【ビデオ】スモールオーバーラップ衝突試験、助手席側は運転席側より安全性が劣るという結果に
米国道路安全保険協会(IIHS)が2012年に導入した「スモールオーバーラップ前面衝突試験」は、速度40mph(約64km/h)で走行させた車両の運転席側前面の4分の1を、高さ約1.5mのバリア(障壁)に衝突させ、それまでよりも浅いオフセットで前面衝突する状況を再現したものだ。この試験で高い評価を得たクルマは、運転席側と助手席側の乗員を同様に保護してくれると、当然のように考える人が多いだろう。しかし、IIHSが最近行った調査によると、多くのクルマで助手席側の保護が運転席側に比べて甘いことが明らかになった。

IIHSは今回、運転席側のスモールオーバーラップ衝突試験で評価の高かった小型SUV7台を対象に助手席側でも同じ試験を実施、4段階評価で最高となる「Good(優)」を獲得したのは2016年型ヒュンダイ「ツーソン」のみで、残り6台の評価はその下の「Acceptable(良)」から最も低い「Poor(不可)」までの間に分かれる結果となった(2015年型のホンダ「CR-V」やマツダ「CX-5」はAcceptable、2014年型スバル「フォレスター」はMarginal(可)、2015年型トヨタ「RAV4」はなんとPoorだった)。

今回の結果を受けてIIHSは、助手席側のスモールオーバーラップ衝突試験の評価を、「トップセーフティピック(TSP)」という優良車両を認定する際の基準の1つに組み込むべきかを真剣に検討しているという。IIHSのシニア・リサーチ・エンジニアであり、今回の研究の筆頭筆者であるベッキー・ミューラー氏は試験結果について、「これは乗員保護に関する重要な問題であり、さらなる研究が求められる」と語り、「2014年の統計では、1,600人を超える助手席の乗員が正面衝突事故で亡くなっているのだ」と続けている。

スモール・オーバーラップ衝突試験が実施されるようになってから、13の自動車メーカーが97車種の車体構造を見直し、そのうち約4分の3が改善後に「good」評価を受けている。IIHSの前面衝突試験は通常、運転席にダミーを座らせ、運転席側にバリアを衝突させて行う。クルマに必ずしも助手席に人が乗っているとは限らないことを考えれば、理に適っている。

IIHSの上級副会長兼チーフ・リサーチ・オフィサーのデビッド・ズービー氏は、「自動車メーカーが、当協会でスモール・オーバーラップ試験を行っている運転席側の衝突保護性能をまず改善させようと注力するのは当然だ。実際、それで運転席側に改善を施したクルマが早急に増えるのであればと、当協会もしばらくの間それを推奨してきた。だが、将来的には車体のどちら側にも同等の保護性能が確保されることを期待している」と述べている。

今回のIIHSによる試験で明らかになったように、同じクルマのフロント・シートでも、どちら側の席に座るかによって安全性は大幅に異なる。ミューラー氏によると、助手席側の安全性を向上するためには乗員室全体を強化しなくてはならず、そのために自動車メーカーは新たな素材を採用するか、部材の厚みを増す必要があるという。IIHSからの最高評価は、誰もが手に入れたい称号だ。もし同協会が助手席側のスモール・オーバーラップ衝突試験を正式に採用し、2018年にもその評価をTSPの認定基準に組み込むことにすれば、各自動車メーカーを即座に動かすことができるだろう。




By Joel Patel
翻訳:日本映像翻訳アカデミー