Porsche Carrera 4S
 昨年10月の東京モーターショーが世界初披露となった、新型ポルシェ「911 カレラ4/カレラ4S」、そして「タルガ4/タルガ4S」に、南アフリカはヨハネスブルグにて試乗することができた。
 変更の目玉は、もちろんエンジン。先に登場したカレラ/カレラSと同様に、そのリアエンドには水平対向3.0L直噴ツインターボエンジンが収められる。

Porsche Carrera 4S Porsche Targa 4
 スペックは「カレラ/カレラS」に変更はない。「カレラ4/タルガ4」が最高出力370ps、最大トルク450Nmなのに対して、「カレラ4S/タルガ4S」ではそれぞれ420ps、500Nmを獲得している。いずれも従来モデルに対して20ps、60Nmの上乗せだ。特に最大トルクに関して、従来は5600rpmで発生していたのに対して、新型では1700-5000rpmという低中回転域が得られるようになっているのに目をひく。尚、両者ともエンジンの基本部分は共通であり、ターボチャージャーのコンプレッサー径と排気系、そしてECUのセッティングの違いにより、出力に差をつけている。

Porsche Targa 4 Porsche Carrera 4S
 このエンジンに組み合わされるPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)と呼ばれるフルタイム4WDシステムは、ターボと同様にトランスファーに従来の電磁多板クラッチに代わって電子制御油圧式多板クラッチを採用しており、これによりアクティヴに前後駆動力配分を可変させる。MT車はこれにリア機械式LSDとブレーキ制御を組み合わせたPTV(ポルシェ・トルク・ベクトリング)が、そしてPDK車は電子制御LSDを使ったPTV Plusが組み合わされる。

Porsche Carrera 4S
 44mmワイドなリアボディに、リアライト間のガーニッシュを備えたエクステリアも、やはり「カレラ/カレラS」に準じてフロントエプロンやテールランプなどのデザインが刷新されている。フェイスリフトではあるが、デザインに取って付けたようなところはなくすんなりと溶け込んで違和感は皆無だ。

Related Gallery:Porsche Carrera 4S

Related Gallery:Porsche Targa 4
Porsche Carrera 4S
 では走りの面ではどうかと言えば、こちらも首を傾げるような要素は、どこにもまったく無い。特に新しいターボエンジンの仕上がりの良さには改めて感服させられるばかり。低回転域からピックアップに優れ、ナチュラルなレスポンスも、リニアなパワーの盛り上がりも、そして典型的な「911」らしいエンジンサウンドも、すべてが文句無しの出来映えと言うことができる。

Porsche Carrera 4S Porsche Carrera 4S
 トランスミッションの完成度の高さも、エンジンの良さを引き立てている。MTはデュアルマスフライホイールの採用で変速が更に滑らかになっているし、PDKは更にバーチャル中間ギア、つまりあるギアでは低過ぎるが、その1段上のギアに入れるほどではないエンジン回転数の時に、両方のギアを半クラッチで繋いで適切なエンジン回転数を保つというパナメーラ譲りの機構を使って、燃費とスムーズさを改善している。
 おそらく、このターボ化に否定的な人はまだ相当数居ると思う。しかし一度その走りを試してみれば、ほとんどの人が結果に納得するはずだと筆者は信じている。もちろん心情的な部分までは、簡単には譲れないとしても。

Porsche Carrera 4S
 それにしても、これだけ低回転域からトルクを充実させても、走りにまったく破綻が無いことには唸らされる。トラクション性能は万全で、敢えてドンッと一気にアクセルを踏みつけてみても、容易にはスキッドすることがない。もちろん、上には「911ターボ」のようなモデルもあるだけに当然ではあるのだが、ともあれ新エンジンとなって、フルタイム4WDの圧倒的なトラクションというメリットが更に強調されるようになったのは確かだろう。

Porsche Carrera 4S Porsche Targa 4
 逆に言えば、従来の「カレラ4」や「タルガ4」は、車重が若干増え、しかもトラクション性能には余裕があるだけに、自然吸気3.4Lエンジンでは特に低速域で、ここぞという時のパンチが足りなくも感じさせたのは事実だ。しかしながら新エンジンの高いフレキシビリティの恩恵は大きく、新型では「カレラ4」ではもちろん、「タルガ4」でもまったく痛痒を覚えることが無かった。これは購入を考えている人には朗報ではないだろうか。

Porsche Targa 4 Porsche Targa 4
 様々なメリットがあるフルタイム4WDだが、実際のところ普段の走行では、ほとんどそれを意識させられることはない。細かく観察すれば、舵角が残った状態のままでアクセルを入れていくと、コーナー出口に向けて引っ張り出されるような感覚があるぐらい。それだって違和感ではなく、安心感という話で、その他はごく自然に、高い安定性を提供してくれる。まったく、大したものなのだ。

Porsche Carrera 4S
 おそらく、理解していたターボ化された新しいパワーユニットと、フルタイム4WDのマッチングは憎たらしくなるほど良い。「最新は最良」なんて常套句を使うことには抵抗があるが、しかし新しい「911」のフルタイム4WDモデルを味わい、その言葉が思わず頭に浮かんだのも、これまた事実なのである。

■ポルシェジャパン 公式サイト
http://www.porsche.com/japan/jp/