アウディ ジャパンは8日、新型ミッドサイズセダン「A4」の日本導入を発表。一見、先代型とそれほど変わっていないようにも思えるが、その中身は大きく進化しているようだ。

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1972年に登場した「80」から数えると、アウディのミッドサイズ・セダンはこの「B9型」と呼ばれる新しいA4で9代目になる。その間に世界で累計1,200万台が販売されて来た。今年1月にアウディ ジャパンの社長に就任した斎藤徹氏によれば、この80とA4はアウディの基幹車種として「常に技術による革新を体現してきた」という。



発表会場のステージに置かれた2台の新型A4は、どちらも18インチ・ホイールやスポーティなバンパーなどが備わる「S line」パッケージ装着車。先代と似た端正な4ドア・セダンだが、全長と全幅が15mm拡大し、全高は10mm低くなった新型はスポーティな印象が強まった。シートに腰を下ろすと、一般的なセダンらしからぬ着座位置の低さにちょっと驚かされる。全高が下がっても、室内のヘッドクリアランスは前席で11mm、後席は24mmも拡がっているという。




エクステリアで特徴的なディテールは、先代の"つまみ型"から"谷型"に変わったサイドのプレスライン。そして前方から水平にナイフで切り取ったかのようなボンネットは、フェンダーやグリル上部のパーティング・ラインが目立たない。この辺りは新しいデザイン・トレンドになるかもしれない。ヘッドライトはバイキセノンが標準だが、オプションでLEDと、さらに状況に応じて自動的に配光パターンが可変する「マトリクスLED」も搭載可能だ。

インゴルシュタットの風洞トンネルで1,200時間を掛けて磨き上げられたエアロダイナミクスは、Cd値0.23を達成したという(参考までに挙げると、新型プリウスが0.24)。発表会のゲストとして招かれた流体力学の権威である東洋大学の望月修教授によれば、「Cd値が0.3から0.29に下がると、100km/h走行時に燃料1リッターあたりの走行距離が200m伸びる。しかし、0.24から0.23に下がった場合は700mも向上する。だから、0.2台で0.01減らす効果は大きい」そうだ。この空力性能を磨き上げるため、例えばドア・パネルに移された新型A4のサイドミラーは最終形状が決定するまでに2年の月日を費やしたという。機能追求の結果として非常に美しい形になったと思われた。トランクリッド後端はスポイラー形状に盛り上がり、さらにアンダー・ボディの各部にカバーを装着することで、後輪のリフトも抑えられているという。




新型A4はそのプラットフォームも先代から一新されている。先に発表されたSUV「Q7」で初めて使われた新世代の縦置きエンジン用モジュール「MLB Evo」を採用し、欧州仕様では先代から最大で120kgも軽量化されたという。日本仕様は増加した装備とのオフセットにより前輪駆動モデルの車両重量は旧型と同じ1,540kg、4輪駆動の「クワトロ」は20kgほど軽くなり1,660kgと発表されている。この軽量化に関しては、構造と素材を見直したボディそのもので15kg、フロントだけでなくリアも5リンク式となったサスペンションにはアルミ製部品を多用することで前後合わせて11kg、モノチューブ式のダンパーが4本で約2kg、前輪のアルミ製固定ブレーキ・キャリパーの採用で5kg、電動パワーステアリングが3.5kgと、それぞれ軽くなっているという。



日本仕様に用意されたエンジンは、今のところ2種類の2.0リッター直列4気筒ガソリン直噴ターボのみ。前輪駆動モデル用は新たにミラーサイクルを採用し、JC08モード燃費は先代の13.8km/Lから18.4km/Lに大幅向上した。最高出力は190ps/4,200~6,000rpmと先代の2.0 TFSIエンジンより10psアップ。最大トルク32.6kgmという数値は変わらないが、発生回転数が1,450~4,200rpmと僅かに上下とも拡がっている。また、この前輪駆動モデル用トランスミッションにも、先代の「マルチトロニック」と呼ばれるCVTに替わり、初めて7速デュアルクラッチ式「Sトロニック」が採用された。

アウディ自慢の4輪駆動システム「クワトロ」と組み合わされるエンジンは、よりパワフルな最高出力252ps/5,000~6,000rpmと最大トルク37.7kgm/1,600~4,500rpmを発揮。先代のA4 クワトロと比べ、41psと2.0kgmも向上しているのに、JC08モード燃費は13.6km/Lから15.5km/Lに改善されている。こちらもトランスミッションは7速Sトロニックとなる。



事前に小耳に挟んだ情報によると、この新型A4から日本にもディーゼルが導入されるという話が実はあったようなのだが、例のフォルクスワーゲン・グループによる排出ガス不正問題を受けて計画が見直されたそうだ。アウディ ジャパンの方によれば今後は「タイミングを見て」パワートレインの拡大を図るという。人気の高い「オールロード」の導入については確約をいただけなかったが、ステーションワゴン「アヴァント」は今年中に追加されるとのこと。

新型A4はアシスタンス(ドライバー支援)システムもさらに充実した。車体に備わる各種センサーやカメラは、ほとんど360度、全方向の周囲を検知するという(一部の機能はパッケージオプション)。衝突防止機能は歩行者の検知も可能になり、交差点の右折時にも危険を感知したら自動的にブレーキが作動する。「アダプティブ・クルーズ・コントロール」は渋滞時に先行車に追従して発進・制動を行うだけでなく、車線を検知してステアリング操作まで介入する「トラフィック・ジャム・アシスト」機能も付いた。



インテリアは空間の広がりを感じさせる水平基調にまとめられ、従来よりスイッチを減らしシンプルになったインフォテインメント・システム「MMI」の最新バージョンが搭載された。日本仕様はナビゲーション機能が標準で備わり、お手持ちのスマートフォンと機能を車載システムで使うことができるApple CarPlayAndroid Autoにも対応する。フルデジタルのディスプレイがメーターパネルに組み込まれた「アウディ・バーチャル・コクピット」(マトリクスLEDとセットで34万円のオプション)や、ヘッドアップ・ディスプレイ(14万円)も装備可能だ。バング&オルフセンのサウンド・システムはスピーカーの数が5つ増えて19個になり、3次元の音響を演算して再生することで「コンサートホールのような感覚が味わえる」3Dサウンドを提供するという(17万円)。



モデル・ラインアップは前輪駆動の「2.0 TFSI」と4輪駆動の「2.0 TFSI quattro」、そしてそれぞれにシートやサスペンションなどがスポーツ仕様になる「sport」が用意され、価格は「A4 2.0 TFSI」の518万円から、A4 2.0 TFSI quattro sport」の624万円まで(いずれも消費税込み)。先代と比較すると、前輪駆動モデルとクワトロの差がぐっと縮まった。A4 2.0 TFSI quattroは2万円しか値上がりしていないのに対し、エンジンとトランスミッションが一新されたA4 2.0 TFSIは51万円も高くなったからだ。欧州には150psの1.4リッター・ガソリン・エンジンの設定もあるので、日本にも400万円台で買えるモデルとして追加投入が期待されるところ。なお、アウディ ジャパンの方にお訊きしたところによると、日本仕様で独自に変更されているのはナビゲーションくらいで、足回りの設定もパワートレインの制御も欧州仕様と基本的に同一だとか。過去には日本の環境に合わせて設定を変えていたこともあるそうだが、「ドイツ車をお買いになる方は、そういうのを求めていない」ため、現在は日本も欧州も共通の仕様になっているそうだ。販売開始は2月19日から。詳しいスペックや価格設定については、前回の記事公式サイトをご覧いただきたい。


アウディ ジャパン 公式サイト:「Audi A4」
http://www.audi.jp/a4/