BMW 2 gran tourer
<コンセプト>
3列目の狭さを見れば、迎合でないのは一目瞭然!


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 なんでも実際やったり、乗ってみないとわからないことってあるものであ〜る。
そう、昨年6月のことだ。出るぞ出るぞとウワサされ、遂に日本上陸を果たしたBMW初のFF3列シートミニバン「2シリーズ グランツアラー」。
ひと足先に出たFFハッチバックの兄弟車「2シリーズ アクティブツアラー」よりさらにブ格好で、お節介なほど実用優先だけに、BMWよ! 伝統の硬派FRメーカーもついに日和ったか...と思いましたがそれは全くの誤解であることが分かりました。

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 日本で乗ると特によく分かるが、これは迎合どころか逆に挑戦! アントニオ猪木の異種格闘技戦ばりの、BMWの大胆なるチャレンジだったのであ〜る。
 なぜか。ズバリ、第一の理由は3列目シートが明らかに広くないからである。ミニバン文化が未成熟な欧州ならいざ知らず、既にミニバン超大国の日本ではヘタな3列シート車は生き残れない。初代ホンダ・オデッセイが1994年に出てからはや20年、ありとあらゆるレイアウトが試されており、基本ほぼイスが付いてるだけの3列シートミニバンは死滅済み。当初売れたホンダ・ストリーム、トヨタ・ウィッシュにしろ今はないのだ。そして肝心の2シリーズ グランツアラーなのだが...

●びっくり、なんと一番の買い換えは日産セレナ!!

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 果たして全長×全幅×全高は4565×1800×1645mm。ベースとなったアクティブツアラーに比べ、215mm長く、95mm高い。とはいえ幅こそ輸入車の常で広いが、高さはルーフレール分を含んでるし、圧倒的に広くはない。
 車内に小学生男子が立てるほどの高さはないし、見た目も正直、ホイールベースで110mm延長した分、アクティブツアラーをさらに寸胴にし、オシリをスパンと直角に斬った感じ。カッコいいか? と言われると素直に頷けない小沢コージがいる。
 ただしいかにもBMW! ってな顔やお尻は安心材料だ。この高いクオリティ感と知名度を持ってすればブランドに弱い我がニッポン。「いいクルマ買ったね!」とは言われても「ヘンなの買ったね」とはまず言われない。
 とはいえ、ミニバンのプロからすると3列目は悩み所だろう。なにしろ2列目シートのスライド位置を一番前にした状態で、身長176cmの小沢が座るとぎりぎり3列目にスッポリハマる程度。床も高めだからヒザは立ち気味で、大人がしっかり座れるスペースとは言いがたい。間違いなく子供用である。
 正直このスペースでは今まで日本製ミニバン、特に広い箱型ミニバンを買っていた人は納得しないと思われたが...意外や意外!
 BMW関係者によれば発売1ヵ月後データだがユーザーの「85%がBMW以外からの買い換え」で「8割がディーゼル車」で「下取り車で一番多いのは日産セレナ(!!)」だという。
 これには不躾小沢もビックリだ。モデル末期とはいえ、セレナは数年前まで箱型ミニバンでナンバーワン人気を誇った人気車。特にクオリティの高さや3列目の広さで定評があっただけに、広さでグランツアラーに満足したとは思えない。つまりこの結果から想像できるのは「一部のミニバンユーザーは既存の3列シートミニバンに飽きている」か「他のなにモノかを求めている」ということだ。

●5m走っただけで分かる別物の剛性感!

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 果たして不躾小沢、テストカーに乗ってすぐ買い換え理由に思い当たりましたわ。新グランツアラーはまさに徹頭徹尾、既存のトヨタやホンダや日産のミニバンとは全然違う超濃厚走り味の持ち主だったからであーる。

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 日本に導入されたのはざっと3グレード。136psの直噴1.5L直3ターボ搭載の「218i」に、192psの直噴2L直4ターボ搭載の「220i」に、150psの直噴2L直4ディーゼルターボ搭載の「218d」の3つだ。

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 中でも注目はアクティブツアラーにも同時導入されるBMWFFシリーズ初のクリーンディーゼル。これはガソリンじゃあり得ない330Nmの極太トルクを1750rpmの低回転から発揮し、JC08モード燃費でも驚異の21.3km/Lを達成。エコカー減税も全車免税適応だ。ついでに言うと試乗車は、すべて足回りが硬めなスポーツサスペンションの「Mスポーツ」。

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 それも差し引いて考える必要はあるが、とにかく乗ってビックリするのはその重厚感! 極太でダイレクトに伝わるエンジントルクはもちろん、結構ゴリゴリ気味の足回りからくる走り味が、既存の国産ミニバンとは全くの別世界を味合わせてくれるのであーる。

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●草食じゃなくって走りは全くの肉食!


 まず発進からしていきなり違う。BMW得意のダイレクトに繋がる8ATもあって、アクセルを踏んだとたん、♪ガォ〜と立ち上がるディーゼル音と同時に、背中を蹴飛ばされるように加速。ふにゃ〜と立ち上がる走ってるのか走ってないんだか分からない国産ガソリンミニバンと比べ「いきなり肉食か!」って感じ。見た目はドイツ流の草食系だが、中身はやっぱりソーセージを食べて出来ているのだ。


 特に違うのはステアリングの剛性感。太めのホイールを握り、切りだしたとたんしっかりとした手応えを感じ、タイヤもそれに応えてくれる。FFだけに確かにFRセダンの微妙な味わいはない。だが、それを覆い隠すほどの骨太さ。BMWが作る初めてのFF、という看板に嘘偽りはない。


 足回りも別物だ。背は結構高めなくせに、ロールはほとんどしないし、路面の継ぎ目を通る時も「ガリッ」「ガリッ」と音がしっかり聞こえる。それでいてボディ剛性が高いため、不快でないのがBMW流だが、必要以上に音を消そうとしていない。
 それから素晴らしいのはハイウェイだ。高速に入り、時速80kmを越えた当たりから、硬めに感じた足回りはしなやかに動き、姿勢は非常にフラット。高速コーナリング時も恐さは微塵も感じない。そして荒れた路面に入ると♪シャー と高めのタイヤノイズが入る。だがコレも好き者にはまったく気にならない。ステアリングの直進性も確かだ。


 最後にエンジン音だが、確かにディーゼルならではの叩くような音は発生するが、気になるのは最初のアイドリング時だけ。
 このあたりは繊細な日本人だけにずっと気になる方もいるだろうし、そういう人にはクリーンディーゼルはムリだろうが、小沢は全く気にならない。特に走り出すと、時速60kmを越えたあたりから他の音に混じってほとんど気にならなくなり、以降止まっていてもウルサイと感じることはない。逆に言うと、もはや旧世代の人間に入ってるからだろうか。
 静か過ぎて止まっているのか止まってないのかわからないようなEVよりよっぽどいい。

●オマエは一生運転手で終わっていいのかッッ!
というBMWからの問い


 気になる2列目、3列目シートの乗り心地だが確かに最新の国産ラージミニバン、特にトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」などに比べるとゴージャスさは足りない。最近のこの手はどんどんラグジュアリー化が進んでおり、3列目シートにも座ると充実の分厚いクッションが奢られているがグランツアラーにそれはない。もちろん薄目ながらにフレーム剛性は高く、ドイツ車らしい作りの良さは感じさせてくれる。オシリもそれなりにホールドしてくれる。だが、物凄いおもてなし感があるかというとそれは違う。


 が、それでもよいと小沢は思うのだ。結局、アナタはミニバンになにを求めるかだ。確かに客であり、家族に徹底的に奉仕し、「お客様は神様です」と言わんばかりに乗る人全員に謙り、狭い日本での税的効率の高さや狭い駐車場対策を考えると国産ミニバンだろう。特に5ナンバーの箱型を選べばいい。
 だが、クルマはそもそも走り、長距離を異動するためのものであり、そこにはドライバーを主体とした能動的な関係性が存在する。要するに乗る人がどれだけ楽しく、どれだけ「いま俺は走っている」を感じられるかだ。
 その考えでグランツアラーと国産ミニバンは全く違う。まさしく「走るワンルームマンション」が欲しいのか、あるいは「家族で乗れるBMW」が欲しいのかの差である。
 広くて快適でデカい後席モニターでDisney映画を子供が見ながら移動することを望むのなら後者を選べばいい。だがもっと別のなにか。ドライバーが最も楽しく、走った感をリアルに楽しみつつ移動したいのなら「2シリーズ グランツアラー」にすればよいと思う。それが不躾小沢の結論なのであ〜る。


■BMW 公式サイト
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/