市販化に向けて前進!? 日産が「ブレードグライダー」のプロトタイプをリオで公開
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約3年前の東京モーターショー2013で、日産は「デルタウイング」を彷彿とさせるEVコンセプトカー「ブレードグライダー」を発表した。ドン・パノス氏が起こした訴訟問題はさておき、ブレードグライダーはとてもクールなマシンだ。三角形上のボディに、ドライバーが中央に座るセンター・コクピットとその後方左右に後席を配した3人乗りのシート・レイアウトを採用し、リチウムイオン・バッテリーと左右の後輪に組み込まれたインホイールモーターによる完全電動パワートレインを搭載する。しかし2015年3月、日産は「ブレードグライダーは最優先課題ではない」 として、この市販化の保留を示唆していた

ところが、それから1年以上経った今、日産はアップデートしたブレードグライダーのプロトタイプを、ブラジルのリオデジャネイロで発表した。東京モーターショーに出展された時、このクールなマシンは理論上のものでしかなかったが、今回公開された最新のブレードグライダーは「動作可能なプロトタイプ」となっている。5個の電池モジュールで構成された220kWの高性能リチウムイオン・バッテリーを動力源とし、左右の後輪にそれぞれ搭載した130kW(174hp)の電動モーターが合計最高出力200kW(268hp)と最大トルク707Nm(72.1kgm)を発生。0-100km/h加速は5秒以下、最高速度は190km/h以上と発表されている。このバッテリーとモーターは、日産と技術面で提携したウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングが開発したものがベースになっているという。そう、F1チームで有名な英国のウィリアムズだ。

もし、スピードよりハンドリングが大事というならば、左右の後輪に伝わるトルクを自動的に制御するトルクベクタリング・システムに注目して欲しい。コーナリング時には外側の駆動輪により大きなトルクを送り込むことで、アンダーステアを抑制することができる。このシステムには「off」、「agile」、「drift」という3つのモードが用意されているという。

ステアリング・ホイール中央には、バッテリー残量、速度、回生モード、トルクマップなどを表示する最新型ディスプレーが搭載されており、その両側に備わる2つのディスプレイは、前輪後方に搭載されたカメラが捉える斜め後方の映像を映し出す。これがドアミラーの代わりになるわけだ。

特徴的なシートのレイアウトについても触れておくべきだろう。ダッシュボードは非常に小さくてシンプルなので、奇妙に見えるかもしれないが、ドライバーに焦点を当てるという考え方は非常に好ましい。日産によると、矢先形状の前方中央に位置する運転席の足元には広々とした空間が拡がり、継ぎ目のないウィンドスクリーンによって全ての座席からパノラミックな景色が楽しめるそうだ。ちなみにドアは東京モーターショーの出展車両と逆に後方ヒンジで開く。

このプロトタイプは、リオのオリンピック・パーク内の常設展示用のほか、メディアやVIPの試乗用としてもう1台が用意されるという。これらを見る限り、ブレードグライダーは再び日産の最優先事項となっているように思われる。航続距離や充電時間など、疑問はまだ沢山あるが、日産の最新コンセプトカーは、低価格で大量生産が可能な、環境問題を重視するエンスージアストが熱望する完全電動スポーツカーとなる可能性がある。これによって日産のEVは「家電製品」から一歩先へ進むことができるだろう。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー