フォード重役、「電気自動車の航続距離は160km程度で十分」と発言
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最近ではテスラモデル3」やシボレーボルト(Bolt)」のように、航続距離が200マイル(約322km)を超える電気自動車(EV)が開発されているにもかかわらず、フォードは100マイル(約161km)程度の方がEVに適しているという考えにいまだ取りつかれているようだ。米国の自動車メディア『Automotive News』によれば、フォードの重役ケビン・ライデン氏が、EV「フォーカス エレクトリック」の充電1回あたりの航続距離を、今秋にも現行の76マイル(約122km)から約100マイルへ引き上げようとしていると述べたという。これは、今月12日から米国デトロイトで開催されていた自動車技術に関する展示会「SAE 2016 World Congress」に同氏が出席した際の発言だが、注目すべきは同社が近い将来、航続走行距離を大幅に伸ばすつもりはないということだ。

航続距離を伸ばす上で問題になるのは、1回の充電で200マイル走行できるバッテリーのコストと重量を、いかに抑えるかということだろう。フォードはフォーカス エレクトリックを3万ドル(約330万円)以下で販売しており、2017年モデルでもこの価格帯をキープする構えのようだ。ライデン氏は、100マイルの航続距離でも日常的な使用には十分であり、「大勢の人々を満足させられる」と、戦略の妥当性を確信している。

米国で今秋発売予定のボルトは航続距離200マイルで、価格は約3万7,500ドル(約420万円)。テスラが先月末に初公開したモデル3は、215マイル(日本公式サイトでは345km)の航続距離を約束しており、価格は約3万5,000ドル(約390万円)を予定している。人々が、6,000ドル前後の出費と100マイル強長い航続距離のどちらを取るかは、ふたを開けてみなければわからない。また、昨年のアップデートで航続距離が84マイル(約135km)から107マイル(約172km)となった日産リーフ」(日本におけるJC08モードでは280km)も、2018年に登場が噂される次期型では200マイル以上に伸びるのではないかと言われている。一方でフォードと同じ戦略の会社もあり、ヒュンダイの新型EV「アイオニック」は航続距離が110マイル(約177km)となっている。どうやら、量産型EVと1回の充電による航続距離は、大きな分岐点に差し掛かっているようだ。

フォードが、フォーカス エレクトリックを6,000ドル値下げして、希望小売価格を3万ドル以下にしたのは2014年末のこと。しかし、昨年の販売台数は1,582台で前年比21%ダウンと、依然として低調だ。今年に入ってからは、3月までに257台が販売されている。果たして同社の方針が今後の売り上げにどう反映するのか、展開を見守りたい。


By: Danny King
翻訳:日本映像翻訳アカデミー