ポルシェ、エンジンのパワーと価格を抑えた「718 ケイマン」と「718 ボクスター」を中国で発売
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ポルシェは利益が見込める中国市場において、新たなアプローチを検討しているようだ。自動車メディア『Automotive News Europe』によると、この有名なドイツのメーカーは「718 ケイマン」と「718 ボクスター」のパワーを抑えたバージョンを中国で発売するという。実のところ、これらの新型車は既に中国のポルシェ公式サイトに掲載されている。「TT」で成功を収めた関連会社のアウディに続こうという狙いらしい。

「718」モデルの責任者を務めるヤン・ロート氏は『Automotive News Europe』に対し、「アウディが中国で売っているTTの多くは、1.8リッター・エンジンに置き換えられ、全輪駆動ではなく後輪駆動になり、価格が抑えられている。メルセデス・ベンツも同様だ」と語っている。しかし、同氏の"後輪駆動の1.8リッターエンジン"というコメント部分はタイプミスか、翻訳の際に何か情報が抜け落ちた可能性がある。というのも中国のアウディ公式サイトでは、2.0リッター・エンジンしか掲載されておらず、TTが前輪駆動プラットフォームをベースにしていることは周知の事実だからだ。

それはともかくとしても、アウディの成功はプライスダウンによるところが大きい。TTのベース・モデルは54万2,800元(約830万円)で、ロート氏によれば「60万元は中国の顧客にとって"魔法の値段"」であるという。欧州や日本、米国で提供されている718モデルは最高出力300ps、最大トルク380Nmの2.0リッター4気筒ターボ・エンジンを搭載しているが、中国ではこの価格帯に収まるように最高出力250ps、最大トルク310Nmにダウンさせる。これにより0-100km/h加速も0.5秒ほど遅くなるが、718 ケイマンの価格は58万8,000元(約900万円)、718 ボクスターは59万8,000元(約920万円)からと、魔法の値段にぴたりと一致する。2.5リッター・エンジンを積むケイマンSおよびボクスターSは他地域と変わらず、最高出力350ps、最大トルク420Nmだ。

『Automotive News Europe』によれば、ロート氏は中国向け戦略により718モデルの販売台数を2017年までに4,500台に増加させると発言しており、これは2015年におけるボクスターとケイマンの販売台数2,500台の倍近くにあたる。果たして、こうした下位モデルの投入戦略は米国ではうまくいくだろうか。

推測してみよう。米国におけるベース・モデルの価格は、Sモデルの約81%だ。もし、ポルシェが同様の割引を250hpの718モデルに適用した場合、ケイマンは4万3,659ドル(約441万円)、ボクスターは4万5,360ドル(約459万円)がベース価格となる。ケイマンはTTクーペの4万3,500ドル(約440万円) とほぼ同じ値段になるが、250hpのボクスターであればアウディTTのロードスターより約1,640ドル(約17万円)安くなる。だが、ポルシェが提供する膨大なオプションのことを忘れてはならない。ディーラーで販売される車両は、おそらく5万ドルを超えるものばかりになるだろう。

それにしても、最高出力が50hpほど低くなるからといって、現在の5万3,900ドル(約545万円)から1万ドル(約102万円)も安くなるとは考えにくい。もしそんな価格まで下げるとしたら、ポルシェはエンジンのパワーだけではなく装備も省略せざるを得ないはずだ。

しかし、もし718を低価格化することが可能なら、ポルシェは新たな消費者層を開拓することになる。ポルシェで最も安いスポーツカーというだけでなく、他のメーカーのクルマを検討していた顧客も奪うことが可能になる。

いずれにしても、ポルシェの米国における売り上げは好調であり、2015年でいえば、ボクスターとケイマンはTTの販売台数を6倍も上回った。中国に住んでいない我々にとって、必要な情報はおそらくこれだけだろう。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー