ニューヨーク国際オートショーで世界初公開となったマツダ ロードスターのもう一つのオープンタイプモデル MAZDA MX-5 RF(リトラクタブル・ルーフ)。北米ではロードスターではなくMX-5の名で販売されており、ソフトトップを持つ新型MX-5は北米でも昨年発売が開始されている。


RF=リトラクタブル・ルーフの特長は何と言ってもデザイン。新型ロードスターの企画段階(2007年)から屋根のバリエーションについては計画があったそうだ。だからこそなんだろう。パーツの変更点はこれだけ印象が異なるのに、わずか「8点くらいでしょうか」と山本主査はいう。
インテリアの素材感や質感も含め、一目みて、より大人っぽい、落ち着きのある雰囲気が印象的だった。
背景や開発者やデザイナーの想いは後に主査の山本修弘氏のインタビューをお伝えするとして、まずは主な変更点をピックアップしてみたい。



ボディサイズは全高が+5ミリとなる以外、全長や全幅はソフトトップモデルと同数値。トランク容量の130L(DIN方式)はソフトトップモデルとまったく変わらない。注目のルーフは10km/h未満であれば走行中でも開閉操作が可能で、フロント、ミドル、リアの3つのルーフで構成される電動格納式のハードトップを採用している。


オープン時は風の巻き込みを抑えるアクリル製の大型エアロボードを採用する一方で、バックウインドウが開くため後方からの排気サウンドが楽しめるそうだ。クローズド時はソフトトップ以上の快適性もRFの大きな特徴となるため、静粛性にも力を注がれた模様。フロント/ミドルルーフの内側に吸音タイプのヘッドライナーと、リアホイールハウスには遮音材を採用している。


インテリアの基本デザインはソフトトップモデルと変わらないが、ドアやシートにやわらかなナッパレザーを使用することで、落ち着きと洗練度が増す...というのは比較であって、この落ち着きや洗練されたインテリアの雰囲気がRFらしさ、というべきだろう。

パワートレインはいよいよRFから日本にも2Lが主力モデルに追加されることになりそうだ。トランスミッションは6マニュアルトランスミッション、6速オートマチックトランスミッションともに組み合わされる。

ところで、ロードスターと言うとソフトトップが印象強いが、それは私だけだったのかもしれない。3台目=NC型=先代モデルから採用の始まったリトラクタブル・ハードトップモデルは世界的にはソフトトップと50:50の割合で売れていたそうだ。日本にいたっては、50%よりも少し多いくらいなのだとか。ND=新型ロードスターの登場の際には黒い幌だけではオシャレでないと、デザイナーや開発主査の山本氏にも申し上げていた私。なぜなら日本では幌を閉めている時間のほうが長いという方が多いのではないかと、かつてソフトトップ・オープンカーを所有していた私は思うのだ。幌とボディのカラーでオーナーカーとしてこだわり、楽しみたいのだ。が、それもおそらく長く続くであろうモデルのことだから、そのうち登場するに違いない。そんな話を山本氏と何度したことだろう。幌の色を増やすよりも本質の異なる屋根=RFが新型登場からわずか一年で登場したのだ。以降は山本氏の言葉を中心にお届けしたい。

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Q) 今回のRFでも"守るために変えること"はありましたか?

ぼくたちはオープンカーをつくっているんですよ。
RFはルーフが電動開閉できるし、ボディと同色だし、セキュリティについても安心感があると思うんですよね。だからお客様からみたらきっと買いやすい。ただ本質的にはリトラクタブル・ハードトップでもオープンカーをつくっています。その考え方はまったく変わっていない。ただ二つの屋根を持つことによって、オープンカーを楽しむ人が増える、世界観を広げるってことが最も大事なことなんです。
今回のRFはNCのときよりもオープンカーを楽しみ味わう世界観を幅広いたくさんの方たちに乗ってもらわなければいけない、だからこのスタイルが必要だって思いました。


オープンカーと言いながらやっぱりクローズして走っている人、時間が多い。オープンの爽快さはあるけれど、クローズで走っているときのカッコ良さをもっと際立たせてもいいんじゃないか、オープンカーを持つ楽しみが倍化するはずだ。だからRFではクローズドのデザインを最優先。ソフトトップの場合、オープン時のデザインが一番良いのに対して、このクルマはオープンカーだけどクローズをベストにつくろう。だからブレークスルーして新しいデザインをつくろう。ソフトトップのキャビンにとらわれることなく、どういったクローズのスタイルがいいのか考えたら、「スッと後ろが流れているようなデザインよね、ファストバックよね」と。クーペという考え方もあったけれど、それよりもファストバックのスタイルをつくろう、と造ってきました。

「リヤルーフを残そうや」

リトラクタブルハードトップだったから、すべての屋根を折りたたんでしまわなければいけないという概念がありました。これは私たちにもエンジニアにもありました。でも美しいスタイルにすると収められないんですよ。じゃ、トランクを犠牲にしてもいいのか、ホイールベースを延ばしてもいいのか、それはありえない。 どちらもキープしながらクローズのデザインを保った上でオープンにもできると考えたら「リヤルーフを残そうや」、と逆転の発想をしたわけです。何が目的なのか、クローズドのスタイルがいいこと。オープンになること。ならば残そう、と、吹っ切れましたね。在りたいことを描き、正しいことをやってきたらこのスタイルにしかならなかったんです。そこからはもう迷わずにこのスタイルでやろうと思えました。

●共創の世界、ココにあり

デザインもエンジニアリングもウインウインにならなければいけない。それを成立させるのがボクの役目だと思ったんで、両方が満足する方法を聞いてリヤルーフを残すことに決めました。エンジニアも色んなアイディア持っていました。そのなかにはトンネルバック案なんかもありましたね。デザインにはリヤルーフを残してもいいかと問い、エンジニアには残したらどうか、問うたわけです。そういう話し合いをして、残すかたちでどちらも進める。まさに共創の世界がここにありました。


もともと二つの屋根を持つことはNDを企画した2007年の段階からあったそうだが、2種類のオープンカーを登場させこのあとの展開は?とうかがうと、オープンカーなのでルーフのバリエーションをもう少し増やすことになるようだ。「お客様からももう一つ足りないよ、と言われています」と。
あとは想像にお任せします。
ただしロードスターはNDも生まれて一年。続きRFが登場し、マツダのなかではまだまだ進化を続けていく段階だ。新しい技術もちゃんと入れていくそうだ。限定車、SV=スペシャルバージョンも考えていくという。
「お客様の期待と同じじゃだめなんで、またあっと言わせるようにやっていきたいなと思っています」
と山本さん。

まずは日本の路上デビューを楽しみに待ちたいところだ。

■マツダ 公式サイト
http://www.mazda.co.jp/