TOYOTA CROWN
 まさかクラウンのエンジンがこのサイズになるなんて、ちょっと前までは想像できなかった。直列4気筒2Lターボエンジンを、クラウンも採用することになったのは、衝撃的な出来事のように思った。

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 最高出力は235ps/5,200rpm〜5,800rpm、最大トルク350Nm/1,650rpm。直噴過給であり、ツインスクロール型ターボと合体される。
 2Lターボ化は、もちろん最近主流の環境性能を求めたダウンサイジングの流れである。排気量を抑えて燃費や排ガスといった環境性能を高め,懸念されるパワー不足はターボで補おうという考え方である。

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 JC08燃費は13.4km/L。さすがにクラウンハイブリッドの23.2km/Lには遠く及ばないが、V型6気筒3.5Lは9.6km/Lであり、それを大きく凌ぐ。3.5Lでも最大トルクは377Nm。トルク比では肩を並べるのに、燃費は大幅に優っているというわけだ。

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「やっぱり直列4気筒なんだよね」
 トヨタを代表するフラッグシップと2Lとの組み合わせは、もはや時代の要請だから違和感はない。ただ、その名は王冠である。そんな高級モデルに直列4気筒のややがさつな回転フィールは不釣り合いに思えた。

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 信号待ちではアイドリングストップが作動している。そこからの急発進にも、一瞬の遅れがあった。極低回転域のターボ過給も十分ではないから、都会での頻繁なストップ&ゴーでは物足りなさも残る。
 ただし、過給が加わってからの沸き上がるようなトルク感は力強い。ハイブリッドではもちろんのこと、V型6気筒の3.5Lとも、大きな違いがある。アクセルペダルの踏み込みより先行するように、先へ先へと急ぐような加速感はターボならではの魅力だ。

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「コーナリングマシン?」
 思わず口をついて出たのがこれ。動力性能や燃費性能に感心していたものの、このクルマでもっとも衝撃的だったのは、実は軽快なフットワークにあったのだ。
 まさかクラウンでワインディングを攻めようという気にはならない。後席でゆったりとくつろいで移動するか、ステアリングを握るとしても、都内をゆったり流すか、ハイウエイを穏やかにクルーズするのがクラウンには似合う。だが、環境性能のために採用したダウンサイジングターボは、その軽量コンパクトゆえに、ノーズの軽さを意識させることになったのである。

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 スボーツドライビングをするかどうかは別として、たとえば高速道路のランプウェイを駆け抜けるときに、フロントの質量が低いことを意識させられ、思わずニヤッとしかけた。交差点で右左折するときにも、軽快な動きを感じるのもこのうえない喜びである。

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 あとになって車検証の軸重を確認すると、前輪が870kgなのに対して後輪は780kgのウエイトバランスだった。良好なフットワークをもたらす基準の50対50には及ばないが、V型6気筒3.5Lを搭載するモデルは、前輪に900kgの重みが加わるのに、後輪は760kgに過ぎない。もっとフロントヘビーバランスであることを考えれば、2Lターボが理想的なバランスに近いことがわかる。

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 エンジン本体だけのウエイトではなく、付属する様々な装備や機構が前後重量バランスに影響するのだが、ダウンサイジングターボのG-Tのフットワークは悪くはないと結論づけても良さそうである。

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 残念ながらクラウンは海外では買えない。これほど完成された造り込みをしているのに、日本専用車なのだ。ダウンサイジングがお好みの欧州でも販売されないし、アメリカやアフリカでも、デリバリーはされないのだ。

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 つまりクラウンの開発は、日本の道だけを意識して進められているのだ。これほど室内空間が広々しているのに、全幅は1,800mmを越えないのは、狭い日本の道を考えている証拠だし、驚くほど小回りできるのも、日本の道を走りやすいように、である。
 軽く感じるノーズ、優れた環境性能、2Lターボを搭載する最新のクラウンはやはり、日本のための日本車なのである。

■トヨタ 公式サイト
http://toyota.jp