【ビデオ】シンガポールの大学生が、電力で飛ぶ3輪パラグライダーを開発
電動の航空機が続々と空を飛び始めている中、シンガポール国立大学(NUS)の学生グループが独創的な乗り物を製作した。この「デルタ」と呼ばれる3輪付きのパラグライダーは、化石燃料ではなく電力による推進力を利用し、「大人のパイロット1人を乗せて車輪で離着陸できる世界一軽い航空機」であるという。

デルタのフレームは、パイロットを保護するロールケージを含めてカーボンファイバーとアルミニウムで製作されており、パイロットと後方にあるカーボンファイバー製のプロペラはネットで分離されている。リチウムポリマー電池で動く8kWの電気モーター2台によってデルタは前進し、離陸中にパラシュートが開いた状態が保たれる。パイロットは小型ディスプレイによってバッテリー残量を把握することができる。1人乗りのデルタの最高速度はおよそ22mph(約35km/h)で、1回の充電で10分間の飛行が可能。ありがたいことに充電時間はたったの45分間ほどなので、冒険心旺盛な人は、充電後にまた空を飛びたくなることだろう。

NUSのマーティン・ヘンツ教授率いる学生8人のチームが電力で飛ぶパラグライダーの開発に着手したきっかけは、ナショナル ジオグラフィック チャンネルのシリーズ番組『Machine Impossible』(原題)だ。同番組のプロデューサーはチームに対し、一定の予算内でいかなる形状や動力でも構わないので、「楽しく飛べる」ことを最優先した航空機の製作を依頼。「こうしたプロジェクトは、工学部の学生たちを教えるにあたり、非常に大きな教育的価値がある」とヘンツ教授は言う。同教授はまた、デルタは実用的な輸送を目指して開発されたものではないが、「スポーツとしてのパラグライダーに多大な貢献ができるのではないか」としており、同チームは今後、よりサステイナブル(持続可能)な娯楽用航空機を製作したいと話している。

そして何より、学生自身が今回の挑戦を貴重な経験と捉えているようだ。電気工学を学ぶチャン・ワイ・ヤンさんは、「デルタの設計と製造はこれまでにない経験」であり、「我々チームは、エンジニアリング的な挑戦を思う存分楽しんだ」と感想を述べた。

デルタは今年3月、マレーシアの港湾都市マラッカにある小飛行場Sungai Rambai Aerodromeで初フライトに成功した。見事な偉業を達成した同機であるが、空中を単独で過ごす10分間こそが最も大きな報酬といえるだろう。




By John Beltz Snyder
翻訳:日本映像翻訳アカデミー