NISSAN SNOW
GT-Rでスノードライブ?」
 そんな魅惑的な誘いにつられて雪の蓼科に向かった。このところ業界で流行しているウインターオールラインナップ試乗会に参加するためだ。今回は,日産自動車からのお誘いである。
「それだけではありませんよ。フェアレディZもあります」
 雪と聞いて真っ先にFR駆動を思い浮かべてしまうのは僕の性だ。つまり、ドリフト三昧を期待してしまうわけだ。

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 残念ながら,湖に設営した特設コースは、このところの暖冬によって走行に耐えうる氷が張らず、圧雪路だけの試乗になったが、ご機嫌な中速コーナーがつづくワインディングが解放されていたために、むしろツルツルの氷盤よりも好都合だったのかも。フェアレディZはともかく、世界最強のモンスターGT-Rを振り回すには、最適なステージだったといえよう。

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 そもそもGT-Rは、ステージを選ばないスーパーカーを標榜している。
 ニュルブルクリンクでの最速タイム樹立はエポックだったし、当時,大きな話題を誘った。ニュルブルクリンクをホームグラウンドとするポルシェの負けず嫌いに火をつけてしまった張本人だし、その後もライバルの数々の挑戦を退けてきた。そんな武勇伝が伝わりすぎているから、GT-Rはサーキット専用モデルのような認識のされ方をしている節がある。だがしかし、開発責任者の言葉を借りれば、場所を選ばないスーパーカーなのだと。

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 とはいうものの、僕の経験では、コンディションの変化に過剰に反応しすぎるために、路面を選ばないなどとは思えなかった。
 ニュルブルクリンクに散々トライしたことがある。そこでも、路面コンディションに合わせてタイヤの内圧を適切にアジャストする必要があったし、それを誤ると神経質な挙動に陥り、何度もキモを冷やしたものだ。そんなGT-Rが、いくらスタッドレスを履いているからといっても、自由自在にコントロールできるなどとは想像できなかったのだ。

 その予想は、ある意味で正しく、ある意味で嬉しいほどに裏切ってくれた。

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 たしかにこの重量級爆撃機を雪のワインディングで攻め込むには、それなりのスキルが必要だ。というより、心臓に毛の生えたような度胸が求められるのかもしれない。
 圧倒的な3.8リッターV型6気筒のツインターボは、最高出力550ps/6400rpmを発揮する。いくら4輪で制御しているからといっても、フルパワーで路面を掻きむしるにはそれなりの勇気が必要なのだ。

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 しかもご丁寧に、4輪はがっちり路面を食いついて放さない。頻繁に空転でもしてくれるのならば、むしろ都合がいい。トラクションが優れているから、気がついたら驚くほどの速度に達してしまうのだ。
 しかも、車両重量は1.7トンを超える。前後重量配分に貢献するトランスアクスルとはいえ、フロントヘビーである。いったん積もり重なった慣性マスに、タイヤのグリップが耐えられるのかどうかも不安だった。一旦グリップオーバーに陥ったら、ガードレールキッスに陥らないとは限らないわけだ。

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 だがしかし、意外なほどにコントロールしやすかったのは嬉しい。パワーは激烈である。だが、オンロードと同様に、タイヤのスリップ率限界を巧みにさまよう。安易に空転したりしない。それによってトラクションが確保されると同時に、舵の効きもいいのだ。テールの収まりもいい。
 アテーサE-TSは、基本的にリアタイヤのスリップを感じてからフロントに駆動トルクを分け与える手法をとる。それによって、重いフロントノーズがいたずらにガードレールに吸い寄せられるスリルも少なかった。

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 次第にGT-Rの走りに魅了されていく。何にもまして、バックミラーの中で激しく巻き上げる雪煙が、いかにもハイパワー4WDらしくて興奮させてくれる。GT-Rを限界まで攻め立てるのは,このうえない快感なのである。
「オールロードスーパーカー」
 そのフレーズに偽りはなかった。



■日産自動車 公式サイト
http://www.nissan.co.jp/