ランドローバー「ディフェンダー」、最後の1台が生産終了
Related Gallery:Final Land Rover Defender

「ディフェンダー」はランドローバーの神髄、そして原点ともいえるモデルだ。英国で68年間生産が続けられていた戦後生まれのオフローダーの末裔が、英ソリハルにある工場で最後の生産を終えた。

皆さんがご想像の通り、ランドローバーはこの記念すべき時に合わせて盛大に別れを惜しんだ。ソリハル工場で働く現役職員と退職した職員700人以上が集い、市販化前の「シリーズ I」と同じ生産ラインでファイナルラップを飾る最後の「ディフェンダー90 ヘリテージ・ソフトトップ」を見届けたのだ。1948年から操業しているこの工場では、累計200万台以上の「シリーズ」と「ディフェンダー」のSUVが生産された。

原点となったシリーズ Iは様々な意味で独創的なクルマだったが、戦後という特殊な状況の影響もあることは記憶しておくべきだろう。アルミ製ボディの採用は、鋼鉄が深刻な材料不足に陥っていたことからの判断で、耐腐性の追求や軽量化を意図したものではなかった。そして、配車係がいる高級ホテルの玄関で目にするようなステータス・シンボルになるクルマではなく、当時はトラクターと旧式な農業用トラックの中間のような農業用車両で、様々な作業に適し、しかも街まで(遅くても)足を延ばせるクルマとして捉えられていた。

ラインナップには1970年に高級SUV「レンジローバー」が加わり、1989年には「ディスカバリー」も追加されたことで、翌年の1990年にそれまでの「ランドローバー90/110」が「ディフェンダー」に改名されて、ランドローバーはモデル名からブランド名に昇格した。新しいディフェンダーがステータス・シンボルとなったことによって、それまで泥まみれの作業用車に過ぎなかった「シリーズ」のトラックも、コレクターの注目を浴びる存在となった。比較的高級化し、より乗り心地が追求された「ディフェンダー ヘリテージ」シリーズのモデルは、今回の最後の1台もそうだが、最新技術を搭載しながらも原点となったシリーズ Iの外観をほぼそのままに受け継いでいる。シリーズ Iの絶大な人気とカリスマ性、そして感傷から、ヘリテージ・シリーズのモデルも遅かれ早かれコレクターズ・アイテムになることは必至だ。

それでは、今後の展開はどうなるのだろう? 現在、新型ディフェンダーが開発中だが、熱狂的ファンを含めた大勢の人々が求め、ランドローバーに期待されているものは、その名に相応しいクルマだ。非常にタフで、かつ現代のクラシックともいえるディフェンダーの正統な後継モデルが生産されるのか、あるいは従来のモデルがこれまで積み重ねてきた信頼に沿いながらも、違う方向へ進化するのか、それはまだ分かっていない。公平に言って、ランドローバーは新型ディフェンダーを正しい方向へ導く必要がある。それはつまり、オリジナルの魂を受け継ぎながら、現代的な本物のオフローダーとなることであり、その間で決してどっちつかずのクルマにはなってはならないということだ。

By Alex Kierstein

翻訳:日本映像翻訳アカデミー