サーキット専用のマクラーレン「P1 GTR」を公道走行可能にした「P1 LM」が5台のみ限定発売
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マクラーレンの市販モデルの中で最も速く、最も深くモータースポーツに根差すその歴史を体現していた「P1」は、最初から公道仕様のスーパーカーとして設計されていた。しかし、続けて発表された「P1 GTR」はサーキット専用車となってしまったが、英国企業のランザンテが、これを再び公道へ引き戻した。

ランザンテという名前に馴染みがない方のために説明すると、この企業はマクラーレン「F1 GTR」を"セミ・ワークス"として1995年にル・マン24時間レースで優勝させた、陰の立役者である。マクラーレンは当時、レース専用車両のF1 GTRを28台生産した後、そのスペックをベースに公道走行可能な6台の「F1 LM」と呼ばれるモデルを生産した。そのうち1台は本社で保管され、残る5台が販売されている。ランザンテは今回、それと同じ方式を踏襲し、サーキット走行専用のP1 GTRをベースに、公道走行を可能にした「P1 LM」というモデルを限定販売すると発表したのだ。

ハイブリッドのパワーユニットはP1 GTRの合計最高出力1,000psを維持したまま、99オクタンのガソリンを高温で燃焼させるようにエンジンをリチューン。かつてのマクラーレン F1と同様、エンジン・ルームには遮熱のために金箔が貼られ、エキゾースト・システムは軽量なインコネルという超合金製。さらにチタン製のボルトやテールパイプ、レキサン樹脂製ウインドウ、マクラーレン F1 GTR用の軽量なシートを採用し、同時にレース用の装備であるオンボード・エアジャッキなどを廃止したことで、P1 GTRより60kgも軽量化されているという。ホイールとタイヤは専用品だが、P1 GTRの「レース・アクティブ・シャシー・コントロール」はそのまま搭載されている。

ボディは基本的にP1 GTRと共通だが、リア・ウイングを変更し、より大きなフロント・スプリッタ等を装着することによって、ダウンフォースを40%引き上げた。ルーフはカーボンファイバーの下地が見えるように仕上げられている。

インテリアも、ダッシュボードやセンターコンソール、シートバック、ルーフ、フロアマットまでカーボンファイバー仕上げ。シートのインサートや、たくさんのスイッチ類が装備されたステアリング・ホイールにはアルカンターラが張られている。公道用として必須のエアコンは標準装備。

F1 LMに倣い、P1 LMは6台しか生産されず、そのうち5台のみが販売されるという。ボディ・カラーは1台が写真のプロトタイプと同じダーク・グレー、残る4台はオレンジ色になる。



これだけ大掛かりに手を加えていることや、P1 GTRの価格がすでに3億円を超えていたことを考えると、P1 LMを自宅のガレージに置くにはいくら支払わなければならないのかなんて想像もしたくない。幸せな5人のオーナーには、2017年1月より納車が始まる予定だという。車両本体のほか、工具類や診断用タブレット、専用ボディ・カバー、バッテリー充電システム、そして1/8スケールのモデルカーと額装されたレンダリングが付属するそうだ。

発売に先駈け、写真のプロトタイプが6月23日に英国で開幕したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公開され、名物のヒルクライムに挑戦した。ステアリングを握ったのはマクラーレンのファクトリー・ドライバーでインディ500の優勝経験もあるケニー・ブラック。彼は、ニュルブルクリンクで顧客向けに販売する実車のセットアップも行うことになっている。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー