最高出力550馬力なのに最高速度は8km/h!? 先代「フォードGT」のプロトタイプがオークションに登場
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これは先代「フォード GT」の開発中に製作された「CP-1」と呼ばれるプロトタイプ。CP-1とは、「Confirmation Prototype One」の略で、つまり全てが機能する最初の試作車ということだ。シリアルナンバー "VIN 004"が付けられたこのクルマが、先日開催されたバレットジャクソンのノースイースト・オークションに出品された。

オークション主催者の説明によると、このCP-1は2008年にフォード GTの有名なコレクターで、復活したフォード GTについての著作もある人物がフォードから買い取ったという。これ以前に製作されたプロトタイプにはドライブトレインが搭載されていないが、この車両は完全に作動する5.4リッターV8スーパーチャージャー付きエンジンと6速マニュアル・トランスミッションを搭載し、インテリアも完成されている。さらに、この開発に関わったキャロル・シェルビーや、現フォード・モーター会長のビル・フォード、チーフ・デザイナーおよびチーフ・エンジニアのサインが書かれている。だが、これらのクールな特徴の他に、試作車ということで市販されたモデルとは異なる奇妙な点もある。例えばステアリング・コラムはフォードのミニバン「ウィンドスター」から流用したものだ。

内装のヘッドライナーはアルミニウム製で、市販モデルより洗練と静粛性に欠ける。リアのクラムシェルは非常に軽量なカーボンファイバー製だが、1台分のコストが4万5,000ドル(約460万円)も掛かると知ったフォードの幹部によって、市販化の際にこのアイディアは破棄された。

エンジンにも市販モデルとは異なる点がある。スーパーチャージャーとバルブカバーはブラックで、市販されたGTのようにシルバーやフォード・ブルーではない。開発段階の要素も残っている。排気ガスを検査するための"スニファー・パイプ"が排気管に取り付けられているのだ。

このGTはとてもクールだ。しかし、実は運転して楽しむことはできない。フォードはこのCP-1を売却する際に、走行速度を5mph(約8km/h)以下に制限するチップを埋め込んだのだ。バレットジャクソンは、この550馬力で最高速度8km/hのクルマを6月25日のオークションに出品したが、入札は最低落札価格に届かず、売買は成立しなかった。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー