TOYOTA PRIUS
ハイブリッドカーは重たいから高速道路に弱い?
いやいや、そんなこと思ってたら怪我しまっせ。...いや、怪我はしませんけど、それくらいにだいぶビックリしますよということを言いたかったのです。大袈裟ですみません。
新型プリウスだ。

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最近じゃ街のあちこちでもちらほらとあの印象的すぎるテールランプを見かけるようになってきたのだけど、まだまだ納車を待っていらっしゃる方も多いと思う。発売されてしばらくの時を経てはいるが、東京から福島までの約430km、長距離試乗が叶ったので、レポートしたい。

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先に言っておけば、都内〜東北道をさほどエコ運転することもなく、急峻な登り坂を含む山間部を含めたルートにおいて快適にドライブを楽しんだ結果、実用燃費は約23km/L。コレを下回ることは決してなかったということに、私自身がまず驚いてしまったということを報告しておこう。

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ちなみにこの数字、私がステアリングを握っても、当オートブログ日本版編集長チバさんがややワイルドに運転をしても、さほどの差は生まれなかったのも驚きだ。もちろん、これじゃカタログ燃費のJC08モード40km/Lに届くには遠く及ばないけれど、同様の試乗をほかのクルマで行なっても、こんな燃費は絶対に叩き出せないと経験上知っている。いやほんとスゴイ数字なのだ。

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もっかい言うけどどんな踏み方しても20km/Lを下回ることはないなんて!いやはや、バケモノみたいなクルマである。一体どないなっとんねん(いい意味で!)というのが、率直な感想である。

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1997年に初代が誕生したプリウスはいまや4代目に進化し、そのたびに執念にも似た情熱で世界にハイブリッドというものの優位性と商品性をアピールしてきた。特に2代目、3代目は世界的なエコへの意識が高まりつつあるまっただ中で世間の荒波に揉まれて来たという時代背景もあって、とにかくユーザーに"燃費がいい"ということをアプローチする方向に開発の全焦点を充ててきていたと思う。
つまり、燃費以外の走行性能はもとより、使い勝手や室内空間の居住性は、ある程度犠牲にされて来ていたということでもある。
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3代目プリウスは一番安いグレードが205万円から、と、決してめちゃくちゃ安いクルマなわけではなかった。あれこれオプションを付けたり、グレードを選んだりしているとすぐに300万円台、となっていたと思う。
しかし内装はややプラスティックな雰囲気だったし、シートなども軽量化に貢献させるという意味もあって薄さが目立ち、いささかのチープさが随所に漂っていたことは否めない。遮音性の面でもやや疑問が残り、それらのすべてを「いや、エコなんで許してください」でオブラートに包んでいたように思う。

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新型プリウスに乗って、最初に驚いたのはその「燃費のために割り切ってきたアレコレが、お値段以上の高級仕様になった」ということ。新型では全グレードが先代比で10万円程度の値上がりをしているのだけど、この質感を目の前にしたら「あ、ええやん、これやったら300万出しても欲しいね」と納得できる仕上がりになっている。

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まず注目すべきは内装だが、トヨタ初の採用という、ツヤのあるホワイトのコンソールパネルやエアコンまわりの樹脂パネルをはじめ、ダッシュボードの作り込みの細かさなど、室内空間ほぼすべてがイッキに高級感を纏(まと)った。

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ステアリングの向こう側ではなく、ダッシュボードの真ん中に配置されたセンターメーターには好みが分かれるだろうが、このメーター内のデジタル表示はくっきりと見やすくなり、画像も美しい。

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しかし、なによりも素晴らしかったのは、シートの進化だった。
もう、もう、全然疲れないのだ、たとえ430km走っても!
今回の試乗車にはグレー×黒のツートーンがシックな本革シートが用意されていたのだが、そのステッチの美しさもさることながら、肝心な椅子としても据わりがよくて疲労度が少ない。助手席でも運転席でも、無駄にモゾモゾと腰を動かして体重を移動したりしなくてもいいのだ。
私は年季の入った腰痛持ちで、このシートというものの作りにはかなりウルサイ。いや、正確には私の腰が勝手にシートをセンサリングするのだ。どこかに体圧が集中するようなシートであれば、勝手に腰が痛み始める。なんとも厄介な身体である。
だから、それがまったく痛まなかったときの感動ったらない。

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このシートの秘密は、開発者へのインタビューで明らかになった。なんと、新型プリウスを担当したチーフエンジニア豊島浩二氏自身が、尾てい骨を骨折した経験をお持ちなのだという。彼自身が私同様、変なシートに座ると身体が勝手に反応してしまうという厄介な、いやこの開発に当たっては素晴らしいセンサーを持ち合わせていらした、というわけだ。
新型プリウスでは、豊島氏の尾てい骨センサーというお眼鏡に敵うべく、レクサスの上位モデルと同じ一体成形という工法を採用している。

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肝心な加速性能に関してだが、マニアなら新型プリウスの諸元をみて、疑問を抱いた人もいらっしゃるのではないだろうか。
実は新型プリウス、先代比としてモーター+エンジンのシステム出力を数値的にはほんの少し下げている。

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先代はエンジンが99psにモーターが82psでシステム出力は136ps。新型はエンジンが98psでモーターが72ps、システム出力は122ps。およそ1割の低下が図られている。
しかし、この圧倒的に向上した走りの質感の前において、数字だけ見て善し悪しを判断するのはだいぶもったいない。

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走りは全然モッタリしていないどころか、むしろ先代よりもスッキリとシャキシャキして至極レスポンスに優れ、走りの質感が大幅に向上しているからだ。
走行時に感じた疲労度の少なさには先述のシートの貢献も大きいが、なによりも走りが楽しいということにも因る。
プリウスといえば、モーターからエンジンに移行するお馴染みのハイブリッド・フィールは変わらない。しかし、それぞれがツブ立ったというか、性格を明確にしたというか。もったりとした曇りのようなものが取れて、どれもがその輪郭をハッキリと主張しはじめたようなイメージなのである。

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モーター走行から始まるキュンと鋭い加速とともに、車体は転がりはじめからしっかりと速度に乗って行き、やがてエンジンがブン、と小さな音を立てて滑らかに回り始める。この、双方のトルクの持たせ方が見事なので、数字上の出力ダウンなんてあははん、という気分になるのは開発陣の思うツボなんだろうな。

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そうして走った東北道には高速道路ながらカーブも多く存在しているのだが、その旋回半径の大小に関わらずにどのコーナーもビタ〜っとなぞっていけてしまった。つまり、コーナー進入時に一回決めたハンドルの舵角を、一切の切り増しも切り戻しもさせることなくクリアできるということ。いわば、オンザレール感覚とも言えるフィールは、申し訳ないが先代にはなかったものだ。プリウスでこんなにもワクワクさせられるなんて!ちょっとしてやられたような気分にさえなる。

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これには、低重心化(先代比約20mm)や、接着技術を見直したことなどに因る高剛性化(先代比なんと60%!)などが効いているのだが、リアサスのダブルウィッシュボーン式採用も相当にいい仕事っぷりを見せている。コーナーはもとより、段差とか路面の荒れなどのいなし方も、まるで北新地あたりの手練のホステス並みのテクニックだ。

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もちろん直進も安定し、ステアリングの据わりも重厚でブレがない。
さらに言うなら、これまでカックンフィールが気になっていたブレーキの利き方も、恐ろしいくらいにコントローラブルに生まれ変わった。

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もう、これはスポーツハイブリッドと銘打ってもいいのかもしれない。新型プリウスならもっと遠くへ、走りを楽しむためだけに乗り出してもいいくらいだ。
先進装備もトヨタ最上級グレードの「Toyota Safety Sence P」を採用し、安全面でも万全の体制を誇る。
こんなこと言ったら怒られそうだけど、レクサスの下位モデルあたりは喰う質感だと思う。

トヨタはこの新型プリウスから、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)という構造改革をスタートさせた。単なるモジュール化を指すのではなく、クルマづくり全体を世界トップクラスにまで引き上げた上で低コスト化を図るという壮大な計画だ。
その第一弾、スタートがコレということに、期待と夢を抱かずには居れない。ほんと、楽しみになってきた。


■トヨタ 公式サイト
http://toyota.jp