走行距離わずか34kmの2010年型「シェルビー GT500マスタング」をネットオークションで発見
忍耐は美徳であると言われる。この格言があるからこそ、釣り人たちはたった1匹の魚が掛かるのを何時間も待ち続けるのだろう。しかし、酷い渋滞にはまってしまった時などには、実に厳しく受け入れがたい概念にも思えてくる。

忍耐というのは長い年月の間に身に付いていくものだが、540hpのフォード「マスタング」を購入したのに運転せずにいられるほど忍耐強い、あるいは自制心のある人なんているのだろうか? その答えは、どうやら"イエス"のようだ。少なくとも2人は、そんな忍耐強さを持つ人がいた。

最近、インターネットのオークションサイト『eBay』で売りに出された2010年型「シェルビー GT500」は、最初のオーナーの元に納車された時の分も含めて、製造されてから6年間でわずか21.1マイル(約34km)しか走っていない。最新モデルのシェルビーの大半が惜しげもなく乗り回され、レースに出されていることを考えると、これは非常に稀であり、やや奇妙な例だろう。




このクルマには裏話がある。現在のオーナーである出品者によると、この2010年型シェルビー GT500は、G・エリングセン氏が新車で購入したもので、ディーラーから納屋に運ばれて以降、ずっとそこで眠っていたという。

エリングセン氏が将来への投資として保管していたのか、それとも後で運転するつもりだったのか、今となっては分からない。残念なことに彼は他界してしまったため、そのどちらもかなわなくなってしまった。

同氏の死後、このシェルビー GT500は遺品オークションに掛けられ、これを落札した人物(今回の出品者)は納屋にしまったままにしておくことを選んだ。そのため、このクルマは未だに運転されていない。



納屋で眠る希少な中古車を紹介するサイト『Barnfinds』によれば、この6歳を迎える新品同様のポニーカーは、内装にしみひとつないという。ボディに施されたホワイトのレーシングストライプと同様のストライプが、未使用のレザーシートにも施されている。ほとんど使われたことのないTremec製の6速マニュアル・トランスミッションには、ビリヤードの手玉のようなシフトノブが装着されているが、何よりも重要なのは、この野獣がどこでその力を発揮するかということだ(あるいはこのまま眠り続けることになるのかもしれないが)。

シェルビー GT500は、最高出力540hpと最大トルク70.5kgmを発揮する大きな5.4リッターV8スーパーチャージャー付きエンジンを搭載し、0-60mph(約96.6km/h)まで4.5秒で加速する。非常に速いクルマだ。史上最強の662hpを誇る2013-2014年モデルほど好戦的ではないとはいえ、かなり獰猛だ。



ただし残念ながら、このクルマは4万200ドル(約438万円)という価格ですでに落札されてしまった。果たして3人目となる次のオーナーは、ほとんど新車のシェルビーをスロットル全開にして楽しむのだろうか。それとも、少ない走行距離のまま眠らせておくことを選ぶのだろうか。


注:この記事は『Boldride.com』に掲載されたZach Doell記者の記事を転載したもの。

By BoldRide
翻訳:日本映像翻訳アカデミー