ノルウェー政府、フィヨルドを渡る交通手段として水中にチューブ状の橋を建設予定
ノルウェーといえばフィヨルドが有名だ。その光景は息をのむほど美しいが、ノルウェーに住む一般の人々にとっては厄介な存在でもあるに違いない。岩に囲まれた入り江の間を行き来するには、わざわざカーフェリーを利用しなくてはならないからだ。ノルウェー政府が幾多にも及ぶフィヨルドをつなげるべく、海中を通る浮橋の建設に大胆な投資を計画している背景には、そういった事情もあるのだろう。

これらの"水中に浮かぶ橋"は、海底トンネルと似たもののように思われる。だが、フィヨルドは場所によって水深が異なるため、このスカンジナビア半島の国では海底トンネルとは違うアプローチを取る必要がある。それが、ポンツーンと呼ばれるフロートを用いて水深100フィート(約30m)の位置に橋を浮かべるという方法だ。地形的に可能な場所では、チューブ状の橋をケーブルで海底のフィヨルドとつなぎ安定性を高めるという。橋は進行方向別にそれぞれ1本、計2本のチューブで構成される。

この手法にも課題はある。未来の技術を紹介するブログサイト『Inhabitat』によると、このノルウェーのシステムは史上初の試みであるため、設計チームはいくつもの技術的に難しい試験を通さなければならないようだ。悪天候や潮の満ち引き、そして潮流にポンツーンがどれだけ対応できるのかが、まったくの未知数なのだ。ならば、通常の橋でいいのでは? と思うところだが、同記事によればフィヨルドは広範囲で水深もあるため難しいという。ノルウェーの岩壁の多い地形と時折ひどく荒れる天候には、吊り橋も適さない。また、ノルウェー海軍も、支柱があると船舶によるフィヨルド内での任務遂行に支障を来すという理由で、通常の橋の建設には反対の意を唱えている。

こういった浮橋を何本建設する予定なのかはまだ明らかになっていないが、ノルウェー政府はこのプロジェクトに250億ドル(約2.6兆円)を投入する目算を立てている。完成は2035年を目指すそうだ。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー