VOLVO XC90 × Triumph Bonneville T120
この夏は個人的なテーマとして、ブレイクスルーということをよく考えている。次なる新しい自分に出会うために、どうしたら過去の殻を打ち破れるのか。どうしたらより良き未来を構築出来るのか。もちろん明確な答えなんて得られてなくて、自問自答は堂々巡りなのだけれども、まあ、色々迷える子羊なわけです。

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そんなちっぽけな個人レベルですら至難を極めるブレイクスルーを、しかし華麗に成し遂げたメーカーが存在する。
そう、今回ご紹介する二つのモビリティーに共通するキーワードは『伝統を打ち破る革新』。
ボルボ XC90とトライアンフ ボンネビルT120だ。

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ここのところのボルボの快進撃は凄まじい。厳密に言えば日本には2014年に導入されたモデル以降を指したいが、試乗したモデルすべてに唸らされるほど走りの質感が洗練されているうえに、北欧ならではの個性的なデザインと高い居住性を併せ持ち、プロダクトとしての魅力に溢れていると感じている。

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そのボルボが行った"革新"は「ドライブeパワートレーン戦略」と「SPA(Scalable Product Architecture)」という新世代プラットフォーム戦略だ。それらには総額110億USドル(約1兆3,000億円!!)という、え、それってちょっとした小国の国家予算?みたいな、巨額の投資がなされていることからも、競合に打って出ようとするボルボの本気が伺えるものとなっている。

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それぞれをちょっと説明すると、フォード傘下に入った時代の遺産として、無駄に(!いやもうホントに混乱するくらい!)散在していた雑多なパワートレーンを整理し、今後のエンジンを2リッター直4以下に抑え、しかも電動化を見据えて開発を行うというのが「ドライブeパワートレーン戦略」、そしてこの「ドライブe」を採用し、さらに電動化(PHV=プラグインハイブリッド)にも対応しながら、さらにボルボの誇る安全性と先進をも実現したのが「SPAプラットフォーム」という、モジュール化である。

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この双方が整い、最初に生産されたのがまさに今回ご紹介する7シーターSUV、XC90シリーズなのだ。
中でも今回は個人的にも大注目していた、PHVのXC90 T8 Twin Engine AWD Inscriptionをチョイスしてみた。国内においてはなんと年内分がすでに売り切れてしまっているという、まさにボルボの新しきキラーコンテンツ、人気絶頂のモデルである。

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そしてトライアンフ・ボンネビルT120もまた"革新"を遂げている。
外観は1959年に誕生したクラシカルな印象を留めたそのままの雰囲気を漂わせていながらも、ナカミは大幅に近代化されたのだ。

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エンジンは完全に新設計のパラレルツインが搭載され、同社言うところの「高トルク型」に。3100rpmという低い回転域から105psの最大トルクを発生させるというそれは、先代比で54%もの向上が図られている。

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しかし、ファンを一番驚かせたのは水冷化ではないだろうか。
ボンネビルでも徐々に始まっていたキャブレター インジェクション化に加え、それまでの空冷から水冷へ「近代化」されたニュースに、多くのオールドファンが心を痛め、また心配もしたのだと思う。ボニー(ボンネビルの愛称)はボニーでなくなってしまうのではないか、と。いやでも先に言っとくけど、ちゃんとボンネビルですよこれは!間違いなく。

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それ以外にもライドバイワイヤ、トラクションコントロール、スリップアシスト・クラッチなど、安全性と低燃費性をも商品力としてアピールする。

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まずXC90の試乗ルートは都内を抜けて山梨県へ、中央道を走った。
現在日本国内において、パワートレーンで言えば2リッター直4ターボのT5と、2リッター直4ターボ+スーパーチャージャーのT6、それから今回試乗した2リッター直4ターボ+スーパーチャージャーに電気モーターを搭載するプラグインハイブリッドのT8、という3種類の選択肢があるXC90。だが、おそらく開発はこのプラグインハイブリッドのT8を軸になされたのだろうと推測されるほど、絶妙の仕上がりに率直に感激した。T5とT8では車両本体価格にして235万円の開きがあるのだが、乗れば納得の差だと思う。

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モーターから発生するキレ味鋭いトルクは、約2.3tという重量ボディをズバっと押し出して、中央道の厳しい登坂や曲がりくねった道ですらギュンギュンと力強く攻略していく。
「ドライブe」の例に漏れず4気筒エンジンとなるT8だが、4気筒という、ともすればザラザラとした雑味が出がちな難しさを微塵もドライバーに感じさせないのは、多分にそのアラが出がちな加速初期の部分をこのモーターがカバーしていると思われる。つまり、とても仕上がりはいいし、それだけ乗ったらそれはそれで完成度の高いT6は、T8に比べてしまえばやや荒削りな印象を与えるモノになっているとも言える。とにかくこの大きな車体にモーターはベストマッチなのだ。見た目以上にスポーティーなフィーリング。とにかく踏むのが心地よい。

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だからこそ、難点はせっかくの充電をすぐに使い切ってしまうこと。とはいえ、システムを保持させるためにある程度まで充電量が減ると自動的にエンジンから給電されるようになっているから、電池残量がゼロになることはない。つまり、モーターの加速が失われることはないから、やっぱりちょっと大目に踏んでしまっちゃうんである。ツミなクルマですね。

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さらにT8に乗って驚いたことは、アシがすごく滑らかなこと。
試乗車にはオプションで+30万円となるエアサスペンションが装着されていたのだが、しっとりと路面を捉えるうえに、あらゆる走行モードに対応して車高を変えるので、ワインディングでも高速道路でも、道路と走行状況にボタン一つでクルマ側がアシを合わせ込んでくれる。21インチというイカツいサイズのタイヤを装着しているのだが、大径タイヤで感じがちなゴツゴツ感もまったく感じさせない。

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このエアサス、実はT6に搭載されたものも以前試乗しているのだが、そのときの印象はあまり良くなかった。エアサス特有のフワフワ感が高速走行では気になったし、荒れた路面では入力を必要以上に拾ってしまう過敏な仕上がりだった。しかし、今回のT8に搭載されたそれはしっとりと滑らかで、アラがない。ハイブリッドシステムを搭載しているためにT6に比べて+300㎏の重量がいい塩梅に作用している。やっぱり、エアサスもT8で合わせ込んでいるんじゃないかな。

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そんな風にクルマとしての仕上がりが完璧なのに加えて、ドライバーを包み込む車内だって上品シックなオシャレさがふんだんに漂うのがまたニクイのだ。

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山梨県にある河口湖近辺で、待望のボンネビルT120に乗り換えた。
夏の高原で乗るバイクは格別なもの。しかもそれがこれほどにシックで小粋なスタイリングを持っていたら、気分はもう英国紳士なのだ。・・・あ、私女子ですけど、でもホントそんな感じ。
しかしですよ。ボンネビルT120を乗りこなすには、まず乗り込む前にちょっとした試練がある。
・・・重いんです。

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車両重量は燃料抜きで244㎏。女性であれば取り回しにやや苦労するズッシリ感だ。停車状態からエイヤと押し出させるまでにやや難儀する。また、お借りした試乗車に乗り込むときには立ちゴケを防ぐため、まず跨ってからサイドスタンドを払うようにしているのだが、その傾いた状態から車両を起こすのにも一苦労。ガタイのいい男性なら心配するほどではないのかもしれないけど、女性が初乗りするときには気を付けて欲しい。

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しかし、ご想像通りこのズシっとした重量は走り出したら弩級の安定感に形を変える。
アクセルを開けて行くと、この重量ボディを1200㏄のパラレルツインが滑らかにスッと押し出す・・・このあたりも、なんとなくXC90に共通するところ。いくら244㎏でも1200㏄のトルクは十二分なものだ。
そう、このガッツリと低速から生まれるトルクはギアを上げて行っても途切れることはない。トランスミッションとのマッチングもバッチリで、一般道では6速あるギアを使い切らずとも4速あたりで60km/hを、なんと2000rpmで発生させてしまうから、ロングツーリングにももってこいの低燃費っぷりを発揮してしてくれるだろう。

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一旦ライディング姿勢に入ったら、路面が多少荒れてようがワダチがあろうが、難なくモリっと乗り越えてくれて、ものすごく安心感がある。富士山に通じる厳しい登坂道でもスルスルと攻略していくのは快感だ。低速ではトコトコと、そして高速域に入ればルルル・・・とリズム感が心地いいパルスも走りに対する高揚をさらに盛り上げてくれる。やや手応えを感じるこの振動も、クラシカルな外観にマッチしていていい気分だ。ああ、私今、ボニーを味わってる!と陶酔させるに充分な味付け。

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さらに快適なツーリングに貢献しているのが、自然と程よい前傾姿勢を作るライディングポジションと、柔らかいシート。シートはふわっと優しいクッション性に加え、ちょっと短めのダンパーからのショックさえも吸収してくれるように作用する部分も多分に感じた。

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双方に感じたのは、その革新を遂げてもそれぞれのブランドの味を決して殺してはいない、というところ。乗り物として正統なる進化を果たしてユーザーにも環境にも優しく生まれ変わってはいるのだけれど、ちゃんとブランドの作ってきたロードマップを繋いで、また未来にバトンを渡す、その時代を見届けられる面白い時代がまさに今。楽しむしかない。

■ボルボ公式サイト
http://www.volvocars.com/jp/
■トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン 公式サイト
http://www.triumphmotorcycles.jp