DUCATI Multistrada1200Enduro
オンロードでの過激なまでのスポーツ性能は、DUCATI(ドゥカティ)に疑う余地はないものの、オフロードでもまたアグレシッヴな走りを楽しめた。このダートでの走破性の高さは、これまでドゥカティに乗ってこなかったオフロードファンをも納得させるもので、新しいファン層を獲得することになるだろう。

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昨秋、ミラノショーで発表されたニューモデル、ムルティストラーダ1200エンデューロがついに日本へ上陸。いち早く、市街地、高速道路、ワインディング、林道、オフロードコース(クローズド)で乗り込むことができた。1泊2日、都内のDUCATI JAPANから北軽井沢のベースキャンプを拠点に周辺道路を含む、およそ550kmにも及ぶ行程となった。

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この新型は「エンデューロ」と名乗ることからも分かるとおり、ムルティストラーダ1200Sをベースにオフロード性能を高めた、ドゥカティとしては初の本格派アドベンチャーと言っていい。従来のムルティストラーダは前後17インチのホイールサイズで、どちらかといえばオンロード志向のマルチパーパス。

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スポーツ、ツーリング、アーバン、エンデューロという4種のライディングモードを装備し、「4 Bikes in 1」というコンセプトのもと進化してきたが、そのメインステージはあくまでも舗装路の上で、たとえばBMW R1200GSやKTMのアドベンチャーシリーズは、ダイレクトなライバルではなかった。

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しかしだ。開発陣は本気でダートパフォーマンスを高めようとプロのオフロードライダーを集め、モトクロスコースを含めこれまでにはなかった様々なシーンでのテストを繰り返したという。ドゥカティのオンロードでのあの熱き走りを、ついにオフロードにも求めたのだ。 フロントタイヤを19インチ (120/70ZR19)にし、リアも細身のタイヤ(190/55ZR17 170/60ZR17)に変更。タイヤサイズをライバル勢と同じにし、選択肢を拡げている。

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また、ザックス製の前後サスペンションは、1200Sより30mm長いストローク量を確保し200mmとなった。これによって最低地上高が205 236mmに上がっている。 そして大きな変更点の1つがスイングアーム。1200Sでは片持ちだったキャストアルミ製スイングアームは両持ちとなり、長さも35mm延長し600mmに。

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1200Sでは右2本出しだったマフラーは、ハイマウントシングルサイレンサーに換装され、ウェーディングの深さ(渡河水深)を77mm増やし、478mmとした。

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ドゥカティジャパンが設定したダートでの試乗コースもまた、その本気度の表れだった。都内から高速道路と一般道を使って北軽井沢まで辿り着くと、待っていたのはタイヤチェンジ。ランチを食べている間に、標準装備のピレリ スコーピオントレール2を、クローズドコース用にブロックパターンのスコーピオンラリーへと履き替えてくれたのだ。

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大柄なアドベンチャーとあって丁寧にコースインしたが、すぐにペースは上がっていく。雨が降ったばかりで泥濘もある難コースだが、サンド質のトラックはアクセルを開けて加速状態の方が安定した。少しオーバーペースかな、と思いつつも路面追従性の良いサスペンションが凹凸をいなしてくれ、車体が大きくバランスを崩すことはない。

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スリッピーな部分もそのまま構わず、重戦車のように元気のいいエンジンでパワーをグイグイかけて突き進む。この感覚はなかなか痛快なもの。R1200GSやKTMのアドベンチャーに比べると、かなり荒削りだが、そこが面白い。より強化されたスキッドプレートで守られた1200テスタストレッタDVTエンジンは過激なまでにパワフルで、ストローク量に余裕を持たせたサスペンションを持ったおかげで、ダートでもそのヤンチャぶりを発揮。競技用450ccモトクロッサーでも味わえない、強烈な加速に乗りながら身震いした。

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ハンドルは曲げとライザーにスペーサーを噛ますことで、1200Sよりグリップ位置を50mmアップしている。ダートでは積極的に立って乗りたい。ライディングポジションを含め、すべてがスタンディングに合わせられているからだ。

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ライディングモードはもちろん「エンデューロ」を選ぶ。トラクションコントロールは8段階あるが、このモードを選べば介入は「2」と低く設定され、若干のタイヤの空転を許しながらも横滑りが大きくなる前に食いつき、コーナーからの立ち上がりではスリップを心配することなくアクセルをワイドオープンできる。

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サスペンションとブレーキ系統もライディングモードにリンクする賢さで、リアはABSをキャンセルし、セミアクティブサスペンションは、ソフトな設定となって追従性により優れるセッティングとなった。この電子制御はオフにすることもできるが、周回を重ねれば重ねるほど恩恵を強く感じ、搭載していることに助けられる。長時間のダートランで疲労度を軽減してくれ、しかもライディングモードを効かせているときの方が確実に速く走れる。

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タンクサイドのアルミ製シュラウドカバーもよく考えられている。転倒などでダメージを受けても、ここで引き受け、外装パーツ交換時の負担を減らそうという狙いだ。クチバシのように見えるノーズも延長されていて、フロントタイヤが巻き上げる泥を抑える効果を高めている。

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ダートでの興奮が大きかったせいで、そればかりをここまで書いてしまったが、高速道路を使ってのクルージングも快適なものだった。まず、空力がいい。バイザーの長いオフロード用ヘルメットにゴーグルというハイスピードレンジで走るには不向きな装備で走り続けたにも関わらず、頭部への風圧がほとんど感じられず、ゴーグルの隙間から顔に入り込む風もほとんどなかった。

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ウインドスクリーンは片手で調整でき、シートの座り心地も申し分ない。不快な振動もなく、オートクルーズコントロールの装備もありがたい。この巡航力の高さなら自分の住む街から遠く離れたオフロードエリアまで、ひとっ飛びといった感覚になれる。 なんといっても容量10リッター増しの30リットル・ビッグタンクが頼もしい。1200Sなら300kmほどの航続距離をさらに150km延ばし、450kmもの区間を無給油で走りきれるのだからタフとしか言いようがない。

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そしてワインディングもまた、心躍る情熱的なバイクだった。昨年フルモデルチェンジし、5代目となったムルティストラーダは電子制御によるライディングモードをさらに進化させ"乗りやすくなった"と言われるが、ドゥカティならではのアドレナリンあふれるスポーツライディングへのパッションはなにも変わっておらず、エキサイティングな走りは健在! ハンドリングも軽快で、バンク角も充分に深い。オンロードでの走りも相変わらず熱いのだ。

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試乗車にはツアーテック社との共同開発によるオプションのパニアケースが装備され、その積載力を実感させられた。右40リットル、左45リットルの大容量を持ちながらも車幅をたったの2mmしか増やさないというのも驚く。幾度もなく雨の中を走り続けたが、ハードケースがゆえに荷物を濡らさずに済んだのもありがたかった。

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市街地で感じたのは、ノロノロ運転での扱いやすさ。低速でもギクシャクしないのは、林道での徐行やタイトコーナーでの半クラを減らすためにギヤ比をショート化しているからで、1速は特にローギヤードになっている。1速2000回転で走ったとき、1200Sなら20km/hのところ、エンデューロなら16km/hで走行可能だ。

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アドベンチャーモデルのユーザーが求めるように、あらゆるステージでムルティストラーダの新作に乗ったが、冒頭で述べたとおり、やはり際立つのがダートでの走破性の高さ。ツーリング中、未舗装路になってもその先に進めるというのが従来までのムルティストラーダだったが、「エンデューロ」は旅の最終目的地をオフロードに設定したくなるバイク。

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高いクルージング性能やワインディングでのスポーツ性能に加え、オフロードでの走りに磨きをかけたムルティストラーダ1200"エンデューロ"、そのネーミングは伊達ではない!

■ドゥカティジャパン 公式サイト
http://www.ducati.co.jp/