ル・マン24時間レース開催に合わせて、パリのトヨタ・ディーラーでは過去と未来のスポーツカーを展示中
ル・マン24時間レースの開催に合わせて、フランス・パリのトヨタ・ディーラーでは魅力的な数台のクルマが展示され、街を行く人々の注目を集めている。



トヨタが将来のスポーツカー・デザインを探求する中で、その可能性の1つを示すべく製作したという「FT-1」は、BMWと共同開発されているとか、「スープラ」後継車になるのではと噂されているフロント・エンジンのコンセプトカーだ。2014年の北米自動車ショーでデビューした際には赤いカラーリングを纏っていたが、パリで展示されているのはシックなグレイのボディにタンの内装。初公開から2年も経つのに、今年の東京オートサロンでもやはり赤い車両が出展されていたことを考えると、このプロジェクトはトヨタの中で順調に進行しているのではないかとの希望的観測が浮かんでくる。



FT-1がトヨタの未来なら、一緒に置かれている「トヨタ 2000GT」は過去の遺産。長いフロント・ノーズに縦置きされたエンジンや、短いファストバックのリア・エンドとそれを両側から囲む豊かな曲線のリア・フェンダーなど、半世紀近い時を超えて受け継がれるデザイン上の共通項が見られる。ヤマハ発動機が開発を担当した、名前の通り2.0リッターの直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、1967年当時の価格は238万円。(大卒者平均初任給の推移から)現在の貨幣価値に換算すれば、1,800万円ほどになる。FT-1が市販化されたら、そのくらいの価格になるのかも...なんて想像も働く。パリに置かれているのは左ハンドルの前期型だ。



2台のスポーツカーと並んで、店内には2015年の東京モーターショーで展示された奇妙で魅力的なコンセプトカー「KIKAI」も置かれていた。トヨタで開発に関わった方のお話では、「最近のブラックボックス化しているクルマに対するアンチテーゼ」として製作されたそうで、サスペンションの動きやパワーユニットなど、"機械"がよく見えるデザインになっている。エンジンはFF用の横置き4気筒をそのまま車体後部に搭載。もちろん、実際に走らせることも可能だそうだ。



トヨタが近年製作した数多くのコンセプトカーの中から、この2台がパリに展示されているというのは興味深い。自動運転や燃料電池など同社自慢の先進技術ではなく、根源的な運転の楽しさ、クルマの楽しさを最もストレートに感じさせるモデルが選ばれたような気がするからだ。この花の都から南西に約200kmほど離れたル・マン市で、間もなくハイブリッドのレーシングカーによる24時間の戦いが始まる。ドイツのライバルに予選から速さで明らかな差を付けられた昨年と異なり、今年は(2014年のようなポール・ポジションこそ取れなかったが)レースでも充分に互角の戦いができそうだ。トヨタGAZOO Racing公式サイトのトップページには今、こう書かれている。「トヨタよ、敗者のままでいいのか。」もちろん、いいわけがない。トヨタが勝者となるための24時間レースは、日本時間の18日22時にスタートする。