クラシックカーに投資しようと考えている人に一番役立つアドバイスは、"フェラーリを買うこと"だ。毎年8月に米国カリフォルニア州で開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは、高額なクラシックカーがたくさん出品されるオークションも行われる。我々は当初、そこで過去に落札された高額なクルマのリストを作ったら興味深いのではないかと考えた。だが、それでは誰もが憧れるイタリアのスポーツカーばかりが並ぶことは明らかで、やや退屈なリストになってしまうに違いない。

それならば、これまでに高額な価格で落札されたアメリカ車のリストを作る方がずっと面白そうだ。あの「バットモービル」も名を連ねるとくれば、面白くならないはずがないだろう。その中から、上位10台を写真と共にご紹介しよう。なお、落札価格は現在のレートで日本円に換算している。



第10位 GM「フューチャーライナー#11」432万ドル(約4億6,000万円)



第9位 1935年型デューセンバーグ「モデルSJ スピードスター"モルモンメテオ"」445万5,000ドル(約4億7,500万円)



第8位 1935年型デューセンバーグ「モデルSJ コンバーチブル クーペ」451万ドル(約4億8,000万円)



第7位 1966年製「バットモービル1」462万ドル(約4億9,000万円)

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1960年代の実写TVシリーズ『バットマン』に登場した本物の劇中車。フォードが1955年に発表したコンセプトカー「フォーチュラ」をベースに、有名なカスタムカー・ビルダーのジョージ・バリス氏がTVプロデューサーから依頼を受け、15日の製作期間と1万5,000ドルの予算で作り上げた。2013年1月のバレットジャクソン・オークションにバリス氏自ら出品した。


第6位 1966年製「シェルビー・コブラ 427 スーパースネーク」550万ドル(約5億8,600万円)

高額アメリカ車のリストは、中盤である6位から価格が跳ね上がっていく。この魅力的な「シェルビー・コブラ 427 スーパースネーク」は、7位のバットモービルより100万ドル近くも高いが、決して不思議な数字ではない。

とてつもなくレアなコンペティション・モデルのスーパースネークは、驚くほどパワフルで乗りこなすのが難しい。キャロル・シェルビーの友人で米国の有名なコメディアン、ビル・コスビーは、そのパワーにインスパイアされて爆笑必至のスタンドアップコメディ・アルバムを制作し、同車の最高速度にちなんだ『200 M.P.H.』というタイトルを付けている(コメディ番組『コスビー・ショー』以前の彼のスタンドアップコメディを知らない人は、ぜひこのアルバムを買うべきだ)。

このシャシー・ナンバー「CSX3015」は長年シェルビーが所有していた個体であり、2007年のバレット・ジャクソン・オークションで550万ドルという高値で落札されたのも十分頷ける。ちなみに当時、アメリカ車としては記録的な金額であった。


第5位 1965年製フォード「GT40 ロードスター プロトタイプ」693万ドル(約7億3,800万円)

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非常に貴重な1965年型フォード「GT40」ロードスターのプロトタイプが5位にランクイン。GT40は100台あまりが製造されたが、そのうち僅か4台のみがオープントップのロードスターだった。このシャシー・ナンバー「GT/108」は、その最初のプロトタイプで、しかも唯一オリジナルの状態で現存する一台だ。2014年8月に米国カリフォルニア州モントレーで開催されたRMオークションにおいて693万ドルで落札されたが、事前には1,000万ドルを超えてもおかしくないと言われていた。詳しくは、こちらの記事で紹介しているのでぜひチェックしてほしい。

第4位 1964年製フォード「GT40 プロトタイプ」700万ドル(約7億4,600万円)

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「GT40」初期に生産されたライトウェイト仕様のプロトタイプ第4号「GT/104」。当初の4.2リッターエンジンより強力な4.7リッターV8エンジンをミドシップに搭載し、ル・マン24時間レースの出場経歴を持つ。1964年の同レース中にエンジンルームから出火してリタイアを余儀なくされたが、1965年のデイトナ2000kmレース(デイトナ24時間レースの前身)に参戦し、ボブ・ボンデュラントとリッチー・ギンサーのドライブで3位入賞を果たしている。

オリジナルのエンジンとギアボックスが今でも作動するというこのクルマは、米国のレーシング史を語るうえでも貴重な一台だ。2014年に米国ヒューストンで開催されたメカム・オークションズに出品され、他のクルマを圧倒する700万ドルという高値で落札された。しかし恐ろしいことに、この価格でも今回リスト入りしたGT40の中では2番目となっている。上には上がいるのだ。


第3位 1965年製シェルビー「コブラ・デイトナ・クーペ」768万5,000ドル(約8億1,900万円)

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シェルビー「コブラ・デイトナ・クーペ」は、GTレースでフェラーリを打ち負かすという使命のもと開発、配備されたレースカーだ。このシャシーナンバー「CSX2601」は、1965年シーズンに幾度となくその使命を果たす。デイトナ、セブリング、モンツァ、スパ、ニュルブルクリンク、ランス・グー、エンナ・ペルグーサ、そしてル・マンに出場し、8戦中4勝を挙げたのだ。この年のワールド・マニュファクチュアラーズ・チャンピオンシップでポイントを稼ぎ、シェルビーにタイトルをもたらした。同シーズンの優勝ドライバーの1人、ボブ・ボンデュラントはこのクーペを購入したが1969年に売却。どうやら手放すのは50年早かったようだ。とはいえ、768万5,000ドルより遥かに安い金額で手放したボブには、今でも輝ける栄誉がある。


第2位 1931年型デューセンバーグ「モデルJ ロングホイールベース クーペ」1,034万ドル(約11億円)

フェラーリだらけのリストにならないようにしていたら、10位以内にデューセンバーグが3台もランクインする結果となってしまった。2011年にペブルビーチの熱狂的な雰囲気の中、グッディング&カンパニーが主催するオークションで落札された「モデルJ ロングホイールベース クーペ」は、デューセンバーグに求められる全ての要素を満たす1台だ。特にこの1931年型モデルJは、伸びやかで美しく力強い完璧な注文製作によるボディを備えており、大恐慌以前のアメリカン・スタイルと職人技の極致を体現している。


第1位 1968年型フォード「GT40 ガルフ・ミラージュ ライトウェイト レーシングカー」 1,100万ドル(約11億7,000万円)

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レーシングカーの歴史を象徴する一台であり、恐らく史上最高にマニア受けするカラーリングをまとった1968年のフォード「GT40 ガルフ・ミラージュ ライトウェイト レーシングカー」。そのステアリングを握って勝利に輝いた有名レーシング・ドライバーは数多く、高い希少性とパーフェクトに近いコンディションを誇る。諸君、これが1,100万ドルの値が付く所以だ。

水色とオレンジ色に彩られたこの美しいGT40は、元は英国のJ.W. オートモーティブ(JWA)がGT40をベースに空力性能を高めた「ミラージュM1」のプロトタイプとして製作した車両で、ジャッキー・イクスとディック・トンプソンによって1967年のスパ1000㎞レースでデビュー戦勝利を飾った。ライトウェイト仕様のGT40は3台しか製作されず、この個体は現存する2台のうちの1台だ。当時まだ非常に珍しかったカーボンファイバーを車体に使用したパイオニアとしても知られている。

この素晴らしいガルフカラーのレースカーは、デビッド・ホッブスやブライアン・レッドマンといった一流レーサーを乗せてきたが、それだけではなく、映画『栄光のル・マン』に出演した"本物のスター"でもあるのだ。俳優スティーブ・マックイーンによって大きな付加価値がもたらされたことは、否定しようのない事実だろう。

「King of Cool(キング・オブ・クール)」と呼ばれたマックイーンとハリウッドでの名声を分かち合い、1,100万ドルの値を付けたGT40。「高額で落札されたアメリカ車トップ10」の締めくくりにふさわしいとはいえ、これはあくまでも暫定トップだ。落札価格が次々と更新されるオークションの新黄金時代が続く限り、このリストは流動的なものになるに違いない。今のうちに、貯金に励んでおこう。


By Seyth Miersma
翻訳:日本映像翻訳アカデミー