BENTLEY Continental GT Speed  Convertible
 試乗を前にスペック表を眺めていた編集長C氏は、まるで呪文を唱えるようにブツブツと数字を口にし始めた。

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「W型12気筒ツインターボ・・・」
「5998cc・・・」
「最高出力は635psで6000rpm・・・」
「最大トルクは820Nmで2000rpm・・・」
 一旦小さく溜め息をつき、呪文を続けた。

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「最高速度が327km/h・・・」
「ゼロヒャクが4.4秒・・・」
「で、値段は?」
「ニセンキュウヒャクニジュウマンエン・・・」
 その後、放心状態から解放されてこう呟いた。
「こんな派手なスペック必要なのか?」
 僕はこう回答した。
「凄ければ凄いほど正義なんでしょうね」
 そう、そのスペックが物語るように、「ベントレー・コンチネンタルGT スピード・コンバーチブル」は周囲を一太刀で黙らせるスペックを秘めているのだ。

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 縦3気筒のシリンダーを4列に配置したW型12気筒はつまり、2基のV型6気筒を並列にしたのに等しい。直列6気筒をつなぎ合わせて数を12に揃えたユニットとは、スペース効率と衝突安全と、そして静粛性で優位なのだ。

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 実際にこのエンジンは、始動しているのか否かが曖昧なほど、静かにアイドリングする。イグニッションボタンを押した瞬間に、ボアッと吠えるのは、GTスピードが途方もない高性能を秘めていることをドライバーに再確認させるための仕掛けのように思えてくる。極めて静かなショーファードリブンとの誤解を恐れたのかもしれない。

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 さらにいえば、そのまま放っておくと、静かすぎて内燃機関であることすら忘れてしまいそうになる。そのためにあえてゴロゴロと喉を鳴らすようにサウンドチューニングされているのだと想像するほどだ。手垢の着いたフレーズだけど、ビロードを撫でているような粒の細かい微振動は、かえって心地良い。
 同郷であるアストンマーチンの獰猛な吠え方とも違うし、もちろんラテンの威嚇とも異なる。猛り立つ彼らをひと吠えで黙らせる百獣の王のような、図太くジェントルな声色なのだ。

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 ツインターボは、大排気量ユニットと合体されることで驚くほどワイドなパワーバンドを得るにいたった。トルクのピークポイントは、ほとんど動き出した直後に頂点に達する。

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 ただし、その勢いは留まることがない。覚悟を決めてアクセルペダルを床踏みすれば、フロントノーズをグイッと持ち上げたその姿勢のまま、加速しようとするのだ。45フィート級のパワークルーザーの加速フィールを連想した。そしてそのまま加速Gに耐えていられるのならば、最終的には327km/hに到達するのである。

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 味わった感動は数々あれども、その走り味の湿度感には目を見張るものがある。不快な路面の突き上げが皆無なのは予想どおり。さらには、乾いた乗り心地でもなく、剛性感溢れる力強さでもなく、シットリとなめし革に包まれているかごとき感覚なのだ。

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 コンバーチブルだからといって、軋み音がするはずもなく、バックミラーが振動で滲むこともない。強固なボディ剛性を確保したうえで、しなやかに上下動するエアサスペンションが組み込まれているのである。

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 なめし革のようであり、ビロードのような肌触りや音や振動は、エンジンと足回りだけではなく、すべてに共通した感覚で整えられていることにも驚かされる。たとえば、太く分厚いドアを閉めるその時でさえ、重厚感と湿度感がある。シフトレバーをエンゲージするときの絶妙なタッチや節度にも、ハンドルを切り込むときの素直な回転フィールにも、あるいはブレーキペダルにそっと足を添えたときの反発力などにも、繊細な神経が注がれているのだと思えた。

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 いきなり派手なスペックに驚かされた我々だけど、実はそこには表れない繊細なフィーリングこそ、ベントレーの魅力なのではないだろうかと思う。そして同時に、華やかなスペックではなく、乗って味わって初めてわかるその滑らかさに高額な投資ができる成功者こそ、真のセレブではないかと羨ましく思った。

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 試乗を終えた直後、件のC編集長がさらに呪文を唱えはじめた。
「このボディカラーがオプションで、ナナジュウゴマンキュウセンヨンヒャクエン・・・」

■ベントレーモーターズ ジャパン 公式サイト
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