マクラーレンの新型F1マシン「MP4‐31」、斬新なフロント・サスペンションが明らかに
F1の技術イラストレーターとして知られるジョルジオ・ピオラ氏と、F1ジャーナリストのマット・サマフィールド氏が、マクラーレンホンダの新型F1マシン「MP4‐31」の革新的なサスペンションについて分析する。

マクラーレン・ホンダは2月21日、2016年シーズン用F1マシンを公開し、それを「革新的」と称した。

改良されたサスペンションに関しては、事前に公開された画像からいくらか分かることもあったが、先日バルセロナ近郊のカタルーニャ・サーキットで行われたテストでこのマシンが走り始めてから、ようやくそのコンセプトが確認できた。

ジョルジオ・ピオラが独占撮影した写真を見ると分かるように、マクラーレンは非常に思い切った設計をフロント・サスペンションに採用しており、後方のアッパーアームが通常よりもかなり低く配置されている。

マクラーレン MP4-31(写真:ジョルジオ・ピオラ)

チームがテスト走行時、このウイッシュボーンの後方側アームの上下に追加センサーを取り付けて、この部位からデータを取得していたことも興味深い。


サスペンション考察

2014年にメルセデスが先鞭を付けた結合型の(Y字型)ロアウィッシュボーン(下記写真)は、他のチームでも採用されているが、マクラーレンはこの部分に独自性がみてとれる。

メルセデス W07(写真:ジョルジオ・ピオラ)

フロントサスペンションは、空気が車体の下方と周囲をどの様に流れるかに著しく影響を及ぼすため、そのレイアウトには細心の注意が必要だ。しかも、一度デザインしたものを後から変更することは非常に難しい場所でもある。

マクラーレンがこれまで未開発の空力性能を探究し続けているのは明らかだ。今回のマシンでは、後方側のウイッシュボーンアームを上から見ると、アッパーアームとロアアームの輪郭がほぼ重なり合っている。

アッパーアームは通常よりも下に取り付けられているので、ロアアームと協調して、気流を上や内側に逃がすのではなく、下に追いやり、サイドポット周辺に誘導するはずである。

今回のバルセロナにおけるテスト走行では、ウィッシュボーンに取り付けられたセンサーによって収集された数値を含む、初期の実走実験データが取得された。これらのデータはCFD(数値流体力学)システム、風洞、7ポスト・シェイカー・リグ等の実験施設において、運動学と空気力学の観点からシミュレーションを行い、収集されたデータと共に分析が行われる。


攻めるレッドブル

事前テストに集められた他のマシンが哮る中、レッドブルは挑戦者としてカタルーニャ・サーキットのピットレーンで2016年用マシンを公開した。詳細な分析は後ほど行うことになる。

しかしながら、現段階で関心を引かれる箇所の1つが、マクラーレンと同様にフロント・サスペンションだ。多くのチームがロア部のウィッシュボーン・アームを連結する(V字型をY字型にする)アイディアに集中する中で、例によってレッドブルはそれを極端な形で実行しているのだ。前側と後側のアームの統合が進み、インボード側に小さな隙間が残されたのみとなっている。

これはもちろん、表面の広い部分を作ることにより、空気のスムーズな流れを可能にする空気力学上の目的がある。

レッドブル・レーシング RB12(写真:XPBイメージ)

ウィッシュボーンのくさび型の部分(写真の黄色い部分)は既にかなり大きかったが、昨年型の「RB11」でも採り入れられたように、その後方がさらに拡張(写真の緑色の部分)されている。

これにより、さらに空気の流れを整え、下流の空力性能を向上させる。

ウィッシュボーンを連結するソリューションに焦点を当てたチームはレッドブルだけではなく、ジュニア・チームのスクーデリア・トロ・ロッソや、ハースF1チームでも取り入れている。

一方、昨シーズンに同様のソリューションを採用した、メルセデス、フェラーリ、フォース・インディアは、そのコンセプトをさらに改良させてきた。

ハース VF-16(写真:ジョルジオ・ピオラ)

本稿はモータースポーツのニュース、写真、ビデオをお届けする情報サイト『Motorsport.com』に掲載されたMatt SomerfieldとGiorgio Piola両氏による記事を転載したもの。


By:Motorsport.com
翻訳:日本映像翻訳アカデミー