PORSCHE turbo
 カレラ シリーズのターボエンジン化の衝撃もまださめやらないというのに、今度は本家911ターボ/ターボSのフェイスリフトだ。試乗のために訪れたのは南アフリカはヨハネスブルグ。舞台はスゴいが、変更内容はカレラ シリーズほど革命的なものではなく、言わば正常進化である。

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 外観の違いは、フロント左右のエアインテークが大型化され、2本ずつのLEDバーが入れられたほか、テールランプやエグゾーストまわり、そしてリアリッドグリルの意匠が変更された程度と、それほど大掛かりではない。

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 インテリアも、918スパイダーのそれをモチーフとしたGTスポーツステアリングが備わり、インフォテイメントシステムのPCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム)が完全に刷新されたぐらいである。

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 ちなみにこのPCMは、カレラ シリーズ同様、日本仕様にも搭載される。最新のナビゲーションシステムにスマホ感覚の操作感、Apple CarPlayへの対応など、ようやくポルシェに相応しいインフォテイメントシステムが手に入るのだ。

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 目玉となるエンジンは、従来から使う水平対向6気筒3.8ℓ直噴ツインターボの改良版である。燃料噴射圧の向上、吸気系の刷新などにより、ターボは最高出力540psを獲得。更にターボSでは、コンプレッサー径が拡大された専用のターボチャージャーが使われており、最高出力は580psにも達する。いずれも従来比20psの向上。0-100km/h加速タイムも、ともにコンマ2秒を削り取っており、ターボSでは遂に2.9秒と3秒切りを実現している。

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 更に新型では、アクセルオフの際に、吸気バルブは閉じずに燃料カットだけを行なうことで過給圧をキープし、再度アクセルオンした際に即座に過給効果が得られるようにしたダイナミックブースト機能を採用している。加減速を繰り返すような場面でも小気味良い反応を得ることができるわけである。
 試乗できたのはターボS。販売の85%がこちらだというから、ほとんどの人にとってはそれだけで十分だろう。

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 一般道でのターボSは、とても重厚な乗り味を示す。大出力を受け止めるために前245/35、後305/30という極太の20インチタイヤを履くこともあり、当たりは決してソフトではないが、ガッチリとしたボディはすべてをしっかり受け止め、フラットで安心感の高い走りを可能にしている。ラグジュアリーなGTスポーツとしての資質は、相変わらずハイレベルだ。

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 もちろんパフォーマンスに不足があろうはずがない。低回転域でも十分、実用には足るのだが、それでもトルクが明確に盛り上がってくるのは3,000rpmを超えた辺りから先。一旦、そのゾーンに入れば、回転上昇にパワーの盛り上がりが二乗で比例する、いわゆる"ターボ・バン"が味わえる。できる限り自然吸気に近い特性を目指したカレラ シリーズのターボエンジンとは、まったく違ったキャラクターと言うことができるだろう。

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 しかも、ステアリングホイールに備え付けられたダイヤルスイッチで、スポーツモード、スポーツ・プラスモードに切り換えると過給圧が更に高まり、2,250〜4,000rpmの回転域でターボが710Nm、ターボSが750Nmという最大トルクを発生する。フロアレバーのアップ/ダウンが従来とは逆、GT3と同じ配列になったPDKを操作して、この回転域をキープしてやれば、まさに仰け反るような速さを体感できる。
 更に、それすらもまどろこしい時には、スポーツレスポンススイッチをプッシュすれば、最長20秒間に渡って、エンジンとPDKが最大の加速力を発揮するよう制御される。カレラ シリーズにも搭載された新機能だが、ターボSのそれは炸裂ぶりが半端無く、凄まじいほどの刺激を味わえた。

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 一方で、燃費もしっかり向上させているのはこの時代のニューモデルならでは。クーペでは従来の9.7L/100kmから、9.1L/100kmへと燃料消費を低減させている。レーンデパーチャーウォーニング、フロントサスペンションのリフトシステムなども初めて用意され、利便性をしっかり向上させているのも見逃せない。

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 こんな風に一般道を走るだけなら、ヨハネスブルグまで来る意味は無い。ポルシェは今回、限界性能を試す舞台として、新装なったキャラミサーキットを用意してくれていた。

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 その速さは、やはり圧巻の一言。サーキットではスポーツ・プラスモードにしてDレンジに入れておけば、まずブーストゾーンを外すことはなく、どこからでもアクセルオンとともに蹴飛ばされたかのように加速が始まり、そのまま突き抜けるようにグングン速度が高まっていく。やっぱりターボはこうじゃなくちゃ、という感じである。

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 トランスファーが改良されて、より大きなトルクを前輪に素早く配分できるようになったフルタイム4WDシステムを得て、シャシーもまさに盤石の態勢だ。後輪操舵機能の恩恵もあるのだろう。フットワークはスタビリティ重視の設定で、決して嬉々として曲がりたがるという印象ではないが、その分、臆せず踏んでいけるのも確か。先導役のGT3RSが思わずリアをスライドさせたりしているような領域でも、安心して踏んでいけたのだから、これはもう納得するしかない。

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 強いて言えば、全開走行を繰り返しているとブレーキはペダルが奥に入りはじめ、ちょっとツラそうだった。ターボSには標準装備のPCCB、ターボを選ぶのだとしてもこれだけは装着しておくべきだろう。

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 最初に書いた通り、新型911ターボ/ターボSは、まさしく正常進化版と言える。その意味するところは、ターボはあくまでターボらしくというところを貫いているということ。カレラ シリーズまでターボエンジンが積まれるようになったと言っても、その狙いも、果実も、まったく異なるのがターボでありターボSなのだ。要するに911の最高峰モデルというその地位に変わりはなく、むしろますます盤石だということである。

■ポルシェ ジャパン株式会社
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