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ロサンゼルス(LA)は自動車のメッカだ。この大都市ほど多様な自動車のコレクションを見られる場所は米国内で他にない。皆さんの夢中なものが何であれ、LAにはそれがある。ホットロッド文化から、スーパーカーのコレクター、チューニング・ショップ、オートバイにクラシックカーと多岐にわたる。いつも人間観察をするときと同じようにサンタモニカのベンチに座っていると、クルマのエンスージアストもあらゆる時代と地域のドリームカーを見物することができる。

渓谷沿いの道やパシフィック・コースト・ハイウェイ、マルホランド・ドライブ、またはLAのダウンタウンを走っていると、素晴らしい景色とドライブが楽しめるだけでなく、他の場所ではめったにお目にかかれないクルマに出会うこともある。また、LAには世界有数とまではいかなくても、米国有数の自動車博物館が存在している。その1つがピーターソン自動車博物館だ。あまりクルマの知識がない人にとってこの博物館は、単にきれいなクルマが並んでいる場所に過ぎないが、愛好家にとっては歴史上最も象徴的なクルマを見られる場所である。分かりやすく言えば、芸術を愛する人々のためにルーブル美術館があるように、自動車マニアにはピーターソン自動車博物館があるのだ。



同博物館はウィルシェア大通り沿いのショッピング街、ミラクル・マイルの一角に位置する。その巨大な建造物は、フランク・ゲーリー風のデザインを好む人たちには良い印象を与えるだろう。外観を覆うステンレス製のリボンと中の赤い外壁は、ホットロッドの側面に描かれた炎を連想させる。建物に近づくと、とにかくこの博物館が大きいことが分かる。驚くべきことに、中に入った時のほうが、外から見ていた時よりもさらに大きく感じるのだ。コレクションは、3階建てのフロアおよび地下室に展示されている。




まず、3階にある自動車の歴史のフロアへ行ってみよう。この階にあるクルマの多くは、映画やTV番組に何百回も登場したクルマたちである。例えば、『ラブ・バッグ』で活躍したフォルクスワーゲン「ビートル」の"ハービー"、『バットマン』や『バットマン リターンズ』のバットモービル、『007/ゴールドフィンガー』で使用されたジェームス・ボンドアストンマーティン「DB5」、同じく『007 スペクター』のアストンマーティン「DB10」、そして米TVシリーズ『アントラージュ』の1965年製リンカーン「コンチネンタル」等々。中でも最も素晴らしいクルマの1つは、美しく謎めいたブリティッシュ・レーシング・グリーンを纏った、スティーブ・マックイーンの1956年製ジャガー「XKSS」だろう。



2階は、いくつかあるカテゴリーの中でも、デザイン、パフォーマンス、そしてプロダクションに特化したギャラリーになっている。ル・マン24時間レースで戦ったクルマを間近で見られるのは、素晴らしい経験だ。このフロアにはポルシェのレーシング・ファンにはたまらない、夢のようなコレクションが展示されている。ロスマンズ・カラーの1986年製ポルシェ「962」、マルティーニ・ストライプの1980年製ポルシェ「936」、そしてガルフ・カラーの1968年製ポルシェ「917」。それだけでなく、歴史上で最高にクールなオートバイも見ることができる。フロアのハイライトは1957年製フェラーリ「625/250テスタロッサ」、ゴージャスな1959年製「シボレー・スティングレイ・レーサー」、1995年製マクラーレン「F1」、そして1967年製フォード「GT40 マークIII」と最新型のフォード「GT」。マークIIIの神秘的なオーラとタフなアメリカらしい美しさは圧倒的な存在感だ。その横では50年後の子孫である新型GTのデザインが若干見劣りしてしまうほどである。




1階には、地球上でも最高に贅沢なクラシックカーの数々が展示されている。まるで由緒あるコンクール・デレガンスの会場みたいだ。フロア全体の車両を合わせたら価値は言うまでもなく、その歴史の重さは計り知れない。これらのクルマは王族や位の高い人々の持ち物だった。フロアを歩いていると、時が遡って1930年のパーティー会場にいるような錯覚に陥る。さらに展示を見ようと振り返れば、シャンパングラスが用意されていると期待してしまうほどだ。ただの空想だと分かっていても、なお畏敬の念を抱かずにはいられない。展示されているのは、歴史的な古い自動車だけではない。BMWのセクションには"バットモービル"と呼ばれた1975年製「3.0CSL」が置かれ、その他にも2015年製マクラーレン「P1」、1962年製「シボレー・コルベア・モンザGT コンセプト」、1967年製トヨタ「2000GT」などを見ることができる。



誰が来ても満足できる場所であり、これほどの所蔵を誇る博物館が存在していることが喜ばしい。熱狂的な自動車愛好家だけが喜ぶようなコレクションだけではなく、歴史的、文化的観点で偉大な傑作を紹介してくれる場所である。ピーターソンに展示されている生きた歴史が、工学、空気力学の進歩、素材の進化、デザインといった側面において、新時代の自動車産業に知恵を与えてくれることは間違いないだろう。最後に、ピーターソン最大の魅力の一つは、自動車愛好家の文化を教えてくれることだ。新品同様に美しいままの多彩なコレクションの数々は、自動車に対するはかなくも奥深く、つかみどころのない情熱と愛を雄弁に語り、保存し、共有してくれる。真の自動車ファンなら誰もが必ず、ピーターソン自動車博物館へ"巡礼"すべきである。まだ行ったことがないなら、すぐに行ってみてほしい。既に訪れたことがあるなら、また戻りたくて仕方がないはずだ。


注:この記事は外部の寄稿者による文章を掲載する「Open Road」に投稿されたものです。内容については筆者が単独で責を負い、どのような意見もAutoblog編集部の意見を反映するものではありません。

By Max Ignas
翻訳:日本映像翻訳アカデミー