【2016 ル・マン24時間レース】雨のスタート! 長く激しいバトルが始まる
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フランス時間の18日午後3時(日本時間午後10時)、伝統の2016年ル・マン24時間レースがスタートした。

といっても、実はこのスタート時刻前、サルト・サーキットでは雨が降り始め、コースとそこに並んだ60台のマシンを濡らす。各車は溝が刻まれたタイヤを装着し、24時間レースはセーフティカーの先導でゆるやかに始まった。1995年に関谷正徳氏と共に総合優勝に輝いたヤニック・ダルマスがドライブするセーフティカーの後を、予選のタイム順に3台ワークスのLM P1マシン、ポルシェ 919ハイブリッド、トヨタ TS050ハイブリッド、アウディ R18が2台ずつ走行する。LM GTE Proクラス予選4番手だった67番のフォード GTはコースに出ず、ガレージ内へ。シフト系のトラブルらしい。



セーフティカーによる先導走行が50分ほど続いた頃、雨が止み、セーフティカーのライトが消え、ついにレースが本格的にスタート。直後にアウディ7号車がトヨタ5号車を抜き、4番手へ。ポール・ポジションのポルシェ2号車が先行し、2番手のポルシェ1号車が後ろから迫るトヨタ6号車とアウディ7号車を抑える。アウディ7号車がトヨタ6号車を抜きに掛かり、これにやり返したトヨタはさらにポルシェ1号車の前に出る。1周目の最後、シケインでトヨタ6号車はさらにポルシェ2号車までオーバーテイクしてトップに立つ。メインスタンドの観客から大きな声援が上がる。これを追うアウディ7号車がポルシェ1号車をかわす。実質的なレースの開始からわずか5分でこれだけのバトルが繰り広げられた。





上位陣ではまず7号車のアウディが、続いて8号車のアウディも1回目の給油のためにピットへ。トヨタ5号車はポルシェ2号車も抜いて2位へ上がる。これでトヨタがワン・ツー。ポルシェ1号車もピットへ戻り、次の周にトヨタの2台が同時に、そしてポルシェ2号車もピットストップ。ところがこの時、一時的にトップを走行していた7号車アウディが再びピットへ戻って来る。ターボチャージャーのトラブルでこれを交換し、結局コースへ復帰したのは20分後。アウディの1台がトップ争いから後退した。

替わって首位に立ったポルシェ1号車とアウディ8号車が激しくバトルを繰り広げ、そのすぐ後ろにトヨタ6号車が迫る。



レース開始から2時間が過ぎるころ、各車2度目のピットストップが始まる。これまでほぼ同じペースで戦っていた3チームに違いが見られ始めたのは、コース上ではなくこのピットストップの時だった。規定により燃料タンクの小さなアウディが12周を走ってピットへ給油に戻るのに対し、ポルシェは13周目でピットへ。ところがトヨタの2台は、ドイツのライバルたちと互角のペースで走りながら、彼らより多い14周を走ってからピットへ戻ったのだ。これはその後、レースが進んでもほぼ変わらず。つまり、1スティント(1度給油してから走れる周回)で、トヨタはポルシェより1周多く、アウディより2周多く走れることが判明したわけだ。計算上、24時間のレースでトヨタはポルシェよりピットストップが2回少なくて済む。給油のみのピットインに掛かる時間は約1分。これはトヨタにとって最終的に大きなアドバンテージになるはずだ。トヨタが"根拠のある優勝候補"として考えられるようになったと言えるだろう。このトヨタの強さを知ったポルシェがやるべきことは、トヨタを上回るペースで走るしかない。1位ポルシェと2位トヨタの間がやや開く。

そんなトヨタに僅かな綻びが生じたのはレース開始後3時間45分頃。ルーティーンのピットインを終えたばかりのトヨタ5号車がまたすぐにピットに戻ってきたのだ。交換したタイヤから大きなバイブレーションが出たため、緊急的にピットへ戻り再びタイヤを交換したという。実際に止まっていた時間は僅かだが、これで上位から少々離されることになる。

これで順位はトップからポルシェ1号車、トヨタ6号車、アウディ8号車、ポルシェ2号車、トヨタ5号車、そして大きく遅れたアウディ7号車はこのとき総合22位。



トヨタの省燃費作戦が順位に影響を及ぼすことになるのは、レース開始から6時間が過ぎた頃だった。ここまでトヨタとポルシェはピットインの度にトップを入れ替えていたのだが、ポルシェ1号車が、コース上に起きた事故によるスローダウン区間のためタイムをロスしたこともあり、トヨタ6号車はピットインを済ましてからまたポルシェの前でコースに戻ることに成功したのだ。

夜を迎えた現在の順位は1位トヨタ6号車、2位ポルシェ1号車、3位ポルシェ2号車、4位トヨタ5号車、5位アウディ8号車、6位レベリオン・レーシング13号車、7位アウディ7号車。

LM P2クラスのトップは平川亮もドライバーとして参加しているティリエ・バイ・TDSレーシングのオレカ05 ニッサン。予選クラストップだったKCMGのオレカ05 ニッサンは松田次生がドライブ中にコース途中で止まってしまった。レース序盤から雨のせいで電気系にトラブルが出ていたという。



LM GTE Proクラスは序盤からフォード GTとフェラーリ 488GTEが激しいバトルを繰り広げる。ワークス・チームのポルシェ 911RSRは順位を下げたが、替わってアストンマーティンが1周遅れで追い掛ける。

このままトヨタに何事もなければ、日本人ドライバーによる日本車の初優勝が成し遂げられる可能性も高い。