富士重工業は、7月21日に発売となるスバルレヴォーグ STI Sport」を、東京都渋谷区にある代官山T-SITEで公開中。俳優の高橋克典さん達を迎えて記者発表会とトークショーが6月30日に行われた。

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レヴォーグ STI Sportは、現在のスバル車で最も販売台数が多いという人気モデル「レヴォーグ」の走行性能や質感をさらに高めたという最上級グレードとして新たに設定される。その名前が表すように、スバルのモータースポーツ部門であるSTI(スバルテクニカインターナショナル)が開発に関わり、"走りの質感"を上げるため、サスペンションにビルシュタイン製ダンパーを組み込み専用チューニングを施したほか、"内外装の質感"を高めるボルドー色インテリアや、専用デザインのフロント・グリル&バンパー、LEDフォグランプ、18インチ・ホイールなどが装備されている。



ただし、パワートレインはこれまでのレヴォーグとまったく同じ、2.0リッターと1.6リッターの水平対向4気筒直噴ターボ"DIT"を搭載する。2.0リッターの「FA20」型は最高出力300ps/5,600rpmと最大トルク40.8kgm/2,000~4,800rpmを発揮し、1.6リッターの「FB16」型では170ps/4,800~5,600rpmと25.5kgm/1,800~4,800rpmを発生するというスペックも、他のグレードと共通。トランスミッションも相変わらず、「リニアトロニック」と呼ばれるCVTのみの設定だ。

では、確かに魅力が増した内外装はともかく、STIの名前が付くわりに"走り"に関してはダンパーとスプリングを変えただけなのかというと、実はそれだけではないという。スバル国内営業本部マーケティング推進部担当部長兼宣伝部長の中村亜人氏にお話を伺ったところ、「ステアリング・ギアボックス取付部の剛性を上げたり、フレームの板厚を上げたりとかして、かなり剛性感だとか、ハンドリングが上質になるようなチューニングを施している」そうだ。「STIの名前を付けるからには、(単にパーツを取り付けるだけではなく)本気で取り組んで全体を良くしたいという思いが開発陣にあったみたいなんですね。ウチのエンジニアは真面目だから」と仰る。ラリー・ドライバーの新井敏弘氏は、これに乗り「50m走っただけで全然違うと分かった」と語ったそうだ。

以上のお話から分かるように、このレヴォーグ STI Sportは、既にSTIがレヴォーグ用に発売しているアフターパーツを最初から組み込んだだけのクルマでは決してない。それどころか、STIから販売されているエアロパーツや、「フレキシブルタワーバー」などシャシー剛性を高める後付けパーツの類は、このクルマでもディーラー装着オプションという設定になっている。つまり、レヴォーグ STI Sportに施されたチューニングは、あくまでも専用のものであり、標準グレードのレヴォーグを後から同じように仕上げることは基本的にできない。




チューニングに関しては実際に乗ってみないと分からないが、インテリアの魅力は一目で分かる。ワインの産地に由来するボルドー・カラーは展示車のダークグレー・メタリックによく合っていた。内装はこの色のみとなるが、全8色から選べるボディ・カラーには、STI Sport専用として「WRブルー・パール」も設定されている。本革シートの形状自体は標準モデルと変わらないようだが、各部に赤いステッチが施され、メーター・パネルでも赤いリングとSTIのロゴが点灯する。



これだけ手が入っているにも拘わらず、標準モデルの「GT-S EyeSight」に同等のオプション(本革シートやアドバンスドセーフティパッケージ)を加えた価格と比べると、20万円ほどしか高くなっていないというのは良心的に思われる。これまで「レガシィ」や「フォレスター」に設定されてきたSTI製コンプリートカーには手が出なかった人たちも、これなら購入を考えてみようという気になるのではあるまいか。今後は他のモデルにも、STI製コンプリートカーとは別に、スバルとSTIのコラボレーションによる「STI Spot」モデルを設定していきたいと、中村氏は語っていた。



ところで、このレヴォーグ STI Sportにマニュアル・トランスミッションの設定があればすぐにでも欲しいという方も少なくないと思われるのだが、中村氏によればやはり、レヴォーグが評価されている点の1つに安全性能というものがあり、現状ではEyeSightを付けるとなると、どうしてもATになってしまうということだった。もちろんMTを求める声は届いているそうなので、今後は安全性能より運転の醍醐味を熱望する一部の顧客に向けて、特殊なモデルとして登場するかもしれない。その際にはやはり、STI製のコンプリートカーになるのでしょうか? とお訊きしたところ、「そうですね。そうなっちゃいますよね。だからやっぱり高いものになっちゃうので」とお答えくださった。多くの顧客に手が届くSTI Sportでは、コストの面でも安全性の面でもそこまでやれない、というわけだ。




トークショーのゲストとして登場した高橋克典さんはご自身もクルマ好きで、若い頃からクルマに「ずいぶんお金を使ってきました」とのこと。「ホイールを替えたり、内装を変えたり、エンジンの内部以外は全部やったこともあるんですが、このレヴォーグ STI Sportは見事に全部パッケージされていて、(外装も内装も)何も足りない物がない。だけど余計なところまでやってあるわけじゃなくて、非常にちょうどいい形で出来上がっているクルマだなと感じました」と語る。レヴォーグのオーナーに最も多いという40代の男性は「家族と過ごす時間や、仕事で打ち合わせに使ったり、あるいは1人で走りを楽しんだり、そんな様々な局面でクルマを使うことになるじゃないですか。(このレヴォーグなら)荷物をたくさん積んで家族と出かけたり、きちっとした服装で商談のために乗って行ったり、気分転換に1人で峠へ走りに行ったり、色んな局面の全てに対応できるクルマだと思う」と評していた。



高橋さんは世界ラリー選手権の取材に行かれたこともあるそうで、「ドライバーは新井敏弘さんだったんですけど、かっこいいんですよ、現場に行くとスバル・ブルーを着たスタッフの人たちがだーっといて。みんな戦士なんですよね。スバルが出てくると観客もすごく盛り上がるんです。そんなレースにチャレンジし続けている、攻め続けている姿勢というのが、できる限りのことを精一杯やっている40代、50代にすごく合致するんじゃないかと。周りや家族のために一生懸命働いて、自分のロマンだけを追い求めることはできない。でもロマンも大事にしたい。だからスバルのようなチャレンジ・スピリットを感じさせるクルマに乗っていたい、そういうものを身近において、影響を受けたいなという気はすごくしますね」と話す。EyeSightについては「僕は自分で運転するのが好きなので、手を離してもクルマが走るようになって欲しくないタイプなんですけど、例えば、クルマ好きの旦那さんが買っても奥さんがあんまり運転が好きじゃない場合、雨の日なんかに奥さんが運転しても安全だから、本人も安心だし、家族も安心できる」と語っていた。

新車発表会に芸能人が呼ばれることは少なくないのだが、当たり障りのないところを褒めて(色が綺麗とか)あとは自分のことばかり話す人もいるのに対し、高橋さんの言葉はレヴォーグ STI Sportの本質的魅力を的確に語っていると感じたのは、記者が只野仁やサラリーマン金太郎のファンだからというだけではないだろう。




代官山T-SITEでは、7月3日までレヴォーグ STI Sportの展示イベントを開催中。コーヒー1杯の無料提供や、SNSで投稿するとデザート・チケットのプレゼント(1日先着50名)などをご用意しているという。蔦屋書店内のクルマ関係フロアには「スバルコーナー」も開設され、1/5サイズのスバル360モデルカーや過去の名車カタログが展示されている。ここでスバル関連書籍を購入すると、レヴォーグ STI Sportロゴ入りクリアファイルがプレゼントされるそうだ(詳しくはこちらから)。

これまで以上に質感が向上したレヴォーグ、あるいは身近になったSTIのクルマに興味を抱いた方は、以下のURLから公式サイトをご覧いただきたい。


スバル 公式サイト:レヴォーグ STI Sport
http://www.subaru.jp/levorg/stisport/