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今年もル・マン24時間レースの時期がやってきた。6月18日〜19日の決勝レースに先駈け、まずは5日にフランスのル・マン市郊外にあるサルト・サーキットで、公式テストデーが行われた。

ご存じのように、現在のル・マン24時間レースはFIA世界耐久選手権の第3戦として組み込まれているのだが、やはりル・マンは別格ということで出場車両数も多く、今年は全部で60台のマシンがエントリー・リストに名前を連ねる。その中で総合優勝を争うトップ・カテゴリ「LMP1」クラスには日独の自動車メーカー3社が2台ずつ、ハイブリッドのレーシングカーを送り込む。




昨年のル・マンでは歴代最多となる17勝目を挙げたポルシェは、今年も「919ハイブリッド」で連覇を狙う。2.0リッターの4気筒ガソリン直噴シングルターボ・エンジンは、市販車の「718ボクスター」や「718ケイマン」に搭載されている水平対向とは異なり、90度V型。昨年から軽量化や燃焼効率の改善など様々な改良が施されたが、燃料流量のレギュレーション変更により最高出力は500psに低下しているという。ハイブリッド・システムは、制動時にフロントアクスルが運動エネルギーを回生するのに加え、エンジンの排気ガスがタービンを回して発電するという、2種類のエネルギー回生システムを備える。生成された電気はリチウムイオン・バッテリーに蓄えられ、これによって400psを超える電気モーターが前輪を駆動する。つまり、一時的に900psの4輪駆動になるわけだ。ル・マンでは1周あたりで使える回生エネルギーの放出量と燃料の使用量が規則で4つのクラスに設定されているが、ポルシェは昨年同様、最も電気の力を使う代わりに燃料の量が少なく制限される8MJ(メガ・ジュール)を選択している。




昨年6連勝を阻まれたアウディは、ゼロから再設計したという新型マシン「R18」を投入。4.0リッターV型6気筒直噴ディーゼル・シングルターボ「TDI」エンジンが最高出力514ps以上を発生して後輪を駆動し、「MGU」と呼ばれる電動発電ユニットが制動エネルギーを回生するとともに、300kW(408ps)を発揮して前輪を駆動する。今年はこの電気を蓄えるシステムに、従来のフライホイール式ではなく初めてリチウムイオン・バッテリーを採用した。改良されたエンジンの燃料消費量は10%も削減されているという。回生エネルギーの放出量は一昨年の2MJ、昨年の4MJから、今年は6MJにまた上がった。




悲願の初優勝を(今年も)目指すトヨタも、新型マシン「TS050 ハイブリッド」をゼロから開発。その最大の変更点は、エンジンが先代「TS040ハイブリッド」の3.7リッター自然吸気V型8気筒から、2.4リッターV型6気筒直噴ガソリン・ツインターボになったことだ。MGUは前後に搭載され、減速エネルギーを回生しパワーブースト時には4輪を駆動する。最高出力はエンジンが500ps、モーターが前後合わせて500ps、合計で1,000psと発表されている。電気エネルギーの貯蔵には、昨年まで使用していたスーパーキャパシタに替わり、やはりリチウムイオン・バッテリーが採用された。これまで三者三様だった蓄電システムが今年は統一されたことになる。また、回生エネルギーの放出量もポルシェに倣い、昨年の6MJから今年は8MJに引き上げている。




なお、LMP1クラスには、自動車メーカー系のワークス・チーム以外にも、レベリオン・レーシングから2台、バイコレス・レーシング・チームから1台のハイブリッド・システムを搭載しないマシンが出場する。どちらのチームも独自製作のシャシーに英国のAER(アドヴァンスド・エンジン・リサーチ)製V型6気筒ツインターボ・エンジンを搭載する。




なお、5日のテストデーでは、アウディの8号車に乗るルーカス・ディ・グラッシ選手が、トップ・タイムとなる3分21秒375を叩き出した。1秒弱ほど遅れて2台のポルシェが続き、4番手が7号車のアウディ。5番手と6番手のトヨタは、トップのアウディから約2秒前後の遅れというところ。次にマシンがサルト・サーキットを走るのは15日。フリー走行と1回目の予選が行われる予定だ。


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