スパゲッティ柄をラッピングした「BMW i3」に、「これはアート・カーではありません」とBMW
"芸術とは何か"という討論は、大昔からなされてきた。その歴史は洞窟に壁画が描かれた頃か、あるいはもっと前まで遡るに違いない。そんな議論はもちろん、今も至るところで交わされている。例えば写真の「BMW i3」。BMWはこのスパゲッティ柄のi3に、芸術性はないと主張している。

BMWはわざわざプレスリリースで、このi3が「BMWアート・カー」シリーズではないと宣言するのみならず、作者でアーティストのマウリツィオ・カテランは、芸術作品を制作したわけではないと公式に発表すべきだと判断した。このi3はアートでもBMWアート・カーでもないそうだ。我々も間違ってもこのクルマをアート・カーと呼ぶつもりはなかったが。

このラッピング塗装が施された電気自動車は、フランスのアルル地方で7月4日から9月25日まで開催されているアルル国際写真祭のために製作された。BMWのプレスリリースでは「スパゲッティー・カー」と呼ばれている。なるほど。


以下は公式リリースからの抜粋である:

「混乱しないでいただきたいのは、マウリツィオ・カテランが製作したこの車は、公式なBMWアート・カーではないということです。作者カテランの希望により、アルル国際写真祭の終了後に破棄される予定です」

願わくば、ラッピング部分だけを剥がして燃やしてもらいたいものだ。そうすればその下にある素晴らしいi3を救い出すことができる。

「マウリツィオ・カテランはニューヨーク州にあるグッゲンハイム美術館で2011年に開かれた回顧展を最後に"芸術"からは退いていますが、アッパーイーストサイドの施設のために純金製便器を製作しました」

ちなみに、マルセル・デュシャン作の『泉』についても芸術性の有無に関する討論がされている。

カテランは"芸術"それ自体よりも芸術の"定義"に取り組んでいるようだ。

芸術ではないと呼ばれるものに芸術性が感じられるのは皮肉ではないか。これは我々の理解の範疇を超えているのかもしれない。とにかく、BMWのプレスリリースの中で書かれている有益な情報は、次期アート・カーは「M6 GT3」をベース・モデルとして、2016年の終わりか2017年の初めに完成するということだけだ。現在はジョン・バルデッサリとツァオ・フェイという2名の芸術家の手によって制作が進められている。それが食品を描いたものにならないことを信じたい。


By David Gluckman
翻訳:日本映像翻訳アカデミー