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富士重工業は26日、今秋に発売予定の新型「インプレッサ」を国内で初めて公開し、集まった報道陣に開発者たち自ら、この新型車に掛ける想いや開発の裏話などを語った。

安全性と質感
5世代目となる新型インプレッサは、「SUBARU GLOBAL PLATFORM」と呼ばれる次世代プラットフォームを初採用したモデルということで、「根幹から刷新、根本から見直す開発」が行われたという。これはつまり、単一車種の新型が登場するということのみならず、スバル車全体のフルモデルチェンジを意味する。では、次世代のスバルはまず、その先駆けとなるインプレッサで何を目指したのか。今回の発表会で大きく謳われたことは、要約すれば「クラスの枠にとらわれない安全性と質感」ということになる。



安全性の面では「10年先の安全性能」を目指し、「骨格をさらに固く、だけどしっかりつぶれる(衝突エネルギーを吸収する)、さらにキャビンはしっかり守る」という相反する要件を満たすプラットフォームを開発したという。そのために衝突実験は「何度やったか分からない」そうだ。これにスバルが先鞭を付けたと言っても過言ではない衝突回避被害軽減ブレーキを軸とした運転支援システム「アイサイト」の最新バージョンを標準で装備。さらに乗員だけに留まらず、スバル初の歩行者保護エアバッグを採用し、これも全車に標準装備とした。もちろん、新プラットフォームは受動安全性だけでなく、走りの基本性能も高まったことで、危機回避性能も向上しているという。



そしてスバルの人たちが新型インプレッサを語る際に、口々に何度も強調していたのが「質感」だ。これは「DYNAMIC × SOLID」と名付けられた新デザイン思想を採用したエクステリア(エンジン・ルームを開けたときのすっきりした見栄えにも拘ったそうだ)や、8インチの大型ディスプレイを搭載しインパネにまで本物のステッチを入れたというインテリアによる"静的質感"だけでなく、走りや乗り心地から感じる"動的質感"の向上にも力を入れたという。開発者の話によれば、人間は1,000分の1秒に起こることを感じられるということで、サスペンションの動きなどを1,000分の1秒単位で計測し、記録できる装置をこのために製作して開発に利用したそうだ。



ボディ・サイズは拡大
エクステリアのデザインは、先行して発表されたコンセプトカーに比べると斬新な趣向には欠けるが、毎日乗るクルマはこのくらい外連味のない方が飽きが来なくて良いかもしれない。特に低くて伸びやかな4ドア・セダンの「インプレッサ G4」は端正にまとまっていると感じた。5ドア・ハッチバックの「インプレッサ SPORT」は、今後登場する派生モデルとの関連まで考えてデザインされているのに対し、G4は単独で完結したデザインにできたということもあるらしい。インプレッサ SPORTは全長4,460mm × 全幅1,775mm × 全高1,480mm、インプレッサ G4は全長4,625mm × 全幅1,775mm × 全高1,455mmと、それぞれ現行型よりも40mm長く、35mm幅広い。そして全高は、インプレッサ SPORTが15mm高くなっているのに対し、インプレッサ G4は逆に10mm低くなっている。ホイールベースは両車とも35mm延長されて2,670mmとなった。



ますます大きくなったサイズに関して、日本では批判もあるかと思われるが、スバルの米国における好調な販売を考えれば、そちら方面からの要望に応えた(応えざるを得なかった)結果であろうことは想像に難くない。それでもスバルのエンジニア達は様々な工夫を凝らすことで、左右のドアミラー間の寸法と、最小回転半径を従来と同じに留めたという。これにより「取り回しは今まで通り」と彼らは説明する。

全幅1,775mmは確かに我が国の道路や駐車場では大きく感じるだろう。だが、Cセグメントのベンチマークであるフォルクスワーゲン「ゴルフ」や、日本国内でも競合するマツダアクセラ」に比べたら、まだ実は20mm以上も小さい。ただ、この下にフォルクスワーゲンは「ポロ」を持ち、マツダには「デミオ」がある。もはや5ナンバー・サイズの真性スバル車が望めそうもないことは残念だ。




マニュアル・トランスミッションは廃止
ボンネットの下に低く縦置きされるエンジンは、自然吸気としてはスバル初の直噴式となったFB型水平対向4気筒を採用(「BRZ」の直噴システムはトヨタ製)。2.0リッターの排気量から従来型をわずかに(4ps)上回る最高出力154ps/6,000rpmを発生する。この他に1.6リッター・ユニットも用意されるそうだが、これについては後日発表とのこと。駆動方式はこれまで通り、全輪駆動と前輪駆動が選べる。トランスミッションはついに「リニアトロニック」と呼ばれるCVTのみとなり、マニュアル・トランスミッションの設定は予定がないそうだ。燃費に関しては具体的な数値も含め一切発表がなかった。新プラットフォームの採用で特に軽量化されたという話も聞かなかったので、先代から大幅アップは期待しない方がよいかもしれない。



サスペンションの型式は前ストラット式、後ダブルウィッシュボーン式ということで先代と同じだが、各部位の厚みを増したり、それによる重量増をアルミニウムの使用拡大で相殺するなど、剛性向上に向けて様々な改良が施されているという。特にリアのスタビライザーが車体に直接取り付けられたことで乗り味は大きく改善されたそうだ。生産性の面からこれまで難しかったそうだが、試作車を製作して社内で試乗させた結果、こんなに違うのならやろうということになったと、担当エンジニアの方は仰っていた(駐車場から路上に走り出るだけで違いが分かるとか)。ちなみにサスペンションは日本仕様、欧州仕様、米国仕様と、基本的にはすべて変わらないそうだ。ただし、装着するタイヤ(16〜18インチのサイズや、サマータイヤとオールシーズンの違い)に合わせて微調整されているという。

発売は今秋
新型インプレッサは、8月から全国各地で展示イベントを開催し、9月に先行予約が開始となる予定。発売は「今秋」ということで、具体的な日付は「認可取得がまだなので」お答えできないとのことだった。価格は装備が充実したこともあり現行型より高くなりそうだ。公式サイトは以下のURLから。もっと写真が見たいという方は、3月のニューヨーク国際オートショーで発表された際の記事もご覧いただきたい。

スバル 公式サイト:新型インプレッサ
http://www.subaru.jp/impreza/