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去る8月2日、東京で2台のレアなアストンマーティンが公開された。

「ラヴァ(溶岩)レッド」と名付けられた赤いペイントが美しい1台は、「ヴァンキッシュ」をベースに、有名なイタリアのデザイン・ハウスであるザガートが独自のスタイリングを与えた「ヴァンキッシュ・ザガート」。5月のイタリアのコモ湖畔で開催された由緒あるコンクール・デレガンス「コンコルツォ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」でコンセプトカーとして発表されたのだが、顧客から強い要望を受け、99台の限定生産が決まったアストンマーティンとザガートのコラボレーションは、1960年の「DB4GT ザガート」から始まり今回が5台目。とされているが、実はにもワンオフで製作されたモデルがいくつかある。



新たに作り直されたボディ・パネルは全てカーボンファイバー製。この息を呑むような流麗さは、フェンダーやバンパー、ボンネット等の継ぎ目が少ないことによるところも大きいはず。このために巨大な1ピースのパネルがカーボンファイバーで製作されているという。"ダブル・バブル"と呼ばれる特徴的なルーフは、1950年代からザガートが得意とするデザインで、本来は空気抵抗を最小限に抑えつつ、ヘルメットを被った乗員のヘッド・クリアランスを確保する目的で採用された。グリルのメッシュはザガートの頭文字がモチーフ。この"Z"パターンは内装のキルトやステッチにも反復されている。ボディ・カラーはこのラヴァ・レッドをはじめザガート用に設定された標準カラー5色のほか、オプションで多彩な色から選べる。内装色や外装オプションの選択肢も豊富であるため、99台すべての見た目が異なる可能性もありそうだ。



6.0リッター自然吸気V型12気筒エンジンの最高出力は、ヴァンキッシュの576psから600psに引き上げられ、0-60mph(約96.6km/h)加速も3.6秒から3.5秒に短縮された。パフォーマンス向上に合わせて、サスペンションの設定も見直されているという。日本には2台のみが導入される予定だが、すでに売約済み。ちなみに価格は8,510万円と発表されている。




もう1台の限定モデルは、アストンマーティンのモータースポーツ活動を最も色濃く反映させたロードカーとして誕生した「ヴァンテージ GT8」。現在、アストンマーティンは市販モデル「ヴァンテージ」をベースとしたレースカーで、FIAのGT3およびGT4カテゴリ、そしてル・マン24時間レースを含むFIA世界耐久選手権を戦っているが、その開発で得られたノウハウや技術を再びヴァンテージに還元し、サーキット走行に照準を合わせながらも公道走行可能なモデルとして開発されたのが、このヴァンテージ GT8だ。

カーボンファイバーが多用されたボディ・ワークにはレース直系の空力テクノロジーが応用され、ワイドなフェンダーやフロント・スプリッターとサイドシル、リア・ディフューザーがアグレッシブに張り出す。大型リア・ウイングとフロント・スプリッター・コーナーエレメントを含む「エアロパック」や、センターロック式の超軽量7本スポーク・マグネシウム製ホイールはオプションとして設定される。ボディ・カラーは豊富なアストンマーティンのカラーパレットから選べる上、前後サイドのスポイラーを塗り分けるアクセント・パックや、さらにレースカーのカラーリングを模した2トーンの「ハロ」カラーも用意される。



エンジンはレースで実力と信頼性が証明済みの4.7リッター自然吸気V型8気筒。その最高出力は「ヴァンテージ S」より10psアップの446psとなる。トランスミッションは6速マニュアルまたは7速AT「スポーツシフト II」から選択できる。サーキット走行を想定してチューンされたシャシーは、アストンマーティンによれば「極めてシャープな俊敏性を実現」したそうだ。これに"公道も走れるサーキット用タイヤ"、ミシュランの「PILOT SPORT CUP 2」が装着される。



リチウムイオン・バッテリーや、カーボンファイバー製スポーツシートとドアパネルなどの標準採用に加え、さらにオプションでカーボンファイバー製ルーフ、ポリカーボネート製リアおよびサイド・ウインドウ、チタン製エキゾーストなどを装備すれば、車両重量は1,510kgと最大100kgの軽量化が実現されるという。ただしエアコンやオーディオなど、公道で快適に乗るための装備は標準でそのまま残される。ステアリング・ホイールやダッシュボードにはアルカンターラが張られ、レーシィな雰囲気にまとめられていた。

こちらは世界限定150台のうち、4台が日本に来るそうだ。価格は6速MTが2,770万円、スポーツシフト IIが2,827万円。日本からオーダーされた車両は全て後者だったとか。



間もなく消えゆく運命の自然吸気エンジンを搭載するアストンマーティンとしては、2台ともそれぞれV12とV8の究極的なモデルとなりそうだ。なお、次世代の根幹を担う新型車「DB11」は、近々日本でも発表される予定だという。これなら今から頑張って働けば、購入するチャンスがある...かもしれない。その日に備えてイメージ・トレーニングに励んでおこう