ホンダ、大幅な改良が施された「アコード」を発売
ホンダは26日、ハイブリッド・セダン「アコード」に改良を施し、同日より発売した。いわゆるマイナーチェンジだが、その変更点は内外装のデザインからパワートレイン、さらに様々な新テクノロジーの採用など、多岐にわたる大掛かりなものだ。



「アコード」は、「シビック」の上位モデルとして1976年に登場した初代こそ3ドア・ハッチバックだったが、翌年に4ドア・セダンが追加されて以降、約40年間に渡りホンダのミドルクラス・セダンの代名詞的存在だ。2013年に発表されたその9代目は、日本市場にはガソリン・エンジンに2つのモーターを組み合わせたハイブリッド専用モデルとして投入されている。



アコードに採用されているホンダのハイブリッド・システムは「SPORT HYBRID i-MMD」と呼ばれるもので、2.0リッター直列4気筒ガソリン・エンジンは高速クルージング時には車輪を直接駆動するものの、それ以外の走行時にはもっぱらモーターに送る電気を発電する役目に徹する。今回のマイナーチェンジでは、このモーターが「オデッセイ」で初めて採用された新型に切り替わった。その最大の特徴は、コイルの巻き線が、従来の丸型導線から角形導線に替わり、これまでより高密度化されたこと。従来型のモーターより23%も小型・軽量化されながら、出力は11kW、トルクは8Nm向上している。角形導線自体は他社の(はっきり言えばトヨタの)ハイブリッド・システムでも使われているのだが、ホンダは角形の4本を一気に成型したり、8本を同時に挿入するという独自の製造技術を開発した。ホンダのエンジニアにお聞きしたところ、難易度の高い技術ではあったそうだが、製造時のタクトタイムは逆に短縮され、結果的に製造コストはむしろ下がるという。2基のモーターのうち、1基のみが走行用で、最高出力184psと最大トルク32.1kgmを発生する。もう1基は発電用だが、エンジンのセルスターターの役割も果たす。




発電された電気を貯めてモーターに供給するリチウムイオン・バッテリーは、新開発のセルに替わり、従来と同数(同容量)を保ったまま体積が33%、重量は12.8%縮小された。これにより荷室容量は26L拡大され、積めるゴルフバッグが3個から4個に増えたそうだ。さらに、このハイブリッド・システムを制御するPCU(パワー・コントロール・ユニット)も小型軽量化され、従来はフレームに搭載していたのがトランスミッションに直接搭載することが可能になり、重くて長いケーブル類が不要になったという。

気になるのは、このアコードにプラグインハイブリッド版が出ないのか、ということだが、ホンダの方によると「そういう要望があることは承知しているので、開発はしている」とのこと。となると、世に出るタイミングはこの型のアコードに遅れて追加されるのか、それとも次期型になるのかと質問してみたところ、苦笑しながら「次...かな」と答えてくださった。



アトキンソンサイクル式2.0リッター直列4気筒「i-VTEC」エンジンはこれまでと変わらず、最高出力145psと最大トルク17.8kgmを発生。ただし、エンジンが冷えている時に排ガスの流れを切り替えることによって排熱を回収するシステムが新たに採用され、寒冷時の燃費が向上したという。JC08モード燃費は従来の30.0km/Lから31.6km/Lに改善されている(ベース・グレードのHYBRID LXのみ)。



このパワートレインを操る走りの楽しさも向上させるため、新たに「スポーツモード」が搭載された。このボタンを押すと、アクセル開度に対するパワートレインの応答性が上がり、伸びの良い加速が味わえるという。また、ステアリング・ホイールにはアクセルを閉じたときの減速度(つまり回生ブレーキの強さ)をドライバーが4段階に切り替えることができる「減速セレクター」をホンダ車として初めて採用。従来はDレンジとBレンジの2段階だったが、新型ではより積極的に切り替えて、まるでエンジンブレーキの効きを強めるためにパドルでシフトダウンするような感覚が味わえそうだ。

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さらに走りの楽しさを向上させるため、ブレーキや電動パワーステアリングのフィールも改善されたという。サスペンションも振幅感応型ダンパーに改良型を採用するなど、ハンドリング性能も高められている。シャシーにもフロアブレースバーを追加してボディ剛性を強化した。

なお、これまでのアコードは電気モーターのみで走行していても意外とうるさいという声も聞かれたようで、遮音ガラスや吸音タイプの各部パーツ、そしてアクティブサウンドコントロール(室内ノイズの打ち消し音をスピーカーから流す機能)などを採用し、静粛性の向上が図られている。



そしてもう1つ、今回のアコードに採用されたユニークな新機能に、信号情報活用運転支援システムというものがある。これは都道府県警察が整備を進めている高度化光ビーコンの信号情報を車両が受信し、それと自車の位置・速度情報に基づき「信号通過支援」「赤信号減速支援」「発信遅れ防止支援」の表示を行うというもの。つまり、道路を走行中にどのくらいの速度で走っていれば次の交差点を青信号で通過できるか、あるいは赤信号で停止中ならあとどのくらいで青に変わるか、といった情報がメーター・パネル内のディスプレイに表示されるのだ(上の画像)。また、次の交差点がしばらく赤信号が続くと分かれば、早めにアクセルを閉じて減速していくことで無駄な燃料消費も抑えられる。効率的に走れるというだけでなく、精神衛生上にも非常によろしいと思われる。現在はまだ、このシステムが導入されている地域が少ないのだが(2015年度末現在で対象となる交差点は5,702箇所)、適用路線は今後も順次拡大されていき、2019年度には全都道府県で管制センター設備が整備される予定だという。

ミリ波レーダーと単眼カメラの双方を備える衝突回避・被害軽減システム「Honda SENSING」は全車に標準装備。前走車・対向車はもちろん路側帯の歩行者まで検知する。車線維持支援機能や標識認識機能も搭載。ブレーキだけでなく必要とあればステアリングの制御も行われる。



標準装備の「Honda インターナビ」は、「Apple CarPlay」に対応した。iPhoneユーザーは車載ディスプレイでマップや音楽再生などのアプリを利用したり、通話やメッセージのやり取りも可能だ。とはいえ、世の中にはiPhone以外のスマートフォンを使用されている方も多い。「Android Auto」には対応しないのかとホンダの方に質問したところ、実はアコードのハードウェア自体は既に対応しており、海外で販売されている非ハイブリッドのアコードの中には実際に対応しているものもあるそうだが、日本での展開については「Googleさんの判断待ち」ということになるらしい。




あまりに"中身"が進化したため最後になったが、もちろん内外装のデザインも少なからず変更を受けている。最も目立つのはインラインタイプのフルLEDヘッドライトだろう。導光タイプのLEDポジションランプやLEDフォグランプも装備された。ボディ・カラーにはこれまでの無彩色系に加え、「ディープオーロラ・メタリック」という鮮やかなブルーと、「プレミアムディープロッソ・パール」と呼ばれる深紅が加わった。

インテリアでは木目加飾の色柄が変更され、エアコンの操作パネルやセンターコンソール、ドア内側のパワーウインドウ操作パネルなどがツヤのあるブラックに変わっている。




上級グレードの「HYBRID EX」は、エクステリアにトランクスポイラーやサイドシルガーニッシュが装着され、専用の18インチ・ホイール+235/45R18タイヤや、車内にもスポーツシートを装備するなど、スポーティな方向に振った仕様となった。エンジンスタートボタン付スマートキー・システムも新たに採用されている。レザーインテリアと、チルトアップ機構付フロント電動スモークガラス・サンルーフは、HYBRID EX専用のセット・オプションとして用意される。

消費税込み価格はHYBRID LXが385万円、HYBRID EXが410万円。それぞれ10万円弱ずつ値上がりしたが、Honda SENSINGやLEDヘッドライトをはじめ装備の充実を考えれば納得できるのではあるまいか。詳しい情報は以下のリンクから公式サイトでご確認いただきたい。

ホンダ 公式サイト:新型アコード
http://www.honda.co.jp/ACCORD/