伝説のユニコーンのようなフォード「RS200」をネット・オークションで発見
全てのフォード車が成功作だったわけではない。特にスーパーカーの中には不運なクルマも存在した。"ブルー・オーバル"(フォードのエンブレムを指す)のファンに往年のフォードで最速のクルマは何かと訊けば、ル・マンを制した「GT(GT40)」、映画『60セカンズ』の「エレノア」として有名になった「シェルビー GT500」、1990年代のレアな「コブラR」などの伝説的な名前が挙がるだろう。しかし、その中には忘れられがちではあるが、他のどれよりもホットなクルマだと言い切れるものがある。

フォード「RS200」だ。

信じられないほど危険な世界ラリー選手権(WRC)グループBを制すために生み出されたフォード RS200は、まさに"公道を走るレーシングカー"だった。信じられないほどのパワーを発生する小さなターボ付き4気筒エンジンをミドシップに搭載し、4輪を駆動するパッケージングは、技術の最先端を行くマシンと言えた。

ラリーの出場資格を得るために課せられた生産台数はわずか200台。写真のクルマは希少なその1台だ。グループB時代の終盤に製造された、この1986年モデルのRS200は、先日オークション・サイトの『eBay』に出品され、入札開始価格が25万ドル(約2,560万円)、落札価格は27万1,100ドル(約2,865万円)という、そのパフォーマンスの高さに比例するかのような高値で取り引きされた。伝説のユニコーンのようなクルマだ。

この個体は完全なオリジナルの状態で、グループBが行われていた当時と同じくらい活きが良さそうに見える。ミドシップ・マウントされたコスワース製1.8リッター直列4気筒は、ラリー仕様で450ps、公道仕様で250psを発生。そのパワーはコクピット前方に置かれた5速マニュアル・トランスミッションと4輪駆動システムを介して路面に伝えられる。

0-60mph(約96.6km/h)加速は3秒ちょうどだが、わずか24台のみが生産されたと言われている希少な「エボリューション」モデルはさらに速く、2.1秒を記録したこともある。この「RS200E」は排気量が拡大された2.1リッター・エンジンを搭載し、最高出力は600psを超えた。フォードはRS200を世界ラリー選手権グループBに参戦させるため、連続する12カ月以内に200台のロードカーを製造するという必須条項を満たさなければならなかったが、ほとんどの情報源によれば、実際に販売されたのはそれよりもかなり少ない数だったとされている(一般的には146台といわれている)。

今回出品された個体を特に興味深いものにしているのは、その経歴だ。出品者の情報によると、このRS200は最後に生産されたうちの1台(シャシー・ナンバー #169)と言われており、英国ボアハムにあるフォードのモータースポーツ部門に保管されていたが、1994年8月に米国ミシガン州のコレクターに売却されたとのこと。



米国で公道走行の認可を得ているかどうかは不明だ。情報をまとめると、米国には"展示車"として輸入されたようだ。この輸入条項の下では、歴史的に重要な希少車のために排ガスや衝突安全テストが免除される。しかし、展示車となれば、実際に走行できる距離が制限される可能性もある。これについてはさらなる調査が必要だろう。

現在の所有者は3人目とのことで、車両はテキサス州サンアントニオで保管されている。RS200の多くはコレクションとして現存しているが、この1台は保存状態もとても良く、走行距離計が示しているのは僅か1,983kmに過ぎない。

この記事をご覧の皆さんなら、RS200とフォード「GT」のどちらがお好みだろうか?


注:この記事は『BOLDRIDE』の掲載記事を転載・補足したもの。

By BoldRide
翻訳:日本映像翻訳アカデミー