HONDA CLARITY FUEL CELL
●テスラに比べると明らかにジミでは?

 ぶっちゃけ凄いです! 話を細かく聞けば聞くほどかなーり凄いんですけどね。ホンダの新作燃料電池車、クラリティ フューエルセル!! 2002年発表のずんぐりむっくりな「FCX」、2008年のシャープな「FCXクラリティに続く新次元エコカーの3代目で、全面改良した高効率燃料電池スタックや、完全新作したプラットフォームなどは特に凄い。ある意味ライバル、トヨタ「MIRAI」以上のモノがあります。

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 同時にクルマ単体だけでなく、将来の水素社会を見越した小型水素ステーションの開発やら緊急時に便利な外部給電システムの提供にしてもハンパない。技術の広がりは確かにホンダらしいアイデア満載のところがステキです。

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 でもね。ぶっちゃけ小沢の知る"チャレンジャー"ホンダとしては、イマイチ振り切れてないように見えるところもあって、結局、コイツが完全市販じゃなくメーカー紐付きのリース販売のみのところや、なんといっても凡庸なるデザインですよデザイン!

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 良く見るとフロント両サイドにはひげ面のオッちゃんの如く鋭いエラが付いててユニークだけど、なんすか全体の鈍重なフォルム? ボンネットの低いFCXクラリティと比べても、段違いのずんぐりむっくりノーズじゃないですか!!


 トヨタMIRAIが「船」だとしたら、クラリティは「クジラ」!! もちろんそこにギュウギュウにシステムを押し込め室内を広くしたのは分かる。でもね。クルマってのは理屈じゃなくてカッコありきなんです。だったら同じずんぐりむっくりでも「MIRAI」の方がインパクトあるし、それより中身は全然違うけどエコなEVとして名を馳せてるテスラ! 同じ無排気ガスセダンとしてはモデルSの方が問答無用にカッコいいと思うんですね。同様に800万円前後で売れる高級エコセダンとして考えますと。
 これだったらもしや見てくれ第一のリッチマンだったりするとアチラを選ぶ可能性も高いと思うんですよ。特に北米マーケットだったりすると。

●「燃料電池車はもうそういう段階は終わった」と清水開発チーフ

 ってなわけで、小沢がそう直球をぶつけるとクラリティ開発チーフの清水潔エンジニアは言いました。
「燃料電池車は"その段階"は終わってると思います。なにより今回のクラリティ フューエルセルは、実際にFCXクラリティに乗っていただいたアメリカのお客さんの反応を見て作りましたから」と。
 なるほど。それも分からなくはないです。実は燃料電池車の最大の問題は燃料電池スタックや専用水素タンクの開発コストもあるけど予想以上の臓物の多さ、室内の狭さがある。
 いい例がライバルMIRAIで、あれって単純に全長4.9m台の高級セダンとして観ると驚くほど室内が狭い。リアシートは2人掛けで定員4人だし、トランクも狭めで床も高め。

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 問題は、単に燃料電池車として燃料電池スタックと水素タンクを必要とするだけでなく、EVとしての走行モーターに加え、ブレーキ回生エネルギーを溜める駆動用バッテリーを持つ「EV」でもあるから搭載パーツが増える。事実、パーツ点数は「普通のクルマが2~3万点だとすると4万点以上」って話まであるわけです。

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 よって新型クラリティ フューエルセルの本当の凄さはそのド根性パッケージングにあってまずモーターを含む駆動系全体のサイズを小型化しただけでなく、搭載角度を傾けて大改善。ユニット高を34%も減らした

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 加え肝心の燃料電池スタックの単体発電効率を1.5倍にし、セル数を約30%減らしてるからスタックを小型化して駆動系の上に搭載。要するにパワー系をフロントに効率的に押し込むことが出来て、結果リア大人3人乗り、それも身長176cmの小沢が乗ってヒザ前に余裕を生むほど広くすることができたわけ。

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 ついでに水素タンクも専用タイプを大小2種類、これまたMIRAI以上にサイズが違うものを開発。リアシート下に大きい方を詰め込んでいるからトランク容量を奥行きこそないものの400L弱も確保出来たし、走行用バッテリーをフロントシート下に集約させて、フロント&リアの足元もそこそこ深くデキた。
 まさにギリギリのせめぎ合いで広い室内を確保しているわけあります。

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●ちょっとヌルいメルセデス的な走り味

 同時にビックリしたのは走りの上質さだ。まずフィットEV用を進化させて130kWとMIRAI以上の最高出力を得た電動モーターだけじゃない。絶妙パッケージングにも大きく関係している新世代プラットフォームを新型クラリティ用にほぼ専用開発。電動車にピッタリの新ストレート骨格を取り入れただけでなく、高λ型980メガパスカル級のハイテン鋼材を乗用車として世界初採用。そのほか超ハイテン鋼材やアルミなどの高価格素材を全体の5割以上も使って軽量高剛性ボディを構成。非常に質感の高い走りを生み出してるわけですよ。

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 同じ燃料電池車とはいえ、やはりトヨタ方式とは違うのか、独特の♪「キラキラキラ」的に少し聞こえる高めのエアコンプレッサー音だけじゃない。ピークトルクは300NmとMIRAIより微妙に落ちるものの力は十分。発進からEVならではの重厚な滑らか加速を見せ、さらに懐の深い乗り心地、キレのあるステアリング、厚みのあるブレーキフィールが凄い。

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 ドイツ車的な強烈なキレこそないものの、小沢的に言うなら「ちょっと角が取れたメルセデス」的上質テイストを提供。そう、発売が少し遅かったのと、車両価格が数10万円高いだけあってか、走りの上質感や広さは確実にMIRAI以上なのであーる。

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 それもこれも「今後出るだろう新作プラグインハイブリッドにも使う」って話の専用プラットフォームのお陰で、考えてみれは新クラリティは、ホンダとしては初の本格電動車。トヨタ以上に専用開発思想を盛り込めたわけで、そういう意味でも手間のかけ方と、出来の良さは際立っているわけです。

●小沢的にデザインインパクトは残念! だがそれも新ホンダ流大人の戦略なのか?

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 よって、戦略も含めてつくづく残念なのはインパクト! これがフェラーリが作った超ミライ派セダン! みたいなカッコだったり、マセラティの新世代EV!! みたいなフォルムだったら凄く話題になったと思うんだけど、ディテールはともかくパッと見はインパクト薄め。

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そのほかインテリアのウッドパネルにしろ、現行レジェンド譲りの若干使いにくいホンダ流スイッチ式ATにしろ「新しいモノ感」はあまりない。
 でもね。繰り返すけどホンダ清水エンジニア曰くこれは「敢えて」。つまり"ワザと"なんですよ。
 テスラやMIRAI、特にテスラなんかはデザインだけでなく、イグニッションスイッチなしで乗るなりすぐさま走り出せちゃうところや、近づくとドアハンドルが勝手に飛び出すところなど、全面で「新しいモノ感」をアピールしてくる。

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 ところがホンダ流は逆。小沢的にはせっかくの燃料電池車、もっともっと「未来から来た感」を出して欲しと思うけど、清水エンジニア曰く、燃料電池車を普通に、日常的に使って欲しかったというのだ。だからこそ乗り心地や質感にこだわったし、大人5人が余裕で乗れるほど広くしたし、ゴルフバッグも3つも積めるし、インパネを普通に上質にしたわけ。

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 つまりMIRAI、テスラ陣営が「ビックリ」で勝負してきたのに対し、クラリティは「マジメ&実利」で勝負してきたという。ホント、大昔の本田宗一郎御大時代とは全く違う新世代のホンダウェイ!!

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 うがって見ると、ホントの勝負は今後GMと組んで出す"完全市販クラリティ"って話もなくはないけど、今回のホンダ流第3の燃料電池車攻撃、やはりその世間の反応が見ものです。果たしてビックリ! が勝つのか? マジメ!! が勝つのか?? ですっ。

■ホンダ 公式サイト
http://www.honda.co.jp/CLARITY/