のダメージを軽減すべく速度を落とす、というものである。AAAは各車のオーナーズ・マニュアルを参照し、XC90、レガシィ、MKXを「衝突回避」型、パサートとシビックを「衝突被害軽減」型に分類している。

AAAによるテストの結果では、この2つの自動緊急ブレーキシステムの違いが明らかになった。衝突回避型システムを備えたクルマは障害物にぶつかる前に速度が79%低減したのに対し、衝突被害軽減型では40%と約半分に留まった。なお、衝突回避型が"衝突を避ける"という点で、より高い効果を発揮したことは驚くに当たらないが、絶対に確実というわけではない。なぜなら時速30マイル(48km/h)以下の速度で行われたいくつかのテストで、衝突回避型システムが衝突を防ぐことができた割合は60%程度に過ぎないからだ。一方、衝突被害軽減型システムの数値はさらに低く、衝突を避けられたケースの割合は33%しかなかった。

上記のテストはブレーキシステムを設計したメーカーが行ったものだが、AAAはさらに時速45マイル(約72km/h)という、標準的な速度を上回るスピードで同システムの検査を行った。そこで衝突回避型システムを備えたクルマは速度が74%低減するという上々の結果を得たが、一方の衝突被害軽減型システムは効力を発揮することができず、速度が9%しか低減しなかったという。

この結果から今後、消費者が留意すべき点は、自動車メーカー各社が宣伝する自動緊急ブレーキシステムが、全て同じ物ではないと十分に理解することだろう。どちらのシステムも衝突を防いだり、衝撃を軽減したりする助けにはなるだろうが、システムの限界を知ることが大切だ。そして、こうしたシステムは"運転に集中しているドライバー"に代わるものにはなり得ないという点で、我々はAAAと同意見である。皆様には常に状況を把握し、気を配って運転していただきたい。


By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー