Can-Am Spyder F3
「TOKYOは世界的に見てもワリと稀有な土地柄なのでございます、独自の文化が花開き、世界のカワイイ・カルチャーを牽引しているのです」なんてことを情報では知っていても、普段の地味な暮らしぶりの中じゃ原宿あたりにこれっぽっちも縁がない私にとってはもはや異次元のお話。だけどやっぱりそれでもTOKYOってだいぶ特別!アメージングトーキョー!なんて思う出来事には、住んでいればワリとよく遭遇する。
その筆頭が何を隠そうクルマであって、もうここは公道モーターショーかよ!? とおもうくらいに世界中のありとあらゆるそれを、六本木青山表参道なんていうオシャレ系ハイソエリアにわざわざ出向かなくても、アッサリとその辺の路上で見かけることが出来る点は本当にスゴいことだと常日頃からおもっている私である。
ベンツ・ビーエム・アウディあたりの3強はプリウス並みにウジャウジャしてるし、フェラーリ・ポルシェ・ランボルギーニなんてあたりも価格・クラス問わずに遭遇率高し。
だから言い換えれば、大東京じゃすでに、どんなに弩級の高級車に乗っていたとしても、クルマで目立とうとすることは至難のワザだったりする。これほんと。街行く人の目が飽和しちゃってるのね。
それに、これだけ珍車・名車がウジャウジャする世界有数のカーヲタ・シティである反面、公共交通機関の異様なる発達によってクルマに興味のない人々がその5倍くらい存在しちゃうっていうのも、また東京の横顔のひとつでもあるわけで。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
しかし、そんな中にあって無条件に目立てる乗り物はやっぱり存在する。
トライク(3輪バイク)だ。
この自由な感じ!言いようのないくらい底抜けにハッピーなイメージ!
3つタイヤを持っているという見慣れない異様な風貌の醸し出す、言いようのない迫力はなんなんだ。クルマは移動や通勤なんていう日常生活を引きずるものだし、バイクだってそれに準じている。だけどなぜだろう、車輪が3つになったらいきなり非日常感満載!になってしまう。
しかもこれなら、クルマあんまわかんないし、みたいな人でも「なにあの乗り物!」となるから、理屈抜きに誰の目をも自動的に惹いちゃうしくみ。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
現在トライクには意外に選択肢があって、日本でも様々な三輪バイクを購入することが出来る。
中でもカンナム(Can-Am)は前2輪、後1輪のスタイリングでスポーティーなハンドリングを叶える、人気メーカーだ。
以前、このAutoblog日本版内でもクルーザータイプの「スパイダーRT」試乗記をお届けしたが、今回はさらにスポーツライディングに寄せたモデル、「スパイダーF3」を公道で思い切り楽しんできたのでレポートしたい。

Can-Am Spyder F3
正直、跨がるまでは楽勝である。ひらり、と華麗にシートにお尻を預ける仕草そのものはバイクに乗るときとなんら違いはない。なのに接地感はクルマ並のド安定感なのだ。バイクで心配な立ちゴケなんていう惨事には、地球がひっくりかえりさえしなければ遭遇しない。安心してどっかと乗り込んじゃえばいい。
しかし、いざアクセルを開けるには若干の勇気がいる。だって、見る景色がちょっと他の乗り物とは違うのだ。自分の身体を外界と遮るガラスもボディもどこにもない、しかし視界にはフォーミュラカーみたいに車体から大きくせり出た2本のタイヤが見える。どんなハンドリングなのか皆目見当もつかない。
しかし、威勢のいいエンジン音に促されるように、そっとスロットルを開いて進み出してみた。

お、おもろい。
挙動が驚くほどスポーティーなんである。

Can-Am Spyder F3
直線を高い速度域で走らせるのはわけもない。なんたって"クルマ並みの接地感"なのだから、これならロングツーリングだって快適だろう。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
エンジンはBRP-Rotax®製の水冷3気筒1330cc。115psを7250rpmで生む超高回転型で、最大トルクも130.1Nmを5000rpmで発生させる。

Can-Am Spyder F3
正直、このコンパクト......っていうとスパイダーF3には威圧感がありすぎて、一抹の違和感を感じるけど、自動車と比べると格段に軽量で小さい。だって今やアウディA1にも1リッター3気筒エンジンが搭載される時代である。その乗り物としての通念上、コンパクトなこのコには充分すぎるエンジンスペックだ。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
開け始めこそ意外なほどにジェントルなんだけど、いざ回り始めるとあっという間に速度に勢いがつく。おわわわわ、と思っているうちにとんでもないことになっていないように、気をつけなければいけない。
そしてそんなにもブンブン回るエンジンに加えて、さらにハンドリングが期待を上回るクイックさなのだ。

Can-Am Spyder F3
まるで良く手入れされたゴーカートみたいに、ちょっと舵を入れればきゅん!と鼻先の向きを変える。それが速度を上げれば上げるほどそうだっていうんだから、もう面白いを越えてスリリングですらあるほどだ。特にコーナリングの際に若干の怖さを感じてしまう。

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前2輪ということは、バイクのライディングポジションを持ちつつも一切のバンクをしないということ。いや、厳密にはちょびっとはするんだけど、通常の2輪バイクのようにコーナリングにバンクを生かすのはかなり難しい。よって、右折・左折およびコーナリングの際は左右に抉(こ)じてハンドルを切らないといけないんだけど、このときに後ろに1輪しかないという未知のグリップに気持ちが怯むのだ。事実、急減速からのターンインなんていうトリッキーな動きには、後輪のアシストが心許ない(し、前に荷重が行ったらややハンドルが重くなるということもある)。やっぱり、しっかり減速してからターンに入った方がいい。
そしてそれら全部を総合してスパイダーF3から降り立つと、「コレ面白いね!」となる仕組み。攻略にコツが要るから、もっと習得したくなっちゃうのだ。

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しかし柔らかめのサスペンションと、ゆったりしたドライビングポジションのせいで、それほどまでにヤンチャな味付けなのに、意外に疲れは少ない。

Can-Am Spyder F3
今回は路肩への幅寄せや車庫入れも試してみたけど、難しいのはそれくらい。あとは直感的に乗りこなせるし、比較的とっかかりのハードルは低いのだけど、プロっぽく乗るにはちょっとした練習が要る、こういうあたり、あらゆるクルマに飽きたカーヲタにもオススメできる楽しさはそこにある。

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■岡崎五朗Can-Am Spyder F3
スポーツ走行時の恐怖感というものを突き詰めると、それは「予測不能」となる。このぐらいのスピードでこのぐらいステアリングを切ってこのぐらいアクセルを踏むとリアが流れるはず。
そうなったらわずかにカウンターを当てつつアクセルを少し戻してやれば姿勢の乱れを回復できるはず。ドライバーもライダーも走り込むことで予測精度を上げ、恐怖心を克服していく。そういう意味で、カンナム・スパイダーはとても怖かった。もちろん、普通に走っているだけならひたすら楽しいだけ。が、いざコーナーを攻め始めると「この先何が起こるかまったく予測が付かない」という事態に陥る。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
アンダーが出るのか、オーバーが出るのか、それとも内輪が浮くのか、はたまた強烈な遠心力に人間が耐えきれなくなるのか・・・少しずつ、探るようにペースを上げていったが今回は時間切れ。その先にあるのはいったいどんな世界なのだろう。

Can-Am Spyder F3
ひとつ言えるのは、いままで僕が乗ったどのクルマとも、どのバイクとも似て非なるものであり、なおかつその奥行きはとんでもなく深そうだなということだ。

■青木タカオ
Can-Am Spyder F3
大排気量がもたらすビッグトルクにものを言わせて走るハーレーやリンカーンと違い、カンナム・スパイダーが積むRotax®製1330cc 3気筒エンジンは、高回転まで気持ちよく吹け上がるエンジンフィーリングが持ち味。特にスポーティさに磨きをかけた「F3」は、7500rpmで始まるレッドゾーンまで淀みなく回り、エキサイティングな走りが楽しめる。

Can-Am Spyder F3 Can-Am Spyder F3
ハンドリングもクイックで、コーナリングでは狙ったラインを外さない。エンジンのピックアップが鋭い上、ダイレクトで精緻なステアリングレスポンスを実現しているから、気がつけばタイヤの数など関係なく、走ることに夢中になっていた。

Can-Am Spyder F3
前輪2+後輪1の斬新なスタイルは、スポーツカーにも負けず劣らずの存在感で、走り出す前には若干の気恥ずかしさを感じたが、ギヤを1速に落とした途端、スポーツライディングに没頭し、人の目などどうでも良いという気になる。スタイリングだけでなく、走りも追求した三輪ロードスターだ。

■ can-am SPYDER(BRPジャパン) 公式サイト
http://jp.brp.com/spyder/