フォルクスワーゲン、可変タービンジオメトリー(VTG)ターボチャージャーを採用した新型エンジンを公開
Related Gallery:Volkswagen EA211 TSI Evo Engine

排出ガス不正問題を起こしたダーティなディーゼル・エンジンのことはしばらく忘れよう。フォルクスワーゲン(VW)は、4月28~29日にオーストリアで開催された「第37回ウィーン国際エンジン・シンポジウム」において、より効率的な「EA211 TSI evo」エンジンを発表し、同社のクリーンな側面を披露した。この1.5リッター・エンジンは、ターボチャージャーに可変タービンジオメトリー(VTG)を採用した初の量産ガソリン・エンジンとなる。最高出力は96kW(130ps)と110KW(150ps)という2種類の仕様があり、これらを搭載したモデルが(少なくとも欧州では)2016年後半から市場に投入される予定だ。

VTGは、タービンブレードを断続的に調整することで、通常のシングルターボよりも幅広い回転域で大きなトルクを生み出す技術であり、ディーゼル・エンジンでの採用は珍しくない。しかし、ガソリン・エンジンでは排気ガス温度がディーゼル・エンジンに比べて高くなるため、耐熱性の高い特殊材料を使用しなければならず、コストが上がることから、少なくとも今まではこのシステムが採用されるのは高級車に限られていた。例えばポルシェは、「911ターボ」で既にVTGを採用し、新型「718ケイマン」と「718ボクスター」が積む4気筒エンジンにも取り入れている。だが、このEA211 TSI evoの登場により、手頃な価格の量販車でもVTGを利用できるようになるわけだ。

このシステムを最大限に活かすため、EA211 TSI evoではより効率の高いミラーサイクルを採用し、12.5:1という高い圧縮比を実現している。これらの技術を組み合わせた結果、1,300rpmという低い回転数から最大トルク(96kW仕様では200Nm=20.4kgm)を発生することが可能となった。従来の1.4リッターTSIエンジン(92kW仕様)と比較すると、アクセルを踏み込んでから最大トルクが得られるまでの 時間が約35%も短縮し、さらに燃費も10%改善されているという。また、中負荷以下の作動領域で2番および3番シリンダーの吸排気バルブを閉じて、同時に燃料の噴射も休止する気筒休止機構(ACT)も燃費の向上に貢献している。

VWグループは、アウディの新型「A4」に搭載されている2.0リッターTFSIエンジンでもミラーサイクルを採用している。昨年の国際ウィーン・モーター・シンポジウムで同社が発表したこのエンジンは、広い回転域で高いトルクを維持することが可能になり燃費も向上したが、VTGの技術は使われていない。VWには是非、VTGを高性能モデルにも取り入れ、「GTI」をさらに熱いホット・ハッチにしてもらいたい。この新型エンジンに関する詳細は、日本語のプレスリリースをご参照いただきたい。


By Chris Bruce
翻訳:日本映像翻訳アカデミー