「シェルビー・コブラ」最初の1台がオークションに出品へ
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8月に米国カリフォルニアで開催されるモントレー・カーウィークでは、毎年オークションで高値を付けたクラシックカーが話題となる。中でも数億円の値が付くのはだいたい決まっていて、フェラーリやメルセデス・ベンツ、ブガッティといったブランドだ。しかし、今年はちょっと違う。テキサスの養鶏家が作り上げたブルーの小型ロードスターに注目が集まっているのだ。RMサザビーズ主催のオークションに出品されるそのクルマは、キャロル・シェルビー氏が初めて製作した記念すべき1台目となる「シェルビー・コブラ」。シャシーナンバー「CSX2000」のプロトタイプだ。

このコブラは、後に製造されたモデルや現在のレプリカとは大きく異なる。ボンネットの下に収まるV型8気筒エンジンは、289や427ではなく260立方インチ(4.3リッター)。そして極太のラジアル・タイヤの替わりに、細いクロスプライ・タイヤが装着されている。しかし最も注目すべき点は、シェルビーの手が加わりながらも、ベースとなったAC エースのパーツが多く見られることだろう。例えばテールライトはルーカス製(おそらく今は製造されていない)で、"メイド・イン・イングランド"の表示も確認できる。ノックオフ式ワイヤー・ホイールのセンターにもACのロゴが刻まれている。

オークションに出品される多くの貴重なクルマのように、このコブラにも興味深い歴史がある。最初に製作されたこのコブラは、シェルビー氏自身が所有していた。当時、シェルビー氏はこの車両を宣伝に使用し、いくつかの自動車メディアに同車の試乗テストを提案した。RMサザビーズによると、米国の大手自動車雑誌『Road & Track』が行ったテストでは0-60mph(約96.6km/h)を4.2秒で加速し、時速153マイル(約250km)に達したという記録がある。現在でもかなり速い方だが、1962年当時は驚異的なロードカーだったわけだ。シェルビー氏は各自動車メディアに試乗させる度に同車のボディ・カラーを毎度塗り直し、世間に何台も生産しているように見せかけていたという。

このCSX2000は完全には修復されていないが、長年使用してきた割にボディはそこまで劣化しているようには見えない。あちこち塗装が削れていたり、傷がついていたりとはっきりしたダメージもあるが、そんなものは無視してこの素敵なブルーに輝くボディを見てほしい。退色したフォード・ブルーのバルブカバーや、CSX2000と刻まれたシャシー・ナンバーの古びたプレートが、実に味わい深い雰囲気を醸している。インテリアのレザーは傷みや破れがひどいが、このオリジナルのコブラの新オーナーにはこの状態のまま残してほしいものだ。これらの損傷は見た目こそよくないが、それもこのクルマの素晴らしい歴史の一部なのだから。

キャロル・ホール・シェルビー・トラストがこのCSX2000を売却する理由は、キャロル・シェルビー氏が生前に指示を出したからだという。ネイル・カミングスと共にシェルビー・トラストの管財人を務めるジョー・コンウェイ氏は、「キャロルと(RMオークションズの創設者の)ロブ・マイヤーズ氏はコブラ1号車について何度も話し合いました。彼らは良い友達同士だったのです。2人はキャロルがこの世を去った後、ロブがキャロル・ホール・シェルビー・トラストのためにこのクルマをオークションに出品するということで合意しました。これは彼ら2人にとってとても感情的な合意なのです」とRMサザビーズに語っている。そして次のように付け加えた。「ネイル・カミングスと私はただキャロルの希望を実現しているだけなのです。キャロルにとって大切な人たちや、彼のビジネスや財団を長年支えてきた人々を軽視しているわけではありません」。

8月19〜20日に開催されるモントレーのオークションで、RMサザビーズはこのCSX2000以外にも、多数の歴史的重要なシェルビー・コブラを出品する予定だ。詳しくは公式サイトをご覧いただきたい。




By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー