Volkswagen Golf GTE
ついにフォルクスワーゲンもハイブリッド車を出したのか。モーターもバッテリーも重いし、実用車としてどのくらい良く出来ているか、ひとつハイブリッド先進国の日本目線で見てあげようじゃないの。
というのはちょっと大げさだが、目線としてはちょい上からゴルフGTEに乗り込み、走り出したのでした。ところが...。
いやいや、このクルマ、本気で面白いんですけど。
フォルクスワーゲンによれば、ゴルフGTEはGTIと並ぶスポーツモデルと位置付けている。
が、まさにその通りで、エコのために走りの性能を犠牲にしたハイブリッドじゃない。むしろモーターの駆動力を積極的に走りの性能にのっけているのだ

Volkswagen Golf GTE Volkswagen Golf GTE
まずはゴルフGTEの概要を説明しておこう。
ゴルフGTEはプラグインハイブリッド車で、搭載するエンジンは1.4ℓのTSI®エンジン。ほかのクルマに搭載するのと基本的には同じだが、エンジンが停止している状態からいきなり始動するため、シリンダーにフリクションを少なくしたり、冷間時からいきなりエンジンが始動してもダメージを受けないような特殊加工が施されているのだという。
エンジン出力は110kw(150ps)/5,000-6,000rpm、最大トルク250Nm/1,500-3,500rpm。
これに80kw(109ps)/330Nmのモーターが組み合わされ、システム出力は、150kw(204PS)/350Nmを発揮する。

Volkswagen Golf GTE
レイアウトはエンジンとミッションの間にモーターユニットを挟んだもので、DSGのデュアルクラッチ(モーターとミッションの間)のほかに、モーターとエンジンの間にクラッチを設けた2クラッチシステムを採用する。
つまり、エンジン+モーター駆動のほか、モーターに通電せず駆動力を発揮させなければエンジン駆動となりエンジンとモーターの間のクラッチを切れモータードライブが可能となる。
またバッテリーはリチウムイオンバッテリーで8.7kWhの総電力量を持っており、Eモードを使ってモーターのみで53.1kmの走行が可能。
バッテリー重量は約120kg、これにモーターその他のパーツを含め約200kg。車重はゴルフGTIの1,390kgに対してGTEは1,580kgとなる。

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そう約200kg重いのだ。だから、走り出すまでは、いくらGTEがフォルクスワーゲンお墨付きのスポーツモデルだといわれても、にわかには信じられない。
ところがそんな疑問も走ってみればすぐに納得できる。それどころか、あまりの性能に唖然となるかもしれない。

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試しに、停止状態から床までアクセルを踏み込んでついでにカチッと加速スイッチまで踏み込んで、全開加速を試みた。
その瞬間、文字通りシートに体がめり込むような、モーター独特の強烈な加速を始めた。最初のタイヤ2転がりくらいはモーターが、その強烈な駆動トルクを発揮し、すぐさまエンジンパワーがこれに加勢する。

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1,580kgの車重など全く感じない。むしろ車は軽くさえ感じられ、一気呵成に車速が跳ね上がっていく。エンジンにモーターの力をちょっと添えて...などという生易しいものではない。文字通りエレクトリックブーストによってロケットスタートをして見せるのだ。
素晴らしいのはモーターの力が無造作に発揮させられるわけではなく、ちゃんとアクセル操作にリニアに反応しているところ。

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例えば、GTEモードをセレクトして、コーナー立ち上がりでアクセルを踏み込んでいくと、エンジントルクをモーターで嵩上げしたような不思議な感覚の、強力な駆動トルクがグイグイとクルマを加速させてくれるのだ。と同時に旋回加速でESPが効かないように微妙なアクセルコントロールもできる。

Volkswagen Golf GTE
で、その旋回中に感じたのだが、重心が明らかに低いのだ。GTIよりもずっと低い。リヤの足元にバッテリーを搭載しているため重心が低く、しかも重量バランスが素晴らしく良い。クルマが斜め前に姿勢変化しようとするのを抑えるような重量感を腰の後ろあたりに感じる。高速旋回では前後タイヤのグリップバランスが絶妙で、フロントタイヤばかりに負担がかからないので、じつに気持ちよく曲がってくれる。
この重心の重さは、ブレーキングでリヤが持ちあがるのを抑えてくれ ( アンチスクオットジオメトリーも効かせているのだろうが )、リヤブレーキがよく効くのだ。結果的に4輪にバランスよくブレーキがかかり、ブレーキがよく効く。

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そう、こうやって走らせている限り、重量増によるハンディをほとんど見つけることができないのだ。
まさしくGTIと並ぶゴルフのスポーツモデルといって過言ではない。
しかも、バッテリーは8.7kWhの容量があり、理論上53kmのモーター走行ができる。この53kmの走行可能距離はかなり使いデがある。100Vおよび200Vの充電が可能で、電気を継ぎ足して使えば、タウンユースや通勤ならガソリンを使わずに走り続けることもできる。また充電モードにすれば、走行中積極的に充電することもできるので、かなり使いやすい。ちなみに電池残量が電池マークで2目盛り残ったところから充電モードで高速巡航したら、40kmほどで満充電となった。さらにバッテリーのみで130km/hでの走行もできるという。日本では試せない速度だが100km/hならほとんどアクセル操作を気遣うことなく巡航可能となるはず ( 航続距離はそれほど長くなさそうだが ) で、モータードライブでの走行の自由度も広い。

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GTEには3つの走行モードがある。これはE-モード、HYBRID-モード、充電モードの事ではなく、概念としてモーター駆動の「E‐モード」、省燃費ドライブの「ハイブリッドモード」、スポーツドライブの「GTEモード」を任意に選び走らせることができるのだ。しかもアクセルを床まで踏み込むと加速スイッチがついていて、これがオンになるとエンジン+モーターの力が最大に発揮される「エレクトリックブースト」状態になる。

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つまり、工夫して効率よく走らせることができるとか、アクセルを目いっぱい踏むと速く加速する、というのではなく、走行モードを選択することによって、究極の燃費ではないにしても、ときにエコドライブができ、意図的にモータードライブができ、スポーツドライブが楽しめるということなのだ。
HYBRIDというとエコ、省燃費なイメージが先に来て、時として少々息苦しさを感じることがあるのだが、GTEはクルマとして、純粋に興味深く、楽しさを持っている。

■フォルクスワーゲン 公式サイト
http://www.volkswagen.co.jp/ja.html