テスラが新たなマスタープランを発表! 太陽光エネルギーや都市交通の分野にも参入
7月20日、テスラモーターズイーロン・マスクCEOは、2003年に同社を設立した当初から述べてきた販売戦略である"マスタープラン"の新たな構想を明らかにした。

もともとマスタープランには、"4つのステップ"があると予告されている。ステップ1は、「生産数の少ないスポーツカーを作る(最初に誕生した市販モデル『ロードスター』)」。次いでステップ2として「その売上で手頃な価格のクルマを作り、生産数も増やすこと(2車種目となる『モデルS』)」。そしてステップ3が「さらにその売上で、もっと手頃な価格のクルマを作り大量生産すること(3月に米国で公開された『モデル3』。販売開始は2017年下旬とされている)」だった。

では果たして4つ目のステップとは? 昨年9月に米国で発売が開始されたテスラモーターズ3番目の車種である「モデルX」のことではない。先日の発表によれば、「消費者に太陽光エネルギーを供給すること」であるという。それは先月、マスク氏が太陽光発電ベンチャーの「ソーラーシティ」を買収すると言い出すまで、我々には思ってもみなかったことだ。マスク氏がどう言おうと、テスラモーターズは"いち自動車メーカー"に過ぎなかったはずである。しかし、同社は確実に変化している。以前のURL「teslamotors.com」から"motors"が取られ、現在は「tesla.com」になっていることが象徴するように、その変化は明らかだ。

"新マスタープラン"で発表されたマスク氏の新事業計画は次の通り。まずは電気自動車に関わるインフラ設備の充実を図り、将来的にすべての住居で必要なエネルギーを太陽光発電で賄うシステムを作り上げること。そしてすべての主要なセグメントに電気自動車を投入すること。自動運転車においては安全性を十倍進歩させること。さらに、人々がカーシェアリング・サービスでテスラの自動運転車に乗ることができるようになり、自家用車を持つよりも経済的負担が少なくて済むようになること、である。

上記の計画では、ソーラーシティの買収について詳しく触れていない。家庭用蓄電池の「パワーウォール」が、ソーラーシティのソーラー・ルーフ・システムに統合されるということだけだ。そのことに関しては、マスク氏から改めて具体的な説明があるだろう。

本来のクルマの話に戻ろう。マスク氏によると、テスラモーターズがモデル3に続く、さらに低価格の大衆向けEV車を作る予定は無いそうだ。それには2つの理由が挙げられる。1つはモデル3の需要に応えるため、生産台数の大幅な増加が必要とされていること。そのためには当然、安定した黒字収益が必須だ。そして2つ目の理由として、テスラが現在、トレーラーなどの大型トラックや、多くの人間を一度に運ぶことが可能な都心のバスや路面電車などの電動化を目指していることがある。これら都市交通の分野への参入については、現在はまだ開発の初期段階であり、2017年には発表される予定とのことだ。

これらに完全自動運転の技術を組み合わせ、テスラは車両サイズの縮小やオペレーターの廃止(車両管理担当者や物流関係者にとってはおそらく朗報だが、トラックやバスの運転手にはそうではない)が可能になると確信している。自動運転や車両間通信技術によって公共交通機関と貨物配送を集中管理あるいは分散管理(またはその両方)すれば、最大限の効率と最小限の混雑を実現できるという論理である。

自動運転の問題について、テスラは開発中のオートパイロット・システムをベータ版(試用版)として提供することは正しかったと断固たる姿勢を貫いており、適正に使用すれば典型的なドライバーが操作するよりはるかに安全であると主張している。さらに同社は「悪評を恐れたり、法的責任に懸念が残るという理由だけでオートパイロットのリリースを延期するのは、非難されるべきこと」とも述べている。今後、オートパイロットの廃止や名称変更は起こり得ないと思われるので、同システムの安全性が平均的なクルマの十倍に向上し、「ベータ版」の文字が外されることを期待したい。

最後は、カーシェアリング。これは、ほぼ文字どおりの内容となっている。1日24時間のうち、あなたは実際にどのくらい自家用車を使用しているだろう。テスラは、顧客が所有する完全自律走行車を、本人が使っていない時に他のユーザーに貸し出せるようにしたいと考えている。需要(クルマを借りたい人)が供給(顧客が所有するクルマの台数)を上回る都市部では、自社車両を投入して対応するという。素晴らしいアイデアに思えるが、実行にはまだ細かな部分の検討や各地域に合わせた規制対応などが山積している。去る5月、テキサス州オースティンでライドシェアサービス「Uber」と「Lyft」が営業停止措置を取った一件は記憶に新しいだろう。

テスラの新たな事業計画は、非常に盛りだくさんな内容となっている。これらがテスラの将来にどのような意味をもたらすのか、また同社の経営状況についてのさらなる分析や解説も、いずれご紹介できるだろう。

By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー