トヨタ、車体が木で作られたコンセプトカー「SETSUNA」をミラノデザインウィークに出展
トヨタによる「SETSUNA」と名付けられたコンセプトカーの流れるようなラインとクラシックなシルエットは、4月にイタリアで開催されるミラノデザインウィークでの公式デビューにこの上なくふさわしいと言えるだろう。見た目の美しさもさることながら、船のようなカーブを作り上げたクラフトマンシップがなおいっそう素晴らしい。そしてこのSETSUNAは、古くから自動車の材料として使われてきたスチールでもなければ最先端のカーボンファイバーでもなく、主に木材で作られている。

SETSUNAの開発責任者である辻賢治氏とそのプロジェクトチームは、部品の組み付け構造に釘やねじを使わない日本古来の伝統技法「送り蟻(おくりあり)」を取り入れ、このような美しい造形を可能にした。外板に杉、フレームには樺を用いたほか、床やシートも木製だ。しかし、トヨタが公開した1枚の画像では全体のディテールが不明なため、ミラノでの公開に期待が高まる。

経済誌『Forbes』の英語版サイトによれば、電動モーターを搭載するSETSUNAは実際に走行可能だが、航続距離はそう長くないようだ。6基の鉛蓄電池をフル充電しても、航続距離は約25㎞、最高速度は45㎞/hに過ぎないという。このロードスターが杉の丸太で作られたドラッグレーサーと対決しても、まず勝ち目はないだろう。

SETSUNAという名前は、一瞬一瞬の"刹那"という短い時間の繰り返しの中で、このクルマがかけがえのないものになっていく、という想いを込めて名付けたという。辻氏は、人間がクルマと暮らすうちにその関係が変化していくのと同じように、SETSUNAにもゆっくりと変化していってほしいといい、「歳月を経て輝きを増すSETSUNAの様々な表情を想像していただきたい」と語っている。その歳月は、インパネに装備された「100年メーター」が刻み続けていくだろう。


By Chris Bruce
翻訳:日本映像翻訳アカデミー