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1959年に"クラシック"MINIを設計したサー・アレック・イシゴニスは、今回発表されたMINIの新コンセプトカー「VISION NEXT 100」を見たら、きっと笑うのではないだろうか。オリジナルのMINIは、効率的なパッケージングと巧みなエンジニアリングに挑むという側面が強かった。MINIがハンサムでアイコン的なクルマとなったのは、意図的なエクステリア・デザインによるものではなく、そんなイシゴニスの設計が見事に成功していたからだ。一方でこのコンセプトカーは間違いなく巧みにパッケージングされているが、いかなる未来的な通信機能や自動運転機能を備えているとMINIが主張しようとも、ほぼ純粋にスタイリングの実験作であると言えるだろう。

MINIは、自身のパロディーとしてのMINIを生み出すことから脱却できないように見える。重そうなフローティングルーフ、人なつこい丸目の名残を留めた"ヘッドライト"、そして巨大なセンターメーター。お決まりのものなしに本質的なブランドの特徴を表現することができないというのは、いかにもドイツらしい。

MINIのデザインはワンパターン化している。新世代のクルマを開発するたびに、従来と変わらない基本のデザイン言語を、大型化したハードウェアに拡大しているだけだ。今回のVISION NEXT 100 プログラムは、MINIが同じデザインを繰り返すだけでなく、姿勢や考え方、ドライバーとのつながりなどを世間に伝える絶好の機会となるはずだった。MINIとはバッジや丸目のヘッドライトだけではない、ということを示すべきだったのだ。

MINIの名誉のために言っておくと、インテリアは非常にすっきりしている。フロントにエンジンがないこともあり、比較的広い足元の空間やディスプレイにもなる巨大なフロントガラス、必要最低限の計器盤。空間の効率性という点で、軽やかですっきりとしていて本来のMINIの理想が感じられ、過度に感情に訴えてはいない。

だが、未来志向の表明というのは、報われないものだ。我々はこのコンセプトカーを、文字通りMINIの100年後の姿と見なすことはできないが、MINIが現在ブランドを特徴づけている典型的なデザインから脱却できないだろうということは感じられる。MINIがこのワンパターン化から抜け出す方向を見出すように期待したい。


By Alex Kierstein
翻訳:日本映像翻訳アカデミー