日産、バイオエタノールを水素に改質して電気を発生させる新たな燃料電池自動車を開発
2015年秋の東京モーターショーで、日産カルロス・ゴーンCEOは燃料電池自動車に関して落ち着いた様子で、2020年を目処に日産が水素燃料電池自動車の市場へ参入することを計画していると発表した。日産は「リーフ」など排ガスを出さない電気自動車をすでに市場に投入しているため、会社として急いで手を打つ必要がないのだ。そして今回、日産は宣言した期間内に製品化を予定している新たな燃料電池ドライブトレインの技術を発表した。

水素自動車の普及に向けた主な課題の一つは、広範囲に及ぶガソリンやエタノールのサービス・ステーション・ネットワークに比べ、燃料供給のインフラが圧倒的に不足していることだ。ダイムラーAGやフォード・モーター・カンパニーと共同で従来型の燃料電池技術も開発している日産は、同時に「e-Bio Fuel-Cell」と呼ばれるまったく新しい燃料電池システムの開発にも注力していたのだ。

従来の燃料電池システムでは、クルマは限られたサービス・ステーションで加圧水素を高圧タンクに充填しなければならない。だが、この「e-Bio」システムでは、さとうきびやとうもろこしなどを原料にしたバイオエタノールから、車載された特別な改質装置を使用して、水素を作り出すことが可能になった。つまり、従来型のポンプで、比較的手近な燃料を供給できるようになる。日産はさらに、エタノールには水を最大55%混ぜ合わせることができるため、燃料供給設備のコストも安くて済むと語っている。

しかし、このシステムを稼働する前に、日産が対処しなければならない問題がいくつか残っている。例えば、このシステムはかなり高温で稼働し、高熱を発生するため、熱管理が必要となるのだ。さらに、温度変化はシステムの耐久性にも影響する。

日産は、この新しい「e-Bio Fuel-Cell」システムはゼロ・エミッションではないと語る。改質を必要としない燃料電池車が熱と水蒸気だけを排出するのとは違い、水素を改質すれば二酸化炭素が排出されるからだ。だが同社では、バイオエタノールの原料となるさとうきびの成長過程で二酸化炭素が吸収され、相殺されるため、このシステムは「カーボン・ニュートラル」だと述べている。


By Antti Kautonen
翻訳:日本映像翻訳アカデミー