「マツダ ロードスター」より安い!? フィアットが米国で「124スパイダー」の価格を発表
フィアットは、米国で今年の夏に発売する新型オープントップ2シーター「124スパイダー」の価格と仕様を発表した。日本でも発売を心待ちにしている方が多いと思うので、参考までにご紹介したい。

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フィアットが約30年ぶりにその名前を復活させた124スパイダーは、これまでにもお伝えした通り、ご存じ「マツダ ロードスター」をベースにイタリア製のドライブトレインとデザインを与えたオープントップのスポーツカー。自然吸気の「SKYACTIV」エンジンに代わり搭載するフィアット製1.4リッター直列4気筒ターボ「マルチエア」は、最高出力160hp/5,500rpm、最大トルク25.4kgm/2,500rpmを発生(欧州仕様は140psと24.5kgm)。純日本産の兄弟と共に、広島県の宇品工場で生産されると言われている。

生産地の日本を差し置いて、主要マーケットと期待される米国で発表されたその価格は、エントリー・グレードの「124スパイダー クラシカ」が2万4,995ドル(約266万円)から。この仕様はハロゲン・ヘッドライトやブラックのクロス張りシート、デュアル・エキゾースト、16インチ・ホイール、6スピーカーのオーディオなどを標準装備。6速オートマティック・トランスミッションを選ぶと1,350ドル(約14万円)ほど高くなる。また、米国では車両価格とは別に995ドル(約10万6,000円)の輸送費が別途掛かる。





上級グレードの「124スパイダー ルッソ」("ルッソ"はイタリア語で"ラグジュアリー"という意味)は2万7,495ドル(約292万円)に上がるが、17インチ・ホイールやブラックまたはサドル・カラーのヒーター内蔵レザー・シート、インフォテインメント・システム用7インチ・ディスプレイなどが標準装備される。ウインドシールドのフレームとロールバー・カバーはシルバーで塗装され、エキゾースト・テールパイプもクローム仕上げとなる。さらにボディ・カラーに特別色の3層ホワイト・パールが用意される。


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そして高性能版「124スパイダー アバルト」には、2万8,195ドル(約300万円)という価格が付けられた。こちらは最高出力が165hpに引き上げられ、前後サスペンションにビルシュタイン製ダンパーを採用する。さらに機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルやフロント・ストラット・タワーバー、アバルト謹製スポーツ・エキゾーストなどを装備。前後バンパーも専用のアグレッシブなデザインとなる。ホイールはガンメタルで塗られた17インチ。ドライブ・モードには「スポーツ」が追加される。オプションとしてブレンボ製ブレーキやレカロ製シート、ボンネットのブラック塗装が用意される。


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米国市場向けにはもう1種類、この新型スポーツカーの発売を記念して「124スパイダー プリマ・エディツィオーネ・ルッソ」と呼ばれる限定モデルが設定された。価格は3万5,000ドル(約372万円)と高額だが、機械的には標準モデルと変わらない。特別仕様としてシリアル・ナンバーが刻まれたプレートや記念バッジが付き、「アズッロ・イタリア」と呼ばれる専用ボディ・カラーとサドル・カラーのプレミアム・レザー・シートが用意される。また、このクルマのオーナーにはレザー・バッグやペン、ポスターなどの専用グッズが販売されるそうだ(付属するわけではなく、別途購入しなければならない)。


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さて、以上の内容を踏まえた上で、米国では日本仕様より排気量が大きな2.0リッター・エンジンを搭載し、「MX-5」という名前で販売されているマツダ ロードスターの価格を見てみよう。ベース・グレードの「スポーツ」は2万4,915ドル(約265万円)と、124スパイダー クラシカとほぼ同等。ただしマツダはLEDヘッドライトを標準装備している。17インチ・ホイールや機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャル、ビルシュタイン製ダンパーを装備する「クラブ」は2万8,600ドル(約304万円)に設定されており、魅力的なエキゾーストを響かせる124スパイダー アバルトより、ブレンボ製ブレーキを標準装着するマツダの方が高い。レザー・シートなどが備えた「グランド・ツーリング」も、124スパイダー ルッソよりさらに装備が豪華なこともあり、3万65ドル(約320万円)とフィアット版を上回る価格設定となっている。

つまり米国において、124スパイダーはMX-5とほぼ同等かそれより安い値付けとなるわけだ。もちろん、マツダの方が標準装備する機能が充実していることは考えられるが、少なくともマツダの自然吸気エンジンと魂動デザインは、ターボ過給によるエクストラ・パワーやイタリアン・デザインに決して引けを取らないどころか、対等に評価されていることが分かる。あるいは販売網で遅れを取るフィアットが、マツダに対し戦略的な価格設定をした(せざるをえなかった)と見ることもできるかもしれない。

一方の日本では、イタリアから送られるエンジンを積む124スパイダーが、純国産のマツダ ロードスターよりも安い価格で販売されることは期待できまい。販売台数が見込めない輸入車でサービス網を維持しなければならない事情もあるだろう。だが、ミニバンで溢れる我が国の道路に楽しそうなクルマを1台でも多く走らせるため、そしてスポーツカー・ドライバーだけでなくイタリア車ファンを一人でも多く増やすため、FCAジャパンには頑張ってもらいたいところ。期待しています。