希少なフォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」が、ネット・オークションに登場
ガリレオは、地球が太陽の周りを回っていると主張して異端と呼ばれた。オーストリアの医師イグナーツ・ゼンメルワイスは、医者は手を消毒すべきだと訴えて嘲笑された。気象学者のアルフレッド・ウェゲナーが唱えた大陸移動説も、ほとんど相手にされなかった。

彼らの共通点は一体何だろう? 彼らは時代の先を行っていたということだ。現状に挑む進歩的な思考を持っていた。そして、今回オークションサイトのeBayに出品された一見変わったこのクルマにも、多くの点において彼らと同じ精神が見て取れる。

この1990年製のフォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」は、まだ"クロスオーバー"という概念が生まれる前に生産された4輪駆動のクロスオーバーだ。アメリカ市場では正式に販売されなかったにも関わらず、マニアの求めによって数台が輸入された。


では、このユニークなクルマはどのようにして生まれたのか? カントリーの誕生は1989年のジュネーブ・モーターショーまで遡る。1980年代半ばからゴルフの4輪駆動モデルを製造してきたフォルクスワーゲンが、1989年に従来の枠組みを超えたコンセプトカーとして発表したのが、この小型オフロード車だ。当然のことながら、報道陣や来場者の間でこの斬新で小さな4WDゴルフは賞賛の的となり、1990年に量産が開始された。

他のゴルフと同様に、カントリーもまずはヴォルフスブルクにある工場で製造が開始となるが、しかしその後が違う。オーストリアのグラーツに送られ、シュタイア・ダイムラー・プフ社でフルタイム4輪駆動システム「シンクロ」が装備されるのだ。

ゴルフ カントリーは、全車1.8リッター直列4気筒エンジンと5速マニュアル・トランスミッションを搭載し、ユニークに改変されたエクステリアには、前後プロテクトバーやフォグランプ、スイングアウト式のタイヤキャリア、樹脂製のスキッドプレートとオーバーフェンダーを装着。そして最低地上高を引き上げたサスペンションが装備されていた。


通常の状況下では、カントリーは前輪駆動だが、車輪の滑りを感知すると、ビスカスカップリング式の4輪駆動システムが駆動力の最大50%を後輪に配分する。車両重量が1,300kg程度と重かったため速くは走れなかったが、この機能のおかげできわめて有能なクルマとされた。

ゴルフ カントリーは、わずか7,700台強が生産され、1991年には製造終了となった。今回出品された程度極上のカントリーは1990年モデルで、走行距離はわずか3万kmとのこと。残念ながら既に1万5,100ドル(約165万円)という価格で落札されている。

注:この記事は『BOLDRIDE』に掲載されたZach Doell記者の記事を転載したもの。

By BOLDRIDE
翻訳:日本映像翻訳アカデミー