2月24日、ホンダ本社において、代表取締役社長 八郷隆弘氏の会見が行われた。

会見の冒頭は、2015年7月に行った社長就任時の会見内容に触れ、そこで掲げた『新しいホンダの創造に向けた2つのテーマ』について、現在のホンダの状況、取り組みの様子が語られた。

まず、テーマの1つとして掲げた『ホンダらしいチャレンジングな商品の開発』に関しては、日本でリース販売を開始した歩行訓練機器の「Honda歩行アシスト」をあげた。
今後は、この Honda歩行アシストを日本に加え、海外での事業展開を視野に、準備を進めていくとし、二輪、四輪はもちろんの事、芝刈り機や建機用作業機などの汎用製品、はたまた HondaJetなど、幅広い事業を通じて「世界中のお客様の喜びのために、ホンダらしい魅力的な商品を提供し続けたい」と語った。

その一方で、もう1つに掲げたテーマである『グローバル6極体制の進化』に関しては、四輪を中心にさらなる体質強化に向け、抜本的な事業改革が必要と考え、取組みを始めたことを発表。
今回の会見は『グローバル6極体制の"さらなる"進化』が焦点となった。



その具体的内容は以下の通りだ。


■グローバル6極体制での四輪事業の方向性

1. 地域専用車とグローバルモデルについて


グローバル6極体制の中、地域に根ざした車両が成長を続けている。
北米のパイロットや、アジアのブリオシリーズといった『地域専用車』だ。
このような地域専用車が、各地域の四輪事業を支える柱にまで成長した。

一方、グローバルモデルは、「FIT」「シビック」「アコード」「HR-V」「CR-V」であり、ホンダの四輪事業の主流モデル。各車両の主だった状況は以下の通り。

シビック

2015年11月、北米でフルモデルチェンジしたシビックは、新型プラットフォームとダウンサイジングターボエンジンを採用、非常に好評を得ており「North American カーオブザイヤー」にも輝いている
今後もアジアや中国など各地域で発売を控えている。
スポーティで先進的なセダンが欲しいユーザーがいる日本については、2年後の投入を検討


CR-V・アコード
CR-Vおよびアコードの次期モデルは、新型プラットフォームとダウンサイジングターボエンジンを採用し、走行性能の高さやデザインにさらに磨きをかけた商品として、発売予定だ。


こうした新しいプラットフォームとパワートレインの採用により、シビック・CR-V・アコードというグローバルモデルを、さらに魅力的な四輪事業を支える商品に刷新していく予定だ。


2. モデル開発と組織体制の変更

■課題
四輪車の開発や生産の現場において、複雑化したプロセスにより、工数と負荷が増加しているという。これにより、日本からの支援が増えることはもちろんのこと、領域の責任者が不明瞭であったり、権限移譲などによる責任所在が不明瞭化しているという。
すなわちそれは、原動力の低下につながっている。


この状況を克服し、四輪事業における6極体制のさらなる進化のため、ホンダは4月1日付で組織変更を行う。
開発の現場がクルマづくりに集中し、1台の商品としてコンセプトを一貫し、開発に注力して取り組める体制にしていくということだ。
具体的には、商品開発領域の責任者を配置すると同時に、完成車1台としての評価を一貫して行う責任者や、グローバルでホンダ・アキュラのデザインクリエーションをそれぞれ統括する責任者の設置など、ホンダの個性をより際立たせることができる開発体制へと変更する。

また、生産・購買・品質・サービス・営業の各領域では、役割責任をより明確にするとともに、シンプルでスピード感ある意思決定ができる組織体制を目指す。


3. ホンダらしい魅力ある商品づくり
ホンダらしい商品をつくるために、あらためて「商品コンセプト」に、より強く軸足を置くと同時に、ホンダのDNAである「デザイン」と「走り」をさらに進化させていく。


ホンダの特徴的な「開発」「生産」「販売」の一貫したフロー(SED開発体制)をさらに進化させる、次世代化プロジェクトをスタートさせるとともに、これまでの「プラットフォーム」という概念を超え、電動化技術の強化を強く意識した新たなクルマづくりを導入していく。

目まぐるしい環境変化の中で、ホンダらしい魅力ある四輪商品の創造に加え、収益性向上、ブランド強化に取り組んでいく。


4. グローバルでの四輪生産体制の強化:2つの方向性

(1) グローバルモデルを活かした生産補完

次期 シビックハッチバックは、3月1日開幕のジュネーブ・モーターショーでお披露目となる。

各地域の生産体制は以下の通りだ。

欧州
共通のプラットフォームを持ち、シビック ハッチバックを北米などへグローバルに供給できる拠点とする。

日本
地域の需給バランスに応じて世界のどの拠点でも柔軟に対応できるフレキシブルな対応を行う。他地域の生産・供給をサポートできる拠点とする。


北米向けは、昨年FITの供給を開始し、今年はアコードハイブリッドの輸出も開始。今後は、北米の需要を見据えながら、シビック・CR-Vの生産・輸出を検討、必要に応じて日米間での補完体制を構築する。
欧州向けは、現在のジャズに加え、HR-V・CR-Vを日本から供給することで、次期シビック ハッチバックの生産に集中する欧州を補完する。

カナダ
欧州にCR-Vを生産・輸出する計画だったが、北米でのライトトラックの高い需要に応えるため、北米向けCR-Vの供給に集中し、欧州への輸出は日本からの供給に切り替える。

上記の海外向け生産と、国内向けモデルの販売強化により、日本では90万台半ばの生産体制を目指す。


(2) 地域ニーズに応える地域専用車の各地域での生産・販売強化


北米では、好評のパイロットに加え、新型リッジラインや、次期CR-V・オデッセイを投入予定。
新型モデルの投入と北米地域における高いライトトラック需要へ対応するため、アラバマ工場に集中していた大型SUVの生産を他工場にも拡充し、2017年より新たにオハイオ州のイーストリバティ工場にてアキュラMDXの生産を開始。2拠点での生産体制とする。



中国では、今年発表予定のホンダブランドの大型SUV(コンセプトD)やアキュラの新型コンパクトSUVなど、主力となる新商品の投入とともに、生産・販売を増やしていく。

日本では、コンパクトミニバンのフリードを今年フルモデルチェンジの予定。

このように高い商品力と収益性を備えた商品を、迅速に生産・供給できる体制を構築し、グローバル6極体制での需給バランスの適正化を目指す方向で、グローバル6極体制の強化とグローバルのつながりを生むと考えている。


以上のような体制強化の方針に加え、新たな価値の創造についての発表も行われた。

■ホンダらしい新たな価値の創造

電動化技術の導入強化

二輪

電動二輪車のEV-CUB Conceptをベースに量産化したEV-CUBを、2年後をめどに、日本で発売する。
その後、カブシリーズの最大市場でもあるアセアン主要国に導入を計画。ユーザーの生活に根付いたカブを用いてEVの普及と、CO2の削減の道を拓く。

四輪

CO2削減に向け、ダウンサイジングターボエンジンの進化とともに、プラグインハイブリッドを今後の電動化の中心と定め、2018年までに北米にて新型プラグインハイブリッドモデルを発売する。
その後、主要モデルへプラグインハイブリッドを順次設定し、拡充をはかっていく。


燃料電池自動車(FCV)は、2016年3月にクラリティ フューエル セルを日本で発売する。

また、GMと共同開発中の次世代型燃料電池システムは、2020年頃の商品化に向けて、生産・購買を含めた次の段階へ移行していく。
これらにより、2030年をめどに商品ラインアップにおける販売数の3分の2を、プラグインハイブリッドとハイブリッド、およびFCV・バッテリーEVなどのゼロエミッションビークルに置き換えることを目指す。

汎用

芝刈機や建機用作業機の電動化を推進、ロボットモアに続く自動作業機の拡大を積極的に目指し、CO2削減に貢献していく。
また、エネルギーを消費するだけでなく、モビリティを通じてエネルギー社会を支えていく社会を目指し、スマート水素ステーションの開発など、持続可能なスマートコミュニティ社会の実現にも取り組んでいく。
合言葉は、クリーンエネルギーを「つくる」「つかう」「つながる」


HONDA President Press conference feb,2016
以上により、ホンダは二輪・四輪・汎用製品を手がける世界最大のパワートレイン製造メーカーとして、CO2削減への取組みをリードする存在を目指し、具体的には、2050年のCo2の総排出比を半減する目標を掲げた。

また、昨年より復帰したモータースポーツについても最後に触れた。
パワーユニット・サプライヤーとして2015年より復帰、参戦したF1は、残念な結果となり、学んだことが多かった年となった。
その経験を活かし、今シーズンはマクラーレンとともに成果に繋げていきたい、と八郷社長は意気込みを語った。


取り組みを通じて、ホンダが目指すこと

以上のような取組みを通じて、ホンダはお客様の生活、そしてライフスタイルが、より良いものに変わっていくような価値の創造を目指すとした。

HONDA President Press conference feb,2016

「私たちの原動力となるのは、『The Power of Dreams』です。『夢の力を原動力に』という想いを、ホンダに関わる全員が常に心に留めながら、様々な現場で一丸となって「チームホンダ」の力を最大限に発揮し、実現を目指し、改革への取り組みを目指します」と八郷社長は会見を締めくくった。

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■ホンダ公式サイト
http://www.honda.co.jp/