かつてベントレーのラインアップにはコンバーチブルが2車種あった。「コンチネンタル GTC」という現在も販売されているモデルと、そして数年前に姿を消した「アズール」だ。巨大な「アルナージ」セダンをベースとしたアズールの生産終了に、見栄っ張りで金に糸目を付けない人達はさぞや落胆したことだろう。ところが、ベントレー社のヴォルフガング・デュルハイマーCEOは、この20数年前に誕生した車名を、今度は現行型「ミュルザンヌ」をベースに限定復活させようとしているらしい。

以前のアズールには"開いた口が塞がらない"ほどの値段がついていたが、この新型の価格はさらに別次元のレベルになるようだ。米国の自動車雑誌『Car and Driver』 のウェブ版によれば、デュルハイマーCEOは再誕するアズールについて「20台程度の限定生産で、究極のハイエンドユーザーに高価格で販売する」と語ったという。その仕様や具体的な価格については言及しなかったようだが、同誌は100万ポンド(約1億6,000万円)前後になると予想している。

タイミングも絶妙だ。というのも、ベントレーの最大のライバルであるロールスロイスが、販売の伸び悩みを理由に「ファントム・ドロップヘッド・クーペ」を間もなく生産終了しようとしているからだ。つまり、ベントレーがミュルザンヌをベースとするコンバーチブルを発売するときには、その直接のライバルが不在なのである。

実は、この手の噂が聞こえて来たのはこれが初めてではない。デュルハイマー氏がベントレーCEOとして初の外遊で2012年にペブルビーチ・コンクール・デレガンス を訪れた際、同社は「ミュルザンヌ ヴィジョン コンセプト」(写真)というフルサイズのコンバーチブルをお披露目した。2013年に彼の後任としてCEOとなったヴォルフガング・シュライバー氏によってこの案は棚上げされてしまったものの、その後デュルハイマー氏がCEOに再任すると(ブガッティCEOを兼任)、ほどなく「ミュルザンヌ・スピード」をベースにしたコンセプトカー「グランド コンバーチブル」を発表(画像)。ミュルザンヌのコンバーチブル化計画は復活したのである。

グランド コンバーチブルがデビューした際、デュルハイマーCEOは「このクルマに対する顧客の反応を確認したい」と語っていた。当時の同社のプレスリリースにも「ベントレーの将来的な意図を表明するために開発された」高級コンバーチブルであると記されている。このことは今回の話題を裏付けるものと考えられるだろう。


By Brandon Turkus
翻訳:日本映像翻訳アカデミー