『スター・トレック』出演俳優のアントン・イェルチンが事故死 ジープのシフトレバーが原因か
6月19日に起きたアントン・イェルチンの悲劇的な死は、愛車のジープ「グランドチェロキー」の既に知られていた設計上の欠陥による可能性があるようだ。近々公開予定の人気SF映画『スター・トレック』の最新作にもパヴェル・チェコフ役で出演していたこの27才の俳優は、自宅前の私道にクルマを停めて降車した後、後退してきたクルマとレンガ製の門柱との間に挟まれ、押しつぶされたと報じられている。

2014年と2015年モデルのグランドチェロキーは、停車したつもりの車両が動いてしまう危険があるため、ダッジ「チャージャー」クライスラー300」と共にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が4月にリコール対象車として指定している。イェルチンが所有していた2015年モデルのグランドチェロキーには「Eシフト」が装備されていたが、これは一般的なシフトレバーのようなギアをセレクトした際のはっきりとした感触がないため、多くのドライバーが「P(パーキング)」に入ったと誤って判断し、「N(ニュートラル)」のままクルマから降りてしまうという事例が起きている。それが原因で現在までに41人の負傷者が確認されており、イェルチンの死もこの不具合に関連している可能性があると見られる。

メーカー側はリコールの時点で、「こうした事故に巻き込まれた車両を調査したところ、設備上の故障は見つかりませんでした」という声明を出しているものの、エンジンが始動中にトランスミッションが「P」に入っていない状態でドライバー側のドアが開けると警告を発するようになっているのだが、こうした警告だけでは十分ではなかった可能性があるとしている。この問題の解決策として、車載ソフトウェアのアップデートでドライバーへの警告を強化し、後継のモデルでは設計変更する予定だという。

FCAのスポークスマンは米国版Autoblogの取材に対し、次のように語っている。「リコールについては、該当する顧客には当社から通知が送られています。通知にはシフトレバーの正しい操作方法も記載されており、この補助的な情報は車両のオーナーズ・マニュアルにある使用説明を繰り返しお伝えしたものです」。

イェルチンは1989年3月11日、ロシアのサンクトペテルブルクで生まれた。フィギュアスケートのペアだった両親は、彼がまだ生後6か月の時に米国へ難民として移住した。キャリアの盛りにあったイェルチンは、最近、制作中の映画数本に出演しており、そのうちの『スター・トレック BEYOND』は米国では7月に、日本では10月に公開予定だ。なお、イェルチンの遺体を発見したのは、彼がリハーサルに現れないことを不審に思った彼の友人たちだったと伝えられている。


By Noah Joseph
翻訳:日本映像翻訳アカデミー