BMW Motootorrad 2016 F700GS
バイク乗りであれば、一度は憧れる冒険バイク。地形に関係なく何処までも走って行けるという"ロマン"が詰まっているバイクなのだ。そんな冒険バイクの代名詞といったら、BMW Motootorradの「R1200GS Adventure」なのだが、そのまま乗ろうとしたらやはり"でかい"。もう少し身長や体重があったら、"気軽"に乗りこなせるのになぁ......なんてないものねだりをしてみたりするのだが、それは無理なお話。

BMW Motootorrad 2016 F700GS
そんな、「R1200GS Adventure」に乗るのには自信がまだ追いつかない......、という人のために「F700GS」という弟分のようなモデルが用意されている。「R1200GS Adventure」がBMW伝統のボクサーツインに対し、「F700GS」はパラツインエンジンとなり、排気量も798ccと、気軽に乗ることができる冒険バイクとして、初心者や女性に人気が高いモデルだ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
実は、5年ほど前にこの「F700GS」の前身モデルである「F650GS」でドイツとスイスを5日間ほどツーリングしたことがある。しかし、乗りやすいとはいえやはり足着きには多少の不安があり、「F650GS」のシート高は標準で790mm。冒険バイクはデュアルパーパスという特性上、スーパースポーツやネイキッドタイプのバイクと違い、ある程度の車重があるのが特徴。なので、数字的にはそこまで高く見えないかもしれないが、軽いバイクだと気にならない足着きも、この手のバイク(さらに借り物)だと、ちょっと緊張感が走るのだ。でも、日本と違い、ドイツではほとんど足を着く場面がなかったので、不安を感じたのは最初だけ、という肩すかしを食らったりもしたのだが。しっかし、1日何百キロとドイツの道を走っても、多少お尻は痛くなったモノの、全く疲れを感じなかったのよね。BMW恐るべし。と思い知った旅だったのだが......。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
しかし、アウトバーンをかっ飛ぶようなドイツとは違い、ストップアンドゴーの多い日本では、足着き性はかなり重要となってくる。慣れてしまったら気にならない、というものの、ビギナーにとって、とりあえず安全性に勝るモノはなし。そんな要望に応えてか、なんと「F700GS」の日本仕様は、ローシートとストローク量をフロント140mm/リア135mmとした専用サスペンションを装備したローダウン車がスタンダードとなっている。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
それにより、シート高が765mm となり、身長157cmの私でも両足が楽々と届いてしまうという、冒険バイクらしからぬ、驚くべきポジション! オフロードを走れるバイクとは思えぬほどの低さで、250ccクラスのネイキッドバイクと同等、もしくはそれよりも低い数値となっているのだ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS
シートに座った瞬間に「何コレ、扱い安い(笑)」と、思わず笑ってしまったほど。ヒール付きのライディングブーツとはいえ、かかとまで着く寸前、片足だったらべったりと支えられる。跨がった時にこんなに安心感を与えてくれるバイクには、なかなか出会うことができない。しかも、コレ大型バイクのセグメントデスよ! ちびっ子ライダーでも、躊躇なく走り出そうと思わせてくれる懐の深さが嬉しい限り。

Related Gallery:BMW Motootorrad 2016 F700GS
BMW Motootorrad 2016 F700GS
走り出してみると、さすがBMWのバイクらしく力強さを感じさせる。スロットルの開け閉めに対しても自分の感覚に遅れることもなく、また出過ぎるトコロもなくとってもマイルド。エンジンの最高出力は 75ps/7,000rpm、最大トルクは 77Nm/5,500rpm と充分なパワーがありながらも、低回転向けに仕上げられているので扱い安い。低速のトルクがあるのでエンストする心配も無く、スロットルをガバっと開けてもドッカン!といってしまわない特性は、ビギナーにも安心感を与えてくれるはず。「F650GS」と比べると、荒かった部分が削られて、パワーも充分に平均的なトルクで乗り味が随分となめらかになっている。
素直なハンドリングにしっかりと前に押し出してくれる接地感。振動がほとんどなく、どこの領域からも開けられる懐の深さが「F700GS」の最大の特徴ともいえるだろう。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
視線が高いアップライトなポジションは、流れていく景色を楽しむのにも最適だし、どんな荒れた道にも入っていけてしまいそうな勇気も与えてくれる。

BMW Motootorrad 2016 F700GS
しかしながら、そのマイルドさはバイクに乗り慣れた人からしたら、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれない。というのも、ポジション的にもエンジン特性にしても、エントリーモデルとして最適なだけに、自分からメリハリを付けて乗らないと、ただただ、流しているのが気持ちいいだけの乗り心地となってしまう。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
さらには、ローダウン仕様のポジションだと、ハンドル位置が高くなってしまい、ステップの位置も近くバランスがちょっと取りにくく、長い時間乗っていると疲れてしまいそうでも。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
なので、バイクに慣れたベテランさんが、余裕をもって乗るバイクとして、この「F700GS」を手に入れるのならば、「ハイライン」を選ぶことをお薦めする。こちらはシート高が790mm、サスペンションのストローク量が前後170mmとなり、さらに、ESA(電子サスペンション調整機構)やASC(オートマチックスタビリティコントロール)を装備した「プレミアムライン」も用意されているので、もっとハードに乗り込みたい人は、こちらをどうぞ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
BMW Motorradの日本仕様は、どのラインにも基本的にローシートが標準装備となっている。なので、見た目の大きさに威圧されがちだが、跨がってみると意外と身近に感じられ、走り出してしまえば安定感は抜群。不安に思うのは、発進と停止のみだが、このローダウン仕様だったらそんな不安もぬぐってくれる。ちょっとそこまで、なんて商店街へ買い物に行くのにも、乗り出すのが苦にならないバイクだ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS BMW Motootorrad 2016 F700GS
そもそもBMWのバイクは、一部スポーツタイプのモデルを除き、基本的には長距離でも疲れ知らずで何処までも走って行ける"旅バイク"と言われている。それには人間工学的に基づいて設計されたポジションや、エンジンの特性、さらにはクルーズコントロールや、グリップヒーター、ウインドコントロールシステムといった快適性を求めた機能がてんこ盛りに装備されているからなのだ。実際に、BMWのバイクに乗ると、どのモデルに乗っても、疲れない。さらに自分の感覚と実際に出ている速度の差に驚くことが多い。70km /hくらいかなぁ、と思っていても、メーターを見ると100km/hだった、なんてことが良くある。それほど、乗りやすくて快適、ということなのだ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS
実際には、上がりバイクなんて言われることもあるけれど、上位クラスのモデルになると、車が1台どころか軽自動車なら2台は買えてしまうかも......という価格。さらに、バイクに乗ることはスポーツでもあるので、風を受けて身体は疲労し、さらにはいろいろなトコロが痛くなってくるのだが、BMWのバイクに関して言うと、いくら走っても疲れないのである。疲れないということは、体力が衰えてきても乗れてしまう=上がりバイク。とイメージされがちなのだ。

BMW Motootorrad 2016 F700GS
でも、実際に乗ってみると解るのだが、そのゆったりとした"余裕が生まれる"乗り心地は、決して上がりバイクではない。どこまでも走って行けてしまう、長距離を走る冒険者のためのタフなアスリートバイクなのだ。

■BMW Motootorrad 公式ページ
http://www.bmw-motorrad.jp